子供はかまってくれない

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日本代表対オマーン代表【3:0】それでもやっぱり日本は組織だ

2008年06月02日 23時08分47秒 | サッカーあれこれ
ドイツW杯で敗退した後,盛んに言われたのは「個の力を高めないと勝てない」ということだった。その文脈で見ると,どれも個の力でもぎ取った今日の3得点は,正に日本が目指してやって来たことが実を結んだ,理想の得点だったと言えるだろう。
しかし,試合後に中澤が口にしたように,まだまだ取れたはず,という思いもまた正直な感想として選手の胸に残ったのではないだろうか。勝ち点3の重みと共に,高いポテンシャルを組織として発揮するという課題も,同時にスーツケースに詰め込んで,選手たちは灼熱のオマーンへと旅立つ。

先制点は,遠藤の質の高いCKと,相手DFを引き連れて前でつぶれた闘莉王と,中澤のヘディングのコラボレーションと言えるかもしれない。しかし,やはり光ったのは,何としても先に点を取るんだという気迫が,身体の圧力となって現れた中澤のプレーだった。

同様に2点目も,闘莉王の上がりと,それに完璧なタイミングで応えた中村俊輔との呼吸,そして折り返しを信じて走り込んだ大久保のコラボにも見えるが,やはり際立っていたのは,各プレー一つ一つの精度の高さの方だ。

そして後半すぐに入った3点目こそ,個の力の見本だった。相手のチャージに体勢を崩しかけながら,しっかりと体幹を保って俊輔にパスを出した松井のボディ・バランス。DFの動きを冷静に見切って,深いフェイントでかわし,抜けた瞬間に躊躇わず右足で強いシュートを放った中村俊輔の判断。欧州組は違う,で片付けてしまうのは芸がないが,求めていたもの=「個の力による決定力」が形になった瞬間だった。

しかし大切なのは,もっと出来る,スピードと呼吸で崩せるはず,という感触が,ピッチのそこかしこに転がっていたということだ。
左サイドを何度も上下に往復していた長友に合わせた松井のパスは,後一歩の所で何度もずれ,攻め上がりを自重していた右サイドでは,常に駒(駒野の洒落ではない)が一枚が足りずに,縦に抜けられない場面が何度もあった。

徐々に味方同士の特徴が掴めつつある状況下,もう一歩連携が深められれば,過酷な環境に合わせたチェンジ・オブ・ペースで,試合を運ぶことも出来るようになるだろう。
長沼元会長が亡くなったこの日,11年前の秋に加茂元監督からバトンを受けた岡田監督の胸中を去来したものは,故人の冥福を祈る気持ちと11年間の感慨に,ほんの少しの安堵もあったかもしれない。その安堵の溜息が,5日後には更に大きくなることを期待したい。


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