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プロ野球 ロッテVSオリックス:CS進出決定戦は消化試合なのか?

2010年10月03日 11時40分55秒 | Weblog
2010年のパシフィックリーグは,ソフトバンクが杉内の涙の勢いで逆転優勝,福岡の3連戦で屈辱の3連敗を喫した西武が2位,そして最後のオリックス2連戦に連勝して日本ハムを振り切った千葉ロッテが3位に滑り込み,という結果になった。144試合をほぼフルに使い切って順位を争ったことに象徴されるように,今年のペナントレースは熾烈を極め,楽天を除けば成績の上下はいずれも紙一重の実力差だったと言える。

それだけ厳しい戦いに,最後にミソを付けたように見えるのが,ロッテ対オリックス2連戦におけるオリックスの戦い方だ。
この2試合で1勝1分け以上の成績を挙げなければ,先に全日程を終えている日ハムを上回ることが出来ないロッテにとっては,プレ・クライマックスと位置付けられた戦いに,オリックスは最多勝を獲得した金子千の起用を回避した。ペナントレースで金子に煮え湯を飲まされ続けた日ハムファンにとっては,「一体何故だ?」という声が挙がってもおかしくない采配だったが,当初は最終戦に金子を登板させれば中4日の間隔になってしまうということ(結果的には雨で1日順延したため,中5日になるはずだったのだが),更に和田と並んで最多勝が確実になったということを考慮すれば,致し方ないものだったのかもしれない。
カブレラとバルディリスという主力外国人を登録から外したのも,ひょっとすると契約条項に「Bクラス決定の時点までの出場」という限定項目があったのかもしれず(なかったのかもしれないが),これにもまあ目を瞑ろう。
更に28日に行われ,ダルビッシュが登板した日ハム戦を,ダルに相性の良かった塩崎の「引退記念試合」にしたことも人情の範囲内だろう。

問題はそれ以外の選手の起用だ。9月26日に日本ハムが勝った時点でオリックスのCS(クライマックス・シリーズ)進出の可能性がなくなったのだが,この後シーズンの終了までまだ3試合が残っていた。にも拘わらず,岡田監督は28日付のニッカンスポーツの報道に拠れば『「若いのを(1軍に)上げるよ。捕手も含めてな」と若手を積極的に起用する』というコメントを発し,実際に28日に5人,29日に3人を2軍から引き上げ,更に30日には2年目左腕の伊原を昇格させ,最終戦に先発で起用した。
特に守備の要であり,ゲームを作る最重要ポジションと言える捕手には,監督のコメント通りに昇格させたばかりの若手2選手を日替わりで起用しており,このことからも2連戦がロッテと日ハム両チームにとっての「天王山」であるという事実は知らなかったかのように,勝負を度外視して若手を育てる方針を貫いたことが見て取れる。

確かにCSに進出する可能性がなくなったチームの指揮官にすれば,この2連戦を,来季を見据えて若手の鍛錬の場としたい,という気持ちになることはある程度は理解出来る。交流戦で優勝し,最多勝投手を出しながらも,Aクラスに残れなかったチームの弱点を克服するきっかけを,短期間とは言え真剣勝負の場で見つけたいと思うのは「当然だ」と開き直られるかもしれない。
しかしロッテ戦後のインタビューで「今さら聞くことないやろ」と語り,2連戦を典型的な「消化試合」と捉えているとしか思えない岡田監督の姿勢は,どう見てもプロフェッショナルのものではない。CS出場がかかったチーム,特に待つしかない日ハムにとっては,この「チームのレヴェルは落ちるかもしれないが,若手に経験を積まさせて貰う」と言っているに等しい選手起用や岡田監督の言動はどう映ったのであろうか。


どうやら,ひとつの経営共同体に属するプロ野球チーム同士が,選手起用というデリケートな部分に踏み込んで発言することは難しいらしく,今のところ岡田監督の采配や言動を批判する声は見当たらない。
しかしJリーグではこういったケースに対応するため,先発選手の入れ替えを制限する条項があり,通常のリーグ戦と,若手育成という側面が避けられないカップ戦で,大幅な選手の入れ替えを行った戦術に対して激しい議論が闘わされたことがあった。
優勝争いの試合と変わらない額の入場料を払って観に来る観客へのサービスという側面は勿論のこと,リーグ戦の最終順位という大きなサブジェクトが懸かった真剣勝負を蔑ろにした,と謗られても仕方のないオリックスの姿勢について,もっと批判の声が挙がるべきだったのでは,と私は思っている。
とりあえず今は,最後に出番がなかったオリックスのヴェテラン選手たちが,本当はプロフェッショナルとして「そう簡単にCSには出場させないぞ」という気持ちで,最後まで勝負するつもりでいた,と思いたい。


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