映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

プリンセストヨトミ 堤真一

2011-12-31 16:31:58 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
「プリンセストヨトミ」は万城目学の原作を映画化したものだ。
万城目学がいつものように奇想天外な発想で大阪の街を描く。今回は京都でなく大阪だ。
今回は大阪城と普通の商店街である空堀商店街がストーリーの核であるが、大阪舞台の映画の定番通りミナミのナンパ橋付近や新世界界隈を映し出す。
超フィクションでもあり、ストーリー自体に不自然さがあるのは仕方がない。でも妙にありえそうな話に思えてくるのは、江戸とは異なる大阪の町民文化の特異性がそう感じさせるのであろう。


東京から大阪に3人の会計検査院調査官がやって来た。
彼らは国家予算が適正に使われているかを調べる役人たちにとっては怖い人たちだ。調査対象を徹底的に追い詰め、怖れられている主人公こと堤真一、その部下女性調査官こと綾瀬はるか、若手男性調査官こと岡田将生だ。
彼らは大阪での実地調査で次々に指摘を重ね役人たちをふるえがらせた後、次の調査団体のある空堀商店街を訪れる。そんな商店街の横に財団法人「OJO(大阪城跡整備機構)」があった。
収支に疑惑はなかったが、主人公は不信な点を感じる。だが、徹底的な調査を重ねるも、経理担当の長曽我部にかわされた。その商店街には、お好み焼き屋「太閤」があった。そこでは店主の真田幸一こと中井貴一と妻こと和久井映見夫婦と一人息子がいた。息子は女の子になりたいという悩みを抱えていた。その幼馴染・橋場茶子が男勝りでいつも大輔を守っていた。そのお好みで食事をしている時主人公は携帯を忘れていたことに気付いた。さっきの調査法人だと思い、主人公は戻った。
しかし、そこには誰もいない。さっきは職員たちがいたはずなのにと思い、彼らの机を開けると何も入っていない。おかしい?そう思いその法人に再度調査を要請する。
その後再調査したが同じ結果、しかも取引先に聞いても不審なことは見当たらないのであったが。。。



そもそもこの手の調査官が携帯を忘れるなんて話があるはずがない。携帯の紛失に関する企業の気の配り方は異常なくらいである。自分の会社でもそうだし、どこでも大変だ。一般企業でもそうなんだから、会計検査院の調査官が携帯を紛失するなんて話があるはずがない。
しかも、調査官が自分の身分証明書を街に落とすなんてこともあるわけないだろう。
そういうありえない話が、ストーリーのカギになるわけだから欠陥の多い脚本といわざるを得ない。
それに加えて途中から語られる壮大な地下帝国のような話は大胆だ。

大坂夏の陣で豊臣家が滅ばされるときに、後継ぎが逃げのびて、豊臣秀吉が好きだった大阪の町民たちがバックアップしていくなんて話はありえそうな話に思えてくる。
大阪の町民たちがみんな集合して、大阪にとって天皇みたいな存在の人を助けるなんて話はあってもおかしくない気もした。しかし、現実的にありえない。なぜなら大阪には朝鮮韓国系の人が他の都市に比べて格段に多い。16世紀朝鮮本土をむちゃくちゃに荒らしまくった秀吉は向こうでは罪悪人である。それを迎え撃つ李舜臣なんて男が英雄扱いされているんだからまあこの映画のようにはならないだろうなあ。

でもそういう欠点ばかりに目を奪われているだけでも仕方ないだろう。
土着の大阪の商店街の映像は楽しめたし、各俳優も悪くはなかった。堤真一はいつも通りのポーカーフェイスだし、東京出身なのに上方お好みの店主を演じた中井貴一もわるくない。綾瀬はるかは食欲満点でかわいい。
まあまあと評価すべきではないか?

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モーツァルトとクジラ

2011-12-31 15:49:21 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
映画「モーツァルトとクジラ」は自閉症にかかっている男女の恋を描く。
自閉症というと映画「レインマン」が連想される。あの映画は本当にすごかった。
今回はそういう2人が恋をしたらどうなるのかを描く。興味深く見れた。


主人公ことジョシュ・ハートネットは、タクシーの運転手として働く一見普通の若者である。彼はアスペルガー症候群という障害を抱えていた。しかし同じような障害を持つ仲間たちと集りを開き、環境に適応しようと努力している。
そこに若い女性のメンバーが参加した。他人の言うことをありのまま解釈してしまう美容師ことラダ・ミッチェルであった。自由奔放な女性であった。彼女をハロウィンのパーティに誘いたい彼はなんとか彼女とのランチに漕ぎ着ける。だが彼女は主人公がパーティ嫌いと知って、ハロウィンに仮装して一緒にショッピングへ行くことを提案した。ハロウィン当日。クジラの仮装をした主人公のところへモーツァルトの扮装に身を包んだ彼女が現れ、躊躇する主人公を街へと連れ出す。恋のはじまりを思わせる瞬間だったが。。。


映画「レインマン」でダスティンホフマンが演じた自閉症の男は鮮烈なイメージを残した。落ちたマッチの数を一瞬にして数えたり、難しい演算を一瞬にして解いたり、カジノでカードカウンティングをして大勝ちをしたりという映像に驚かされた。思わず自閉症に関する本を買ってしまったくらいだ。
今回の主人公にもその匂いはある。数字に強い。彼女も絵画の才能がある。でもどちらかというと症状は軽い。そうでないと恋はできないであろう。しかし、そのふるまいは不器用そのものである。見ていてやきもきする。そう観客に感じさせるのが狙いなんだろうけど。。。

この主人公もまともに相手の顔を見れない。視線をそらす。
恋なんてしたことないから相手に電話する瞬間もドキドキだ。そんなときめきを持って美容師の女性に接する。彼女もある意味同様だ。この女性はこだわりが強い。そのせいかかんしゃくを起こしてしまう。
そんな2人は近い存在なのになかなかくっつかない。そしてくっついた後もトラブルだらけだ。

バックで脇役を演じる同じ自閉症にかかった仲間たちが映し出される。自閉症患者の特徴を示すが、どちらかというと「カッコーの巣の中で」で映し出される統合失調症の人たちとダブってしまう。むしろ自閉症をオーバーに映し出しているような気もする。

せつない思いをしながら映像を見た。

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