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映画「経営学入門より ネオン太平記」小沢昭一

2019-09-16 17:36:37 | 映画(日本 昭和35年~49年)
経営学入門より ネオン太平記 [DVD]
小沢昭一


「経営学入門 ネオン太平記」は昭和43年の日活映画だ。

まだ日活はロマンポルノ路線にはなっていない。大阪のアルサロのマネジャーを小沢昭一が演じる。大阪万博開催2年前の猥雑な大阪の夜を映し出す。脚本は今村昌平だ。たぶんアルサロに実際に行ってしっかり取材してきたんだろう。大勢の女性をアルサロで稼がせる小沢昭一のセリフに取材の跡が見える。監督は今村昌平の下にいた磯見忠彦である。ゲストが超豪華で、渥美清三國連太郎野坂昭如黛敏郎だ。今村昌平人脈で北村和夫小沢昭一人脈で加藤武も出演している。かしまし娘も歌いだす。

アルサロすなわちアルバイトサロンである。プロのホステスではなくアルバイトの素人が男性陣のお相手をする。ボックスに入ってぶちゅっと激しいサービスだ。グランドキャバレーよりサービスは過剰である。東京近郊で以前は見た気もするが、キャバクラの繁栄のあと熟女パブの登場で首都圏では死語に近いものがある。この映画大勢のアルサロの女性が出ているけど、松尾嘉代、吉村実子という一部女優陣以外はホンモノのアルサロの女の人かもしれない。


ストーリーはあるようでないようなものだ。大阪郊外の街にあるアルサロはライバルのクラブとの競争が激しい。素人さが受けるんだよと過激なサービスをマネジャー(小沢昭一)が要求している。アルサロの経営者は市議会議員を自分の店で過剰接待して、キャバレーにトルコ風呂が加わったような飲み屋ビルを計画している。その計画を聞きつけたヒステリーばばあたちが店に怒鳴り込んできているが、マネジャーは軽くあしらっている。

マネジャーには妻(園佳也子)と娘がいるが、妻とは内縁状態だ。籍を入れていない。夜を妻に求められても逃げるばかり。それもそのはず、キレイどころはしっかりと自分のものにしている。双子の美人姉妹(古川潤子、由子)が入店してきて姉の方に手をつける。そんな関係も次第にわかって大騒ぎなんてよくある話だ。


いきなり2人の顧客をアルサロの女性が取り囲んでボックスで激しいサービス、おや、この2人見たことあるぞ。かたや落語家桂米朝でもう1人メガネをかけているのは小松左京だ。まだ日本沈没は書いていない。小沢昭一が演じるマネジャーが夕礼でホステスたちに客からしっかりと金をふんだるよう激励している。指名が入ればチップが出るぞとばかりに指導する。これ以上ふんだくられたらヤバイと客は飛び出そうとする。そうはいかないオンナたち、いきなりその攻防だ。


大阪郊外の街を映し出す。これは京阪電車であろうか?最初は守口という看板が見える。飲食店の看板にある価格が安い。ボーリングは朝が100円、昼は150円、6時過ぎが200円となっている。ボーリングブームはこの2年後だ。万博も始まっていないし、狂乱物価の時代でもない。

一流のホステスは日給1000円は稼ぐぞ!とマネジャーがせっつく。収入も少ないかもしれないが、いい時代である。最後に大阪の中心部中之島あたりをアルサロの店員がマラソンで行進するシーンが印象的だ。首から下げているゼッケンに仁丹とかパイオニアとかバヤリースなんて会社名が書いてあるのは笑える。


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