映画「どっこい生きている」は昭和26年(1951年)公開の今井正監督作品、名画座で見てきました。
昭和26年のキネマ旬報の5位に位置する作品だ。今井正監督というとキネマ旬報ナンバー1作品が5作もある名監督だけど、彼の作品はあまりdvdレンタルには置いていないし、アマゾン価格も高い。こういう今井正特集は貴重だけど、仕事も忙しいのでこの日に焦点を絞る。
戦後の復興途中でまだ貧しかった東京の街で、底辺を彷徨う家庭にスポットをあてる。朝早くから職安に大勢集まる労務者の姿を映しだす。そこには男性労働者だけでなく赤ちゃんを背に背負った主婦の姿もある。なんとなく次の展開が予測できてしまうような脚本だけど、東京の昭和20年代を再現したセットで今の俳優が演じるのでなく、平屋のボロ家が立ち並ぶリアルな20年代映像が実に迫力がある。社会性が強いと言われる今井正監督の作品にしては赤系イヤミはなかった。今は格差社会といわれるが、この時代は半端じゃなかったことがうかがわれる。今を悪く言う人どう思うんだろうなあ。
毛利修三(河原崎長十郎)は日雇い労働者で職安に通う身だ。ようやく妻(河原崎しず江)と子供二人を養っていたが、借家の立ち退きを迫られ途方に暮れる。やむなく妻と子供を田舎へかえして、自分は労務者向けの簡易宿で寝泊まりし、日雇い生活を続ける。何気なくある町工場の旋盤工募集のビラを見て、訪問すると雇われることがきまった。しかし、給料日までしのぐ手持ちの金が全くないので、職安仲間の水野(木村功)から金を借りようとするが、子だくさんの大家族で生活は苦しそう。同じ寮に住む秋山婆さん(飯田蝶子)に頼むと、戦災者寮の連中から少しづつカンパを集めて400円を集めてくれた。ところが、その夜簡易宿にいる花村(中村 翫右衛門)からすすめられた酒を飲みすぎてしまい、酩酊してしまいお金を持っていることが雑魚寝の同宿の連中にばれてしまう。そして、寝た間に誰かに現金を盗まれてしまう。しかも、最初に前借話を工場主にしていたことを嫌がられ、町工場の就職もふいになってしまう。途方にくれたとき、花村に悪い仕事を一緒にやろうと誘われて手を出してしまうのであるが。。。
1.昭和26年のキネマ旬報ベスト10
1位が小津安二郎の「麦秋」、2位が成瀬巳喜男の「めし」と原節子作品が2作続き、3位が吉村公三郎監督で京マチ子主演の「偽れる盛装」、4位が木下恵介監督で高峰秀子主演の「カルメン故郷に帰る」と日本映画史の代表作が並んでいる凄い年なので、5位であっても仕方ないだろう。上位の4作に比べると、社会のドツボな面が大きくクローズアップされる。何より昭和26年のまだ舗装されていない道路が多い東京の姿が良くとらえられている。
2.飯田蝶子
自分が子供のころ、テレビのおばあちゃん役というと飯田蝶子か浦辺 粂子だった。飯田蝶子といえば、加山雄三の若大将シリーズのおばあちゃん役が代表作だろう。あの映画では老舗スキヤキ屋の店主の母親で、典型的な江戸の商家によくいる孫に甘いやさしいおばあちゃんだった。ここではやり手ババアといった感じで、男まさりで一歩も引かないというたくましい面が前面に出ている。なかなかの好演だ。
3.追いつめられる主人公
主人公は戦前二人の旋盤工を雇っていた町工場の主だったという。戦争で潰してしまったのか、有名なお化け煙突が見えるおそらくは足立方面のボロ屋に住むが、建て替えに伴う立ち退きにあう。行き先もなく、妻と子供を実家に帰し、相変わらずの日雇い暮らし。ようやく定職にありつけたと思ったら、持ち金がなく、知人の長屋仲間のカンパでなんとか助かる。ところが、簡易宿泊所で酔いつぶれてしまい、ごろ寝で寝ている中で金を盗まれる。
てな感じで徹底的に主人公をイジメ抜く。この後もイジメが続く。
これでもかこれでもかといじめてあとは死ぬだけというとところにまで持っていくが、最後に一筋の光を与える。でもこの人たちうまくいくのかしら??
昭和26年のキネマ旬報の5位に位置する作品だ。今井正監督というとキネマ旬報ナンバー1作品が5作もある名監督だけど、彼の作品はあまりdvdレンタルには置いていないし、アマゾン価格も高い。こういう今井正特集は貴重だけど、仕事も忙しいのでこの日に焦点を絞る。
戦後の復興途中でまだ貧しかった東京の街で、底辺を彷徨う家庭にスポットをあてる。朝早くから職安に大勢集まる労務者の姿を映しだす。そこには男性労働者だけでなく赤ちゃんを背に背負った主婦の姿もある。なんとなく次の展開が予測できてしまうような脚本だけど、東京の昭和20年代を再現したセットで今の俳優が演じるのでなく、平屋のボロ家が立ち並ぶリアルな20年代映像が実に迫力がある。社会性が強いと言われる今井正監督の作品にしては赤系イヤミはなかった。今は格差社会といわれるが、この時代は半端じゃなかったことがうかがわれる。今を悪く言う人どう思うんだろうなあ。
毛利修三(河原崎長十郎)は日雇い労働者で職安に通う身だ。ようやく妻(河原崎しず江)と子供二人を養っていたが、借家の立ち退きを迫られ途方に暮れる。やむなく妻と子供を田舎へかえして、自分は労務者向けの簡易宿で寝泊まりし、日雇い生活を続ける。何気なくある町工場の旋盤工募集のビラを見て、訪問すると雇われることがきまった。しかし、給料日までしのぐ手持ちの金が全くないので、職安仲間の水野(木村功)から金を借りようとするが、子だくさんの大家族で生活は苦しそう。同じ寮に住む秋山婆さん(飯田蝶子)に頼むと、戦災者寮の連中から少しづつカンパを集めて400円を集めてくれた。ところが、その夜簡易宿にいる花村(中村 翫右衛門)からすすめられた酒を飲みすぎてしまい、酩酊してしまいお金を持っていることが雑魚寝の同宿の連中にばれてしまう。そして、寝た間に誰かに現金を盗まれてしまう。しかも、最初に前借話を工場主にしていたことを嫌がられ、町工場の就職もふいになってしまう。途方にくれたとき、花村に悪い仕事を一緒にやろうと誘われて手を出してしまうのであるが。。。
1.昭和26年のキネマ旬報ベスト10
1位が小津安二郎の「麦秋」、2位が成瀬巳喜男の「めし」と原節子作品が2作続き、3位が吉村公三郎監督で京マチ子主演の「偽れる盛装」、4位が木下恵介監督で高峰秀子主演の「カルメン故郷に帰る」と日本映画史の代表作が並んでいる凄い年なので、5位であっても仕方ないだろう。上位の4作に比べると、社会のドツボな面が大きくクローズアップされる。何より昭和26年のまだ舗装されていない道路が多い東京の姿が良くとらえられている。
2.飯田蝶子
自分が子供のころ、テレビのおばあちゃん役というと飯田蝶子か浦辺 粂子だった。飯田蝶子といえば、加山雄三の若大将シリーズのおばあちゃん役が代表作だろう。あの映画では老舗スキヤキ屋の店主の母親で、典型的な江戸の商家によくいる孫に甘いやさしいおばあちゃんだった。ここではやり手ババアといった感じで、男まさりで一歩も引かないというたくましい面が前面に出ている。なかなかの好演だ。
3.追いつめられる主人公
主人公は戦前二人の旋盤工を雇っていた町工場の主だったという。戦争で潰してしまったのか、有名なお化け煙突が見えるおそらくは足立方面のボロ屋に住むが、建て替えに伴う立ち退きにあう。行き先もなく、妻と子供を実家に帰し、相変わらずの日雇い暮らし。ようやく定職にありつけたと思ったら、持ち金がなく、知人の長屋仲間のカンパでなんとか助かる。ところが、簡易宿泊所で酔いつぶれてしまい、ごろ寝で寝ている中で金を盗まれる。
てな感じで徹底的に主人公をイジメ抜く。この後もイジメが続く。
これでもかこれでもかといじめてあとは死ぬだけというとところにまで持っていくが、最後に一筋の光を与える。でもこの人たちうまくいくのかしら??