映画とライフデザイン

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映画「おみおくりの作法」

2015-09-09 17:49:29 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「おみおくりの作法」は2015年日本公開の英国映画

孤独死した人を弔う民生係を描いた作品である。題名から日本映画「おくりびと」を想像してしまうが、主人公は葬儀屋ではなく公務員である。地味そうにみえて映画館には足を運ばなかったが、非常に繊細で胸にしみる映画であった。


ロンドンの南部ケニントン地区の民生係ジョン・メイ44歳(エディ・マーサン)はひとりきりで亡くなった人の葬儀を執り行うのが彼の仕事である。几帳面で、何事にもきちんとしているジョン・メイは、孤独死した人の家族を見つける努力を怠らない。彼らのためにしかるべき葬礼の音楽を選び、その人ごとに弔辞を書く。亡くなった人々の魂が、品位ある方法で眠りにつくのをきちんと見届けるのが彼の作法だった。

毎日同じ服を着て、遅れることなく仕事に行くジョン・メイ。まったく車が通らないような道であっても、渡る前には必ず左右確認。毎日同じ昼食をとり、帰宅すると同じメニューの夕食をとる。夕食後には、これまで弔った人々の写真をアルバムに収めるのが彼の日課だ。


ある日の朝、ジョン・メイの真向いのアパートで、ビリー・ストークという年配のアルコール中毒患者の遺体が見つかる。いつも亡くなった人の想いを汲み取り続けてきたジョン・メイだが、自分の住まいのすぐ近くでその人を知らぬままに孤独のうちに人が亡くなってしまった……。小さなショックを受けるジョン・メイ。さらに、その日の午後、ジョン・メイは解雇されることを言い渡される。「君は仕事に時間をかけすぎだ」。

こうして、ビリー・ストークの案件はジョン・メイの最後の仕事になった。これまで以上に仕事に情熱をかたむけるジョン・メイ。彼はビリー・ストークの部屋から古いアルバムを見つける。そこには、満面の笑みで笑う少女の写真が貼られていた。ジョン・メイは写真を手掛かりに、ロンドンを飛び出してイギリス中を回り、ビリーの細切れの人生のピースを組み立ててゆく……。(作品情報より)

1.孤独死した人の死後処理をする仕事
日本でも高齢化が進み、老人の孤独死がときおり話題になる。この主人公はまさに孤独死の人たちの死後処理を一手に引き受ける公務員だ。部屋の中に残された故人に関わりのある資料を手がかりに、親族や友人を探す。しかし、孤独死するくらいであるからみんな故人に関わりをもちたくないのである。それでも、主人公は葬儀に参列し弔辞を書く。1人しか参列しないこともよくある。寡黙で誠実な男でバカまじめといってもいい。どちらかというとまじめな日本人に多いタイプのような気がする。

2.最後の仕事
孤独死した人の葬儀を出してあげるだけでも費用がかかるし、遠くまで故人の身寄りを探すとなると交通費もかかる。経費過多と上層部がみなしても、それ自体はおかしなことではない。上司は時間をかけ過ぎだと解雇されてしまう。これはちょっと大胆かなという気もする。
最後の仕事は自分の身近でおきたことである。アル中男だったけど、残された少女の写真を見て、今まで以上に親身になって探してしまうのだ。英国中を探しまわり、元妻や娘、そして昔の友人にあう。誰もいい顔をしない。それでも主人公は地道に追っていく。


公務員が最後の仕事に執着するというのは黒澤明監督「生きる」に似たパターンだ。志村喬演じる区役所の職員が公園をつくろうと最後の力を振り絞って仕事をする姿は胸にしみる。志村扮する職員はがんに侵されているという設定だが、ここでは解雇での最後の仕事と設定は違う。でも両者には通じるものがある。

3.最後に向けてのどんでん返し(軽いネタバレだけど)
最後の仕事を情熱をもって成し遂げようとしつつあるとき、主人公は思わぬ災難にでくわす。孤独死で誰も立ち会わない葬儀にも出席してきた主人公には家庭の匂いが全くしなかったが、災難に出くわした時誰も面倒をみないとはちょっと悲しいなあと思ってしまう。
でも最後に奇跡が起きる。


人のためにしてあげたことは必ず返ってくると言わんばかりの持っていき方だった。
他人に尽くすことの大事さを改めて感じさせてくれただけでもこの映画を見た甲斐があった。ケビンコスナ―「フィールドオブドリームス」を見たときに感じた後味であった。

(参考作品)
おみおくりの作法
解雇された公務員の最後の仕事


生きる
がんに侵された役所職員が最後の力をしぼって仕事する。

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