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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「るろうに剣心 最終章 The Final 」佐藤健&新田真剣佑

2021-04-25 19:09:00 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「るろうに剣心 最終章 The Final 」を映画館で観てきました。


るろうに剣心の新作がついに公開された。当然すぐ観にいく。第1作目るろうに剣心を観て、そのスピード感に圧倒された。佐藤健もこの作品で一皮むけた。でも第1作目からもう9年も経つのね。このシリーズは日本の時代劇の革命ではないかと思う。大友啓史監督はこれで新時代を築いた。アクション監督谷垣健治による剣の対決をさばくカメラの腕前にもうなる。

当然強いライバル剣士がいるから、るろうに剣心も映える訳で、第1作の吉川晃司から強敵を目の前に揃えてきた。今回は中国語を話す妙な若者が出てくる。これも強い。見たことないやつだなあ?映画の間、誰なんだろう?ジャニーズ系かなと姿を追う。終わって作品情報を見ると新田真剣佑という名だ。知らない。でも、調べてみたら千葉真一のセガレだ。それで妙に納得。途中で肉体を見せると、妙に筋肉隆々としている奴だと思ったっけ。


明治12年、かつて<人斬ひときり抜刀斎>として恐れられ、激動の幕末を刀一本で戦い抜いた男、緋村剣心(佐藤健)。新時代を迎え、二度と人を殺さないと誓う。斬れない< 逆刃刀>に持ち替え、日本転覆を狙った志々雄真実をはじめ数々の敵との戦いを乗り越えた今は、仲間たちと平穏な日々を送っていた。


ある日、東京が何者かに攻撃され、次々と大切な人々が襲われた剣心は、次第に追い詰められていく。憔悴しきった彼の前に現れたのは、あの志々雄に武器や軍艦を送り込んでいた上海マフィアの頭目・雪代 縁(新田 真剣佑)。剣心の<十字傷の謎>を知る彼こそが、剣心自らが生み出してしまった最恐最悪の敵だった。剣心に強烈な恨みを持ち、剣心だけではなく<剣心が作った新時代>をも破壊するため<人誅じんちゅう>を仕掛けてくる!

全てを悟った剣心は「自分のせいでござる」と、薫(武井 咲)や仲間達を集め自分の過去を語り始める。今まで語られることのなかった衝撃の過去に仲間たちはショックを受ける。その矢先、遂に縁による東京への総攻撃が開始され、一瞬で修羅場と化す。そして縁の復讐の刃は神谷道場の仲間たちにも容赦なく向けられていく。逃れられない運命を背負い、愛する者のため全てをかけて立ち向かう、究極の戦いが始まる。(作品情報より)


映画ではいつものように、佐藤健やライバルたちが立ち回る空間を思いっきり使った「刀アクション」が冴え渡る。それはそれでお見事だ。今回の悪役新田真剣佑もおそらく千葉真一のセガレなら小さい頃から鍛えられていただろう。香港の武侠映画を見るような娯楽性にあふれている。


その他にも「ジョーカー」や「ダークナイトライジング」を意識するような化け方をした悪役たちを次から次へと文明開化日本をぶち壊すが如く映画に放つ。第1作で香川照之がぶっ放していた旧型機関銃を乱射させたり、悪さし放題だ。また、伊勢谷友介や神木隆之介などこれまでの作品で、佐藤健のライバルになった男たちが再登場する。存在だけでワクワクさせる。

でも、もう少し時間を短くできたかな?と思う。凡長になってしまう場面も多い。経済学でいう、限界効用逓減の法則のような気分かもしれない。あともう一作、それは行ってみたい。
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映画「喜劇 愛妻物語」 濱田岳&水川あさみ

2021-04-21 20:04:44 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「喜劇 愛妻物語」は2020年日本公開


名作『百円の恋』の脚本家・足立紳が、自伝的小説「喜劇 愛妻物語」を自ら脚色した監督作品である。カネなし脚本家と夫を罵倒する奥さんの物語だ。昨年のキネマ旬報ベスト10の8位にランクインしている。


「百円の恋」の持つ湧き出るような高揚感はすごかった。演じる安藤さくらに凄みを感じたが、当然足立紳の脚本も良くできている。濱田岳を主演に起用しているならそれなりにレベルは期待できる。映画館で観ようかと思ったらあっという間に終了していた。

結果的には普通かな?稼ぎのない旦那に呆れながら、子どもがいるので自ら金を稼ぐ妻が、夫にはキツイという世間にありがちな夫婦である。いつも吠えまくっている奥さんを見て、ウチと同じだなと思う男性諸氏は多いだろう。喜劇というが、そんなには笑えない。

濱田岳はヤラレキャラなので適役、風俗に行く金もないので、やらせてくれと常に愛妻?に懇願する夫というのは逆に見ないけど、まあ原作者はそんな感じなのかな?

売れない脚本家の豪太(濱田岳)は、チカ(水川あさみ)と結婚して10年目。5歳の娘のアキ(新津ちせ)がいる。脚本家としての年収は50万円程度で、もっぱら生活費はチカに頼っている。チカも豪太の情けなさに呆れ果て、口を開けば罵倒の言葉が飛び出す毎日だ。

豪太のさしあたっての問題は、チカと三ヶ月セックスしていないこと。人並みの性欲を失っていない豪太は、チカのご機嫌を取り、あらゆる手段を使ってセックスに持ち込もうとするのだが、けんもほろろに拒絶され続けている。

ある日、豪太は旧知のプロデューサーに預けていたホラー映画の脚本の映画化が決まったことを知らされる。豪太が以前に「四国にいる高速でうどんを打つ女子高生」の存在を知って、映画の企画書を提出していたのだ。脚本化するに運転免許がない豪太は、チカに運転係として同行してくれるよう説き伏せ親子3人で高松への取材旅行に行くことになった。


金がないのでチカが手配した旅程は、東京から高松まで丸一日かけて鈍行列車に乗る強行軍。しかも初日の宿はビジネスホテルのシングルルームで、チカは豪太とアキがチェックインした後に、裏口から潜入して合流するという。

しかし翌日、「高速でうどんを打つ女子高生」の家を訪れるが、彼女をモデルにした映画とアニメの企画が同時進行していると知らされる。豪太は完全に出遅れていたのであるが。。。(作品情報引用)

濱田岳の情けなさを強調する。ようやく脚本が採用されそうになったのに、同じターゲットを狙ったライバルがいて難しそう。奥さんもなんとか亭主に仕事をと思ってもうまくいかない。いい加減愛想をつかす。


どちらかというとイイ女系の水川あさみも街によくいる口うるさい奥さんという感じだ。ふと気づくとキネマ旬報の主演女優賞だったのね。

自伝的作品ということなら、出世見込みはない脚本家に映画ではなっているけど、結果的には世に出れてよかったんじゃない。
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映画「泣く子はいねぇが」仲野大賀&吉岡里帆

2021-03-28 21:33:30 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「泣く子はいねぇが」は2020年の作品

泣く子はいねぇが」はここに来て活躍が目立つ仲野大賀主演の映画である。Netflixで時間潰しのつもりでみたが、予想よりもおもしろい。子供の成長を願って、鬼に扮した男たちが幼児のもとを夜歩き回る「ナマハゲ」の伝統行事で大失態を犯して、田舎を追われて東京にいた主人公が地元に戻って穴埋めをしようともがく顛末である。みじめな男の物語なんだけど、そのみじめさに妙に感情流入してしまうのだ。


年末大晦日になると、TVのニュースで毎年恒例の「ナマハゲ」行事が映っているのは何気なく見ていて知っていた。小さい頃は、泣き止まぬ子どもを鬼が脅かすのをTVで見て、うちにだけは来て欲しくないなあと思ったなあ。そんな伝統行事が代々行われている秋田の男鹿という町がある。行ったことはない。


たすく(仲野大賀)は、娘が生まれ喜びの中にいた。一方、妻・ことね(吉岡里帆)は、子供じみて、父になる覚悟が見えないたすくに苛立っていた。大晦日の夜、たすくはことねに「酒を飲まずに早く帰る」と約束を交わし、地元の伝統行事「ナマハゲ」に例年通り参加する。しかし結果、酒を断ることができずに泥酔したたすくは、溜め込んだ鬱憤を晴らすように「ナマハゲ」の面をつけたまま全裸で男鹿の街へ走り出す。そしてその姿をテレビで全国放送されてしまうのだった。


それから2年の月日が流れ、たすくは東京にいた。ことねには愛想をつかされ、地元にも到底いられず、逃げるように上京したものの、そこにも居場所は見つからず、くすぶった生活を送っていた。そんな矢先、親友の志波からことねの近況を聞く。ことねと娘への強い想いを再認識したたすくは、地元に戻る決意をする。だが、現実はそう容易いものではなかった。(作品情報引用)

⒈シングルアゲイン
仲野大賀演じる主人公は、美人の奥さんにも恵まれ、可愛い赤ちゃんが生まれた。そもそもだけど、まだ子供が生まれたばかりなのに、実際裸で失態をしてしまっただけで、離婚するのかなあ?というツッコミはある。とはいうもののそれが前提のストーリーだから仕方ない。

今のご時世、カッコ良くて頭もいいという男だけがモテるわけでもない。周囲の若い男たちを見ていても良くわかる。この仲野大賀が演じるやさしそうなホンワカムードの男の方がむしろモテるんじゃないかな?であるから、映画の中でも若い女の子が気がついてみたら主人公のアパートに転がり込んできて誘惑されるなんてシーンすらあるのだ。

それにしても、元妻に未練たらたらである。キャバ嬢になっていると聞いて、そこへ行ったりもするのだ。そういうみじめったらしい部分にちょっと共感を覚える。

⒉仕事のない田舎
東京に行ったけど、自分の居場所がなく、もう故郷に一度戻ってくる。かなりの敗北感を持っての帰還であろう。もともと実家は製材所を営んでいたようだ。工場の気配をそのまま残している。でも、兄貴もやる気がない。

実家に戻ってきたとき余貴美子演じるお母さんが暖かく迎えてくれる。こんなシーンがいいなあ。お母さんは地元の水族館の前でアイスクリームを売ったりしている。同じようにアイスクリーム売っているおばさんたちの運び役を主人公は任されるのだ。


役場に行って職の希望を言うと、柳葉敏郎演じるナマハゲの保存委員長のような奴に何でお前戻ってきたんだとなじられる。祭りの日に裸になるやつなんて他にもいると思うんだよなあ。みじめだなあ。また、そこで同情してしまう。

⒊妻の再婚
いちばん哀しいのは妻の再婚話だな。勤めているキャバクラを探しあてて、突撃するのだ。でも、白い眼でしか見られない。娘にも合わせてくれない。しまいには、再婚するんだと言われてしまう。

正直、前夫との子供がいる女って再婚はなかなか厳しい部分があるのは事実。吉岡里帆くらい可愛いと別なんだろうけどね。だからセリフを聞いて、そう言っているだけだと思ったら、本当に再婚するんだ。

しかし、ここで主人公は一世一代の勝負にでる。
これはネタバレだから言えないが、心から応援したい気になった。映画の後味は悪くない。
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映画「まともじゃないのは君も一緒」成田凌&清原果耶

2021-03-25 22:43:51 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「まともじゃないのは君も一緒」を映画館で観てきました。

気になるラブコメディだった。結果観て良かった。


「まともじゃないのは君も一緒」の脚本の高田亮は自分が好きなレベルの高い作品さよなら渓谷」「そこのみにて光り輝く」「オーバーフェンスの脚本を担当している。いずれも近年の日本映画を代表する傑作である。登場人物のキャラクターもなんか面白そう。映画館に向かう。

世間ズレした予備校数学教師が話がかみ合わない個別指導の女子高校生に恋愛指南を受け、女子高校生が憧れる有名人の彼女に接近していく話である。話自体は単純である。ストーリーに意外性もない。でも、おもしろい。主人公2人のキャラクターに嫌味がないせいだろうか?TVのトレンディドラマでも作れそうな作品だけど、1時間半に簡潔にまとめたのも好感が持てる。

18歳の高校生香住(清原果耶)は、個別指導の予備校で数学一筋でコミュニケーション能力ゼロの予備校講師大野(成田凌)の指導を受けている。授業内容から脱線すると、2人の会話は全くかみ合わない。大野は世間ズレしていて、女性には縁がない。かっこいいので大野に憧れる女子予備校生はいるけど、どう付き合っていいのかわからない。香住が話を聞いて呆れている。


一方の香住も口は達者でませているけど、恋愛経験はない。そんな香住は自己啓発セミナーで未来を語る青年実業家宮本(小泉孝太郎)に憧れている。積極的な香住は宮本にアプローチを試みるが、宮本には美奈子(泉里香)という彼女がいることが判明する。すると、香住は宮本と美奈子を別れさせようと、大野への恋愛指南の一環で、大野から美奈子を口説くように作戦を立て実行に移すのであるが。。。

香住の作戦はかなり強引で絶対にうまくいくはずがないと思っていた。でも、予想に反して、素朴な大野に美奈子も惹かれる。普通の会話ができるようになっていく大野の姿に、香住は彼氏がとられてしまうような気持ちが沸き、複雑な感情を抱くのである。ジャンルはラブコメディというべきであろうか?ウディアレンの映画のタッチが近い気がする。

⒈清原果耶
すごくかわいいんだけど、実はあまりよくは知らない。背も高すぎず男好きがする。庶民性がある雰囲気を持った女の子だ。このセリフを難なくこなせるのはかなり賢い。大物になる予感がある。

女子の同級生の輪に入っても人の陰口ばかり叩いている仲間に馴染めない。自己啓発セミナーのカリスマのような男に高校生で憧れて、しかも積極的にアプローチするませた女の子っているのかな?と思ってしまうが、会社でもいい男を見つけるとここぞとばかり積極的な若手女子社員っているから何となくわかる。同期の実家のスナックに行って、酔客を相手に恋の愚痴を言ったり、カラオケで歌いまくるシーンがいい感じだ。


ここでは清原の両親役がいない。普通だったら受験生はこんなに夜出歩いたりしないよね。いちいち両親がいるシーンを映し出したら不用意に長くなるだけ。これはこれで映画を簡潔に求める巧みな要素となっている。

⒉成田凌
さよならくちびる」のマネジャー役が自分としていい感じだった。恋愛映画系ではもう常連になりつつある。

村上春樹の「1Q 84」の主人公が予備校の数学教師だったのをふと連想した。そういえば17歳の主人公に対峙する天才小説家の少女が登場する。あの主人公は、年上女とやりまくったりして女と付き合えるが、この男は女性との会話がトンチンカンな方向に進む。恋愛には不器用だが、かっこいいので女からは好かれる。でも恋愛の空気が全く読めない。香住の指示には素直に従う。


本当は数学を極めたいけど、周囲にもっと頭の良い奴がいるから予備校の教師になっちゃったと言っている。理系の一歩頭が抜けたやつにぼーっとした奴いるけど、どこかの時点で周囲の影響を受けて垢抜けたりするけどね。

自分が受験生時代は、今も受験界で活躍する長岡亮介が数学を教えていた。切れ味が鋭かった。当時はまだ30代になるくらいでカッコ良く、周囲には美人の女性予備校生と付き合っているなんて噂があったな。その後数学者として著名になった秋山仁が常に意識してたっけ。

⒊小泉孝太郎
小泉純一郎が首相の頃にデビューしたので、ずいぶんと経つけど、主演を張るという俳優にはならない。今回の青年実業家で、自己啓発セミナーで教祖的存在という役柄は適役のような気がする。キャスティングには成功している。ホテル事業の経営者の娘が彼女で、父親ともビジネスでも一緒という設定はコロナ前なら十分セレブだったなあ。さすがに、コロナ後に撮影するならホテル業がえらい目にあっているので、この設定がないかもしれない。


あと、気づいたんだけど、苗字が宮本だ。これって小泉孝太郎の実母の苗字と同じだ。実母も講演とかするけど、機関銃のようにしゃべりまくる女だ。離れているけど、もしかして意識しているのかな?

⒋ウディアレン映画のタッチ
舶来のラブコメディ映画は日本人には人気がない。アメリカで興行収入が高くてもDVDスルーになることすらある。その中でも、ウディアレン作品は別格だ。最近は何かと問題あり風当たりが強いけど、安定しておもしろい。この映画はそれに通じる。あと、ウディアレン作品には欠かせないドリーショット的移動撮影がここでも多用されている。


すなわち、成田凌と清原が歩きながら会話するのを後ろに引き込むようにカメラが長回しするのだ。柳ジョージの歌にも出てくる横浜元町の石畳の坂を2人でしゃべりながら降りていく姿を長回しで映し出すショットはアニーホールの頃からのウディアレンの得意技と同様だ。アレンの映画には毎回この手法のショットがある。


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映画「花束みたいな恋をした」菅田将暉&有村架純

2021-02-03 21:01:43 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「花束みたいな恋をした」を映画館で観てきました。


映画館に行き、観る作品を突然別のものにするなんてことは滅多にない。「ヤクザと家族」を観るつもりだったが、暗くギスギスしたのはこの気分にはどうかな?とふと感じてしまう。一連の出演作はつい観てしまう菅田将暉も出ているし、あっさり「花束みたいな恋をした」に変更する。「東京ラブストーリー」の坂元裕二の脚本というのも気になるところだ。

終電に乗り損なったときに知り合った大学生の恋人同士が2015年から2020年までの歩む道のりを映し出す。2人の恋の軌跡はビックリする様なものではない。妙に社会性があったり、アピールする部分が強い訳ではない。普通にありがちな話とも言える。そんなオーソドックスな若者の恋の物語を観るのはたまにはいいものだ。

2015年、明大前駅で京王線の最終電車にギリギリ乗ろうとしていた大学生の麦(菅田将暉)と絹(有村架純)は同じように乗り損なった男女と4人で居酒屋に行ってしまう。話しているうちにお互いの音楽や本の趣味が似ていることに気づく。そのまま帰ろうとしたときに絹が声をかけて、そのまま飲み明かすことになる。これをきっかけに2人は博物館や美術館にデートをするようになり、恋に落ちて行く。就活を一生懸命頑張ったけど、結局2人ともフリーターになってしまう。


麦はスケッチの才能があり、それを活かしてデザインの道を歩もうとしたが報酬が安くてこれでは生活できない。絹はアイスクリーム屋のバイトをしながら、簿記を勉強している。絹は麦のアパートに入り浸りだったが、いっそ一緒に住んだほうがいいじゃないかと同棲をはじめる。やがて、絹は医療事務の職を得た。麦も懸命に就職活動してネット通販関係の営業マンに職を得る。


定時で帰れる仕事と勤めはじめた麦だったが、何かと雑用もあり早く帰れない。約束していたデートも流れることもある。忙しさが募り、恋のはじめのようなときめきもなくなりつつあったのであるが。。。

⒈プロフィール
麦(菅田将暉)は普通の大学生で調布のアパートで一人住まいしている。何でもスケッチしてしまう才能があり、デザインの道に進みたい希望がある。プロカメラマンの事務所にも出入りしている。ガス会社のガスタンクに興味があり、それを映像にしてしまう。Googleストリートビューに写ったと大学でおちゃらけて自慢してまわる。ジャンケンのルールに疑問を感じている。


絹(有村架純)は広告会社に勤める父母と姉と暮らしている。グルメブログで大量のアクセスがあったことが自慢で、ラーメン屋をまわっている。本が好きである。その趣味は麦と偶然一致する。ジャンケンについても同じこと考えている。終電に乗り損なって麦の家に行くと、自分の本棚と同じような本揃いに驚く。気がつくと、同じ白いスニーカーを履いている。


この2人の恋に劇的な物語があるわけではない。殺人や傷害の事件が絡むというわけでもない。第三者が恋の邪魔をする訳でもない。菅田将暉の前作「糸」が盛り沢山な時事題材を用意して焦点が定まらずちょっと凡長な気がした。就活に苦労するなんて話はあれど、アベノミクスが定着した2015年スタートのお話ではドツボにハマる訳ではない。すごく身近で、自分の恋に照らし合わせて何かを感じるというタイプの作品だと思う。恋の抑揚がウソっぽくなくて、そこに親しみを感じる。

同棲して住むのが、調布駅徒歩30分だという多摩川べりの賃貸マンションだ。これはロケハンの勝利だ。よくぞ探してきたという眺望の良い部屋は、それ自体で一つのキャラクターだ。そこで2人は愛を育む。

それもいいけど、最後に向けての横浜の場面も好きだな。ちょっとわざとらしいけど、2人の恋愛当初と同じような別の恋が芽生えつつある2人を登場させる今回の設定は悪くない。でも、この続編があってもおかしくないような気もする。

⒉固有名詞にこだわるセリフ
こういう脚本は男性特有かなと感じる。オタクぽく妙に固有名詞にこだわる。好きな作家の名前が2人から会話で具体的に次から次へと出てくる。あそこにいる2人はカンブリア宮殿の村上龍と小池栄子みたいだとか、菊地成孔の名前も出てきたり、ここまで固有名詞にこだわる映画は最近少ない。坂元裕二は自分の好みを探ったのか、それともオタクの気があるのかなあ?

これって若者が観る映画だと思うけど、映画の宣伝で「東京ラブストーリー」の脚本家作品と言っても、あのTVを放映したのは生まれる前の若者の方が多いかもしれない。


映画の中の映画の手法で、二人が見る映画がアキ・カウリスマキ監督作品であった。きっと誰かが好きなのかな?「希望のかなた」はそんなに好きじゃなくてブログアップしていないんだよな。

⒊2人が知り合うきっかけとなった大物
これには驚いた。終電に乗り遅れた時、同じように乗り遅れた男女とともに飲み屋に入る。そこで、菅田将暉演じる麦が、飲んでいる有名人を見つける。「ここには神がいる」とみんなに同意を求める。他の男女は映画に関わる人だと分かると別の映画の話になる。そこはそれで終わって、お店を出て別れた後に、有村架純演じる絹が押井守の名前を出して、わたしもびっくりしたと麦に声をかける。気がつくと、もう一軒飲みに行っている。これが恋のきっかけだ。

なんと!実際に押井守氏が出てくる。おいおい、つい最近押井守氏の映画本を読んだばかりである。「押井守の映画50年50本」という本は実にためになった。

自分の出身高校の大先輩には山田洋次監督なんて映画界の大物がいるが、ここでいう神の押井守氏は高校の部活の大先輩である。かなり身近だ。押井氏と同じ代の先輩によれば、OBの集まりには来たことないとのこと。有名人が他に2人いるわれわれの部(班)のOB会名簿にはある。

まさに純粋の先輩だけに今日は得した気分だ。恋のキューピットになったとなれば先輩もうれしいだろう。世の中何があるかわからない。
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映画「無頼」井筒和幸

2021-01-09 08:03:23 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「無頼」を映画館で観てきました。


「無頼」井筒和幸監督にとっては黄金を抱いて翔べ以来8年ぶりの作品である。「この世界に残されて」という比較的薄味の映画で今年の映画館鑑賞をスタートしたので、井筒ブランドで一転ハードと思しき映画に行くことにした。上映している新宿K‘sシネマは元やくざ映画専門の地味な映画館新宿昭和館であったが、逆に建替えたk’sシネマは割ときれいで驚く。昔とイメージ違う。この映画では1人の極道者の人生を少年のころから還暦すぎるまでその時代を代表する出来事をちりばめながら追っていく。

井筒和幸監督作品では「パッチギ」とかは好きだし、前作黄金を抱いて翔べも傑作というわけではないけど楽しめたので期待していったが、正直イマイチだった。


1956年からスタートする約50年の時代推移において、登場人物が多い。ヤクザの組織などの名前も多い。オーディションで選ばれた俳優が多いようだ。主演とその他一部を除く誰も彼も無名なので誰が何をしているのかよくわからない。知っている顔だと頭でストーリーが整理される。話がよめていく。登場人物がみんな同じような顔に見えるので、1つの場面が次に繋がらない。次の場面でアレ?これ誰だっけ?といった感じだ。名作「仁義なき闘い」はそれぞれの登場人物にこれは誰だと示す字幕がある。それは確かに奥の手だが、ある意味観客には親切だ。

逆に不親切な映画ではないか。この映画はストーリーで観るというよりも、いくつかの過激なシーンを観るための映画かもしれない。

⒈印象に残るシーン
地名は出ない。浜松というセリフがあって、うなぎの養殖池が出てくるので結局静岡?なのかなあ?途中、山口組の抗争を思わせるシーンがあり、その後で深作欣二の名作「北陸代理戦争」で西村晃が雪の中で首だけ出しているシーンで映画の中の映画の手法を使う。でも、雪の中の首シーンは改めて撮り直している。登場人物が映画館でこの映画を見ながら「親分よくこれを映画化させてくれたな」なんてセリフあり、あれこの映画って北陸が舞台だったよなと思う。実在のモデルはいるというが、わざとそらしているかもしれない。


exileの松本主演、刺青で凄みでも怖さはまったくない。バキュームカーの汚物を融資を断った銀行内に撒き散らすシーンがずいぶんと激しい。よくあるヤクザ映画のように虫ケラのように射殺されるシーンは当然のごとく多い。組幹部がのんびりと露天風呂に入っているときに襲撃されるシーンなどもあるが、素人映画集団が遊んでいるようにしか見えないなあ。


⒉井筒和幸
前回作品黄金を抱いて翔べもブログにアップしているが、高村薫作品の映画化で設定に欠点が目立つけれどもアクションは楽しめるものであった。個人的には「パッチギ!」は面白いし、躍動感がある傑作だと思う。かなり在日朝鮮人をかばうが、「パッチギ!2」はちょっとやり過ぎ。赤羽線あたりで暴れまくる朝鮮学校の連中を映したりして、東京の一角でハチャメチャなことをした連中をかばいすぎだ。でもこれらの映画も沢尻エリカをはじめ普通の俳優を起用していて今回の映画のように誰が誰だかよくわからないという状況にはしていないので見やすい。


このころはTVでも世相を語ったり、映画評論の本を出版していたけど、最近はみなくなったなあ。ある意味、「パッチギ!2」あたりの思想の極端さが影響している気がする。岸和田愚連隊のように思想が露骨にでていないければいい味持っている人なのに残念。今回井筒和幸監督カメオ出演していたなあ。

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映画「ばるぼら」 稲垣吾郎&二階堂ふみ&手塚治虫

2020-12-13 18:02:55 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「ばるぼら」を映画館で観てきました。

映画「ばるぼら」手塚治虫原作の漫画を映画化したもの、メガホンをとるのは息子手塚眞である。稲垣吾郎、二階堂ふみの両主演に加えて、撮影はウォンカーウァイ監督作品でお馴染みのクリストファー・ドリルの豪華メンバーが揃う。売れっ子小説家がガード下で飲んだくれて倒れている女の子と知り合ってから起こる一連の奇怪な出来事の顛末がストーリーの基調である。


時代設定が漫画の原作当時に遡るわけではない。そこに売れっ子小説家とファンだけど得体のしれない女の子を放ち、劇画から飛び出たような構図の映像がつづく。二階堂ふみや渡辺えりは別として、配役の演技がお遊戯並みに稚拙で期待したほどのものではなかった。それでも、二階堂ふみだけはここでも健在

今ひとつ乗りきれない売れっ子小説家美倉(稲垣吾郎)がガード下で飲んだくれているホームレスのような女の子ばるぼら(二階堂ふみ)を見つける。介抱しようとしたら、雑誌で美原の顔を見たことあるよと抱きつき、気がつくと美倉のマンションへ向かう。体中が臭いばるぼら は家の高級ウィスキーをラッパ飲みして悪態をつき、美倉は追い出す。


その後、女好きの美倉はブティックで豊満なボディの美女を見つける。更衣室に連れ込み、メイクラブしようとすると相手が急に凶暴に急変する。そこを助けたのがばるぼらだった。ばるぼらが叩き倒すとなんと美女はマネキンの化け物だった。そんなことがあり、再度美倉のマンションへ向かい居候するようになる。次第に美倉は前よりも創作活動にノリが出てきた気がするのであるが。。。


⒈手塚治虫
70年代初頭手塚治虫は極度のスランプに見舞われていた。アニメ事業が失敗し1973年虫プロが倒産した。連載漫画も軒並み失速し大手出版社の雑誌から手塚作品が消えていった。70年台前半「ハレンチ学園」が出てきた後は漫画のエロチック化が進む。ばるぼらは1973年7月連載スタートの手塚治虫の作品である。女性の裸を出して世間一般の手塚ファンも驚かせた作品が続く。せっぱ詰まったので金儲け主義に陥ったのであろうか。


実際には失意のどん底の手塚治虫を本当の意味で助けたのは1973年11月から「少年チャンピオン」で連載がスタートしたブラックジャックである。元々医師だった手塚治虫が超腕利きの無免許医師を描いたブラックジャックで復活できた。ばるぼらがビックコミックに連載をされていたのに記憶はない。元々は手塚治虫は映画好きである。年間365本は映画を見たという手塚治虫の影響もあってか息子手塚眞も映画界に進んだ。でもパッとしてはいない。

⒉二階堂ふみ
手塚治虫作品でいえば、ばるぼらブラックジャックにおけるピノコのような存在感か。女性にも嫌われないようにアトムにはウランの存在を残すが如く、売れっ子小説家に対応してばるぼらというハチャメチャなキャラを放つ。色んな役柄を演じるようになった二階堂ふみであるが、元来演じていたキャラには近い。


自分はヒミズでの女子高校生役以来の二階堂ふみファンである。園子温の強烈な演技指導でグッと伸びた。あの衝撃からずっといい女優に育っている。この映画でも周囲の演技力が稚拙な中でより際立つ。今回小ぶりな乳輪のバストトップをさらすヌードタイムが長い。あれ?大学卒業できたんだっけ?後輩だけに気になる。

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映画「ソワレ」 村上虹郎&芋生悠

2020-09-24 18:36:07 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「ソワレ」を映画館で観てきました。


「ソワレ」和歌山の日高御坊エリアが舞台という宣伝文句に魅かれて見にいく。美浜町の煙樹海岸の浜辺が懐かしい。主演の村上虹郎は前作「ある船頭の話」も含め好感を持って接している俳優だ。少女に性的虐待をしてきた父親が刑務所出所後少女のもとを訪れいざこざが起きる。少女とそれに同情する男がその場を離れ、2人で逃げ回るという話である。

正当防衛なんだから逃げることもないのにと個人的に思ってしまうが、何故か逃げてしまう。不自然な部分が多く、映画自体は粗削りだが、よく知っている和歌山エリアが映し出されることで飽きずには見れた。

翔太(村上虹郎)は俳優を目指して上京するも結果が出ず、今では東京でオレオレ詐欺に加担して日銭を稼いでいる。ある夏の日、故郷・和歌山の海辺にある高齢者施設で演劇を教えることになった。翔太は、施設でヘルパーとして働くタカラ(芋生悠)と知り合う。


数日後、祭りに誘うためにタカラの家を訪れた翔太は、窓ガラスの割れる音に驚く。刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けるタカラを目撃する。止めに入る翔太。 それをタカラのにあるハサミが血に染まっている。タカラを見つめる翔太は、やがてその手を取って駆け出していく。こうして、二人の「かけおち」とも呼べる逃避行の旅が始まった。

  1.和歌山御坊エリア
平成3年から3年間和歌山で仕事をしていた。市内中心であるが、たまに南紀方面に向かうこともある。今は自民党幹事長でえばっている二階俊博の選挙区があるところだ。自分がいることろは小沢一郎の子分といわれていた。今回何度もショットで映る海岸は、煙樹海岸という美浜町の浜辺だ。


本当に懐かしい。遠浅ではないので泳ぐ人はいない。美浜町といっても御坊と背中合わせで 、この海岸からは御坊の火力発電所が見える。映像にも何回か出てきた。この海岸のそばで釣りをしたことがある。地元の人と一緒で、熱帯魚みたいな色鮮やかな魚が釣れた覚えがある。その場で焼いて食べた。若干堅かった。


御坊駅に接続する紀州鉄道には乗車したことがない。2人が懸命に逃げた後にこの小さな車両に乗り込む。自分がいた当時は、高速道路もここまで通っていなかった。海辺の道路を湯浅、広川、日高と走るのが好きだった。海はきれいで、空気もきれい。ここにいるときは、もう二度と東京に戻ることはないのであろうかと思ったこともあった。御坊というのは、やくざが姿をひそめるのには絶好の場所だというのを当時聞いたことがある。ある意味地の果てだ。


そこから和歌山市に向かう。徳川御三家の一つで名将軍吉宗も生んでいる。和歌山城もある。でも寂れる一方の街だ。ぶらくり丁というのがメインの商店街だが、シャッター商店街のようなもの。商店街の裏手に割りと堕落した飲み屋街とソープ街があった。そこも映し出すと懐かしさが増す。女の子はそこにあるスナックでバイトする。

 2.芋生悠の瑞々しさ
刑務所を出所するという通知が届く。性的虐待を受けたいやな思い出が心に沁みついている。玄関ドアをトントンたたく音にも返事をしない。父親かと思うからだ。実父かどうかはわからない。東京から来た翔太に祭りに誘われたので、そのときだけ玄関に向かうと父親だった。刑務所に行っても全く直らない。いいようにやられそうになったときに翔太が来る。

初めて出会う女の子だ。割といろんな作品に出ているようだがご縁はなかった。芋生悠は熊本出身だという。


和歌山の田舎で育った子という設定でもおかしくない純粋さを持つ。今風若者を若干外れる。育った環境は最悪、働く施設の中でもなじんでいるとは言えない。そういう彼女がまぶしい。清楚なんだけど、翔太とともに逃げる時に見せる走りは、いわゆる「おんな走り」の軟弱な走りでなくしっかり走る。最後にかけて、村上虹郎と結ばれそうになる場面が出てくる。そこで見せるバストトップはボリュームのあるものではないが、何故か親しみのあるものだ。

3.村上虹郎
東京で演劇の稽古になじんでいないシーンがでてくる。そのあとで、オレオレ詐欺をやって老婆をだまして分け前をもらう場面もある。都会の荒波の中になじんいるのかどうかよくわからない。そんな虹郎が故郷に戻る。老人施設で老人たちと演劇をやるためだ。でも、ふとしたことから少女を助ける。そして逃げる。


絶対逃げたる!と意気込んでいるが、しばらくするとお前のせいでこんなになったと彼女を責める。いやな奴だ。本質的にはまともでないところを何度も示す。助けてくれた梅干し農家でもせっかく泊めてもらったのに、お金を盗もうとしたり、パチンコ屋で大暴れしたりいろいろだ。競輪もすっからかん。翔太が行く和歌山競輪場に歩いて行けるくらいのところに自分の事務所があった。 懐かしい。

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映画「影裏」綾野剛&松田龍平&大友啓史

2020-09-23 17:48:52 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「影裏」は「るろうに剣心」の大友啓史監督の2020年公開作品

大友啓史監督の作品るろうに剣心(記事)シリーズはまあ凄いアクションだった。しかも、綾野剛と松田龍平の顔がDVDの表紙に見える。この3人が組んでいる。それだけで内容も確認せずにピックアップする。見てみると、想像とは違っていた。盛岡に転勤してきた青年が会社の先輩との友情を深めるが、先輩があの日姿を消し、東日本大震災で死んだのではという疑いが浮上するという話だ。

ここのところ増えている男同士の深い交情もテーマの一つだ。映画自体は「るろうに剣心」のようにリズミカルではない。でも、たまにはこういう作品も追ってみる。

今野(綾野剛)は会社帰りに同僚の西山(筒井真理子)に突然呼び止められる。西山から日浅が行方不明、もしかしたら死んでしまったかもしれないと聞き驚くシーンから始まる。東日本大震災で岩手県沿岸が津波の被害に襲われていたあとだった。

今野秋一は医療系薬品卸の営業マンで、2009年に埼玉から岩手の盛岡に転勤で 移った。そこで課長と呼ばれていた同僚である日浅典博(松田龍平)と親しくなった。友人もいないので、同じ年の今野は二人で酒を酌み交わしたり、一緒に釣りをして関係を深めていった。やがて、今野が会社を辞めることになり、冠婚葬祭を扱う互助会の営業に転職する。会社が変わってもそのままつきあっていた。 

 夜にガラガケ釣りに出かけたとき、ちょっとしたことで2人はいさかいを起こした。そこで日浅は、「知った気になるなよ。人を見る時はな、その裏側、影の一番濃い所を見るんだよ」と今野を見つめたまま言う。突然の態度の変化に戸惑う今野は、朝まで飲もうと言う日浅の誘いを断り帰宅。しかしそれが、今野が日浅と会った最後だった。 


西山は日浅に金を貸してもいるらしい。日浅の足跡を辿りはじめた今野は、日浅の父親・征吾(國村隼)に会い「捜索願を出すべき」と進言するも、「息子とは縁を切った。捜索願は出さない」と素っ気なく返される。さらに日浅の兄・馨(安田顕)から突き放されてしまうのであるが。。。 


1.綾野剛
普通のサラリーマンである。独り者で地方に転勤となったらさみしい。30歳で同じ年の男友達ができたら楽しいだろう。一緒に釣りに行ったり地方生活の快適さを満喫するのだ。でも、綾野剛にはゲイの気質があった。あるとき、突然松田龍平にキスをするのだ。松田はそれには応じない。そのあとで、綾野剛に女装の訪問者が訪ねてくる。元の恋人のようだ。徐々に綾野剛がゲイだというのをあぶり出していく展開である。


「世界価値観調査2005年」によると、同性愛への許容度で日本は世界52か国中17位だという。許容度がもっとも高いのはスウェーデンで、ノルウェーも高い。逆に許容度が低いのはヨルダン、インドネシアというイスラム教国家だ。日本はアメリカよりも許容度が高い。最近の日本映画で同性愛を扱う作品が急激に増えた印象を持つけど、今後も増えるかもしれない。

2.松田龍平
松田龍平は気のいい先輩だ。岩手県人だけど方言話さない。大学の時東京に行っていたからだという。夜一升瓶を持って飲もうぜとくる。ここまではいい奴だ。綾野剛にも契約が足りないからといってお願いするが、別に悪いことをしているわけではない。でもある時から音信不通になり、東日本大震災を迎える。


互助会に入った同僚の女性(筒井真理子)が互助会の事務所に行方を聞き出すと、津波が押し寄せたとき宮古へ営業に行っていたけど、車も見つからないという。そんな松田の父親から息子は大学に行っていないと偽の卒業証書を見せられるのだ。借金、経歴詐称、行方知れずと途中から謎をつくる存在となる。

3.大友啓史と盛岡
自分のように大友啓史作品というだけで、ついつい見てしまうという人もそうはいないだろう。これは沼田真佑の芥川賞受賞作品で、大友啓史から映画化の申し出があったらしい。大友啓史は岩手出身というのは以前から知っていた。清らかな水が流れるせせらぎの中で釣りに没頭するシーンが続く。ロケハンティングにも成功しているといえよう。もともとこの場所で撮ろうと思っていたとおぼしきいい感じの映像である。市内のお祭りのシーンもある。


大友啓史は名門盛岡一高出身だ。大学の時も社会人になってからもこの学校の出身者には随分と出会っているが、みんないい奴だ。バンカラ気質の学校らしい。学校に下駄を履いてきた奴がいてびっくりしたことがある。生まれ故郷に帰って、そこを舞台にする映画をつくりたかったんだろうなあ。そんな大友啓史の思いを感じながら映像を追った。
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映画「前田建設ファンタジー営業部」高杉真宙&永井豪

2020-09-20 18:26:43 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「前田建設ファンタジー営業部」は2020年公開の作品


「前田建設ファンタジー営業部」は漫画のマジンガーZの格納庫を設計するというミッションに基づき前田建設の特別部隊ファンタジー営業部の社員が奔走する話である。会社でも前田建設の社員から話を聞いて映画館に見に行った人もいた。意外に観客がいたという話だ。下請け業者もいっぱいいるしね。優先順位は後になりDVDスルーである。

そもそもマジンガーZというのを漫画でもTVでも見ていない。格納庫って何?って感じだったが、緊急事態発生でマジンガーZが出動する場所なのだ。アニメの出動シーンが映り、プールが開いてその下から飛び出してくる。文章で説明するより見るのが早い。


映画に出てくる技術屋の奴らがいかにも専門バカ丸出しだけど、そういうキャラっていいよね。でもこんな金にならないこと業務時間外でよくやるよ。という感じである。

2003年前田建設工業のオフィスの片隅にある広報グループの若手社員ドイ(高杉真宙)がパソコンに向かっている。そこにグループリーダーのアサガワ(小木博明)がやってきて「マジンガーZの格納庫を作ろう」と声をかけられドイは適当に答える。広報グループの同僚であるベッショ(上地雄輔)、エモト(岸井ゆきの)、チカダ(本多力)も会話にはいってくるが、まだ半信半疑だ。


グループリーダーのアサガワはいう。空想世界では、毎週のように、さまざまな建造物が、作っては壊され、作っては壊されている。マンガやアニメの世界、その空想世界にある建物を実際に設計して顧客に提案するのだ。

かくして、アサガワに巻き込まれる形で広報グループは、マジンガーZの地下格納庫を作る依頼をファンタジーの世界から受けたという体裁で、検討に向け始動する。アサガワが上層部やマジンガーZの権利元に次々と根回しをし、部員たちも創意工夫を凝らしていく。

最初は、冷ややかだったドイも、渋々ながらも巻き込まれた部員たちと共に、掘削オタクで土質担当のヤマダ(町田)、クセの強いベテラン機械グループ担当部長のフワ(六角)、さらに社内だけでなく社外からも協力を得て、前代未聞のミッションに立ち向かっていく。

⒈徐々にのってくるメンバー
リーダーが突然マジンガーZの格納庫作ろうよと騒ぎ出す。こいつ何興奮しているの?と思う。躁鬱病の躁状態だ。部下の広報部員は何となくしらけている。周囲にいる社員連中たちは奇異の目で見ている。でも今回のプロジェクトに参画するメンバーがそれぞれに分担して、設計や施工のためにノウハウを知ろうと社内の専門オタクに聞いているうちに一気にやる気が増強する。


女性の広報部員が土木の地質のオーソリティの話を聞きに行っても眠くなるばかり、でも地質オタクが夜遅くまでかかりっきりになるのにつられる。女の子も徐々にのってくる。最後には掘削や残土処理の積算と工期算定を報告していた。こういうシーンっていいよね。


でも、こういうのは労基署が見たらどう思うんだろう。課外と言いながらパソコンログオフしているわけではないので、残業代支払っているのか?とか査察に入られたら大騒ぎになるだろうなあ。立憲民主党の連中どももこういう映画は嫌がるだろうねえ。

⒉永井豪と思春期
久々出てきたね。永井豪、このじいさんてっきり前田建設の社長かと思った。


マジンガーZが昭和47年スタートとなると、自分も中学生になってクラブ活動もあり洋楽に強い関心をもつようになった。趣味嗜好がもっと大人びていたのである。同じころの永井豪作品で言うと、「デビルマン」も知らない。逆に「ハレンチ学園」は真逆でクラス中みんな漫画読んでいたし、TVも見たし、映画館にも向かった。思春期に入ったころで、親の目をかすめてじっと見る。世間ではバカな教育ママたちは低俗番組と大騒ぎである。別にいいじゃんと思うけど、ヒステリーBBAには困ったものだ。


一躍人気になったのが児島美ゆきでTVも映画も主演。でもバストトップは見せてくれない。二代目十兵衛の渡辺やよいが映画で見せてくれて小学生の自分には超刺激的だった。実家の従業員と同級生と見に行って、同級生が思わず自分の股間を触って、固くなっているのか確かめる。その記憶が50年近く前だけど鮮明に記憶に残る。
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映画「糸」菅田将暉&小松菜奈

2020-08-22 20:08:01 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「糸」を映画館で観てきました。


久々に日本映画を映画館で観た。菅田将暉小松菜奈のコンビはディストラクション・ベイビーズ溺れるナイフでみている。いずれも2人の演技が冴え、好きな作品だ。気になっていた作品で、公開早々にむかう。この映画では平成という時代を意識したストーリー展開だ。ともに平成元年に生まれた2人の男女の人生をたどる。長期にわたってのそれぞれの人生をたどるので、取りあげる出来事が多い。多すぎるせいか、それぞれが中途半端になってしまう感もある。それでも、オーソドックスな長期にわたるラブストーリーで最後まで退屈せずにみた。


平成13年、ともに平成元年に生まれた北海道美瑛で暮らす13歳の高橋漣と園田葵は、地元の花火大会で知り合う。サッカー部に所属する漣の試合を葵が見に行ったりして、急速に接近する。ところが、いつも2人で待ち合わせる場所で漣が待っていても葵はこなかった。心配になり、漣は葵の自宅に行ったが誰もいなかった。

その後、葵の友人弓に連絡先を確認して、札幌に向かう。そこで会った葵はだれかに殴られた跡を隠すかのように眼帯をしていた。それが継父の虐待によるせいだとわかった漣はその場から葵を連れだし、列車に乗って以前いったことがあるロッジに向かう。しかし、一晩泊まって警察の捜索の手が伸び保護されることになってしまう。

それから8年、漣(菅田将暉)は地元のチーズ工房に勤務していた。中学の同級で親友だった竹原直樹(成田凌)と葵の友人だった弓の結婚式に出席するために上京して式場で葵(小松菜奈)と再会する。北海道を離れた葵は大学の経営学部で学んでいた。久々に会って会話を交わすが、そこには投資会社社長の水島(斎藤工)が迎えに来ていた。もう別の世界になっていることで落胆した漣だったが、職場の先輩桐野香(榮倉奈々)と付き合うようになる。


やがて結婚の決意を固め、役場で結婚届の準備をしようとしていたところで、偶然葵と会う。葵は地元美瑛に戻った母親の行方を探しに来ていたところだったが、もうすでに函館の兄のところでなくなっていた。漣は函館までついて行ったが、もはやそれぞれの恋人がいるのでその場で別れるのであったが。。。

1.平成元年生まれにとっての重要出来事
会社に平成生まれの新卒が入社してきた時、いよいよそういう時代になったのかと思ったものだ。平成元年は日経平均株価が39000円近くまでつけて、経済のピークであったのはまちがいない。いろんな経済指標が平成2年から3年にピークをつける。そして、平成ヒトケタは下降をたどるのみである。

そんな時小学生だった平成生まれには景気は無縁の存在だったろう。米国ニューヨークで平成13年(2001年)テロ事件が起きたがあまり日本には影響がない。リーマンショックが平成20年(2008年)、東日本大震災が平成23年(2011年)このあたりが彼らにとっては重要な出来事かもしれない。

ここでは継父(もしかしたら入籍していないかもしれない)から家庭内暴力をふるわれる。母親は転んだことにしておいてと。最近ブログアップした「幼い依頼人」でも継母の家庭内暴力があった。昭和の末期にかけては校内暴力がひどかったが、平成は校内暴力をするような奴が家庭内暴力にまわったのかしら?平成を生きた若者には主要出来事よりそちらの方が近い存在では?

この世代にはむしろ西暦の2000年というのを起点とした方がなじみがあるのではないか。自分は最近平成20年代の後半の年号を言われるといつのことだかわけがわからなくなる。西暦が普通になってきた。

この映画観て、平成生まれの人どんな風に思うんだろう。見終わったとき、そんなことを考えていた。


2.キャバクラと投資家との出会い
葵(小松菜奈)と漣(菅田将暉)が共通の友人の結婚式で再会する。そのとき、葵が大学の経営学部に通っているというセリフを話したときに一瞬不自然だなと思った。漣はすでに地元で就職していた。葵はもうあと少し我慢して中学を卒業したら就職するんだと言っていた。継父の虐待を見て見ぬふりをした母親の存在もあり、よく大学に進学できたのかと思ったら途中で謎が解けた。


当然のことながら、片親のような存在では10代半ばからキャバクラでバイトして生活するしかない。そこで投資会社社長の水島(斎藤工)と知り合う。水島は恵まれない育ちの子だと見抜く、なんとか助けてあげようとお金をだしてもらって大学にも行けたのだ。そうだよね。

最近はあまり行くことはなくなったが、キャバクラに行くと片親の女の子に随分と出くわしたものだ。わりと学力のある子で、片親だから大学の学費を自分で稼ごうとキャバクラ勤めの子もいたがレアケースで、高校中退のような子がほとんどだった。このあたりは実際にありえそうな話には思えてくる。キャバクラというのは昭和の最後には少しだけあっただけだから、ある意味平成を象徴する形態かもしれない、


3.双曲線を描く恋
古くは成瀬巳喜男監督高峰秀子主演の「浮雲」が強烈な双曲線を描く恋だ。このブログでも、長期にわたってくっつき離れてという恋はずいぶんと取りあげてきた。この類いではいちばんの傑作は香港映画ラブソングかと思っているが、比較的近年ではあと1センチの恋がよかった。

この映画を含めた共通点は、それぞれがいったんは別の人と一緒になってしまうということである。ここでも2人は完全に別の道を歩むことになる。でも、ちょっと題材が多すぎか?漣(菅田将暉)のお相手はがんになってしまうし、葵(小松菜奈)は相手の投資会社社長がバブル崩壊した上に、シンガポールで事業をやって頂点のところで仲間の裏切りに引っかかったりする。幅広くしすぎたのではないかな?そこがこの映画の欠点だと思う。

4.名優再登場
主演級であった3人が年をとったので驚く。倍賞美津子は久々にみた。一連の今村昌平作品だけでなく、エロ女の匂いをプンプンさせていたが、ずいぶんとBBAになったモノだと思う。その昔、Hニューオータニの「トレーダーヴィックス」で彼女が40代の頃みたことがあったが、かっこよかった。最終に向けては重要な存在となるけど、美津子というより姉の倍賞千恵子が演じるような役柄に思える。


漣(菅田将暉)が最初に結婚した相手の父母役が永島敏行と田中美佐子である。永島敏行の主演作「遠雷」は長年にわたって自分のブログでは閲覧数が多い作品だ。不器用なイメージが牧場主の役柄には合う。自分と同世代の田中美佐子は30代半ばに人気急上昇してTVで売れっ子になった。日本ではあの世代でピークを迎えるのはめずらしいのでは?さすがに色あせたのは仕方ない。今後はこういう母役が増えるかも。
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映画「ロマンスドール」 高橋一生&蒼井優&タナダユキ

2020-07-28 19:20:48 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
「ロマンスドール」は実力派女流監督の1人タナダユキの新作である。主演は高橋一生と蒼井優で夫婦を演じる。ピエール瀧の逮捕騒ぎで公開が延期された上に、公開されるやいなやコロナ騒ぎでちょっと運がない。ラブドール工場に勤める男と美術専門のモデルとして工場に来た女が知り合い結婚した後で起こるさまざまな出来事を描く。

ラブドール、昔の呼び名で言えばダッチワイフを造る職人というと、なんか変態ムードあふれる映画化と思ったけど、ちがう。正統派というべきラブストーリーである。慌てずゆったりとした映像は非常に好感がもてる。


美大彫刻科あがりの北村哲雄(高橋一生)は先輩の紹介でラブドールを造っている久保田商会という工場で働くことになる。工場には造形師の相川(きたろう)と事務の田代(渡辺えり)がいて、新参者を歓迎してくれた。哲雄は相川の指導で、ラブドールの試作品をつくって久保田社長(ピエール瀧)に見てもらう。ところが、これではリアル感がないと造り直しを命じられる。

そこで、モデルを雇って実際の乳房の型を取ろうとして、美術専門のモデル園子(蒼井優)を工場によぶ。名目は人工乳房を造るためということにしている。さっそく脱いでもらい型をとるが、無理にお願いして実際の感触を確かめさせてもらう。そうしているうちに恋心が生まれる。いきなり付き合ってくれと告白してしまう。そして、あれよあれよという間に結婚してしまうのだ。


結婚して4年が経った。園子からとった型で大受けしたラブドールの後の新商品を生み出すために哲雄は夜遅くまで奮闘してしている。徐々に家のことが置き去りになることもあった。そんな時、先輩の相川が突然亡くなってしまう。それにもめげず新素材を使って中途入社の男と試行錯誤していたが、なんとその男は他社のスパイだったことがわかる。

ショックのあまり、夜の街を徘徊していると、泥酔したひろ子という女と知り合いそのまま抱いてしまう。その後、家に帰った時、園子から離婚したい、1人になりたいと言われて哲雄は狼狽するのであるが。。。


⒈しっとりと進むタナダユキの映画づくり
バックに流れる音楽は最小限だ。でも、映画の転換点はやさしい音楽で感情を揺さぶる。タナダユキ監督は職人に興味があったという。でも、よくもまあラブドールという題材を選んだものだ。よくある風貌の町工場の工房に高橋一生を放つ。なんと乳房の型をとるためのモデルにどう見ても貧乳にしか見えない蒼井優を連れてくる。それだけでもキャスティングの勝利である。それに加えて、きたろうをはじめとした脇役の的確な起用、それがこの映画の完成度の高さにつながる。

離婚を告げられた時からどう展開するかと思ったら、その後は華麗な詰将棋を見るような愛情に満ち溢れた展開である。ラブドールという持ち駒が生きてくる。お見事である。

⒉現代的職人肌
蒼井優演じる園子に先輩造形師の相川が何で哲雄に惚れたの?と聞く。不器用だけど優しいところと園子は言う。モデルで来てもらったとき、忘れ物をした園子を追いかけ告白する。意外にもあっさりOK、結婚式では緊張のあまり結婚指輪を相手でなく自分の指にはめて周りの失笑を浴びる。そんな哲雄も満足いく新商品がつくれないことにヤキモキ、夜もご無沙汰。挙げ句の果ては妻に三下り半を突き付けられる。

このままどうなってしまうのであろうかと心配になる。ここからはネタバレなので口を閉じるが、実はこの哲雄を見て自分との共通点がいくつもあることに気づく。徐々に気持ちが同化してしまう。


⒊味のある先輩造形師
きたろう演じる先輩造形師がいかにも職人らしい顔立ちでいい感じだ。何かというと、近くの居酒屋に哲雄を誘う。こういう居酒屋には職人の居場所がある。


普通のおもちゃ製造会社に勤めて26歳で結婚したけど、離婚してしまう。実はこのころ後輩に騙された哲雄と同じような目にあってしまうのだ。離別してしばらくたった後、7才になった娘に再会したときの悲しい想い出がある。母親が再婚しているので、娘は自分を相川さんとしか言ってくれないと嘆く。飲んで荒れて警察の留置場に押し込められて、その時出会った警官がピエール瀧演じる今の工場の社長というオチまでつく。こんな昔話を語る先輩の姿の描き方が素敵だ。
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映画「Red」妻夫木聡&夏帆

2020-06-28 18:17:14 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「Red」は2020年公開の三島有紀子監督作品


Netflix に見たことない映画が配信されている。「Red」である。今年2月公開ということだが、すぐさま映画館がクローズしてしまったので、気づかなかったのであろう。妻夫木聡と夏帆の共演で監督は三島有紀子だという。不倫映画のようだ。三島の前作幼な子われらに生まれ浅野忠信と田中麗奈の好演もあってか良い出来でふと見てみたい気になった。

直木賞作家・島本理生の原作で子持ちの普通の主婦が昔付き合っていた男と再会し、再度恋に燃えるという題材はよくある話である。映画としては普通、まさに最近週刊文春に徹底的にやられている不倫話だが、ちょっと大げさに騒ぎすぎの感はもつ。でも、この映画の主人公の女性にはちょっと呆れてしまう。

普通の主婦村主塔子(夏帆)には建築設計士の夫(間宮祥太朗)と幼稚園に通う女の子がいて、夫の姑と一戸建ての住宅に住み、何不自由のない生活を送っていた。夫の依頼主に招待を受け妻同伴でパーティに出席した。その際、偶然そこに昔勤めていた建築設計事務所の所長で恋人だった鞍田秋彦(妻夫木聡)と出会い、別室で抱擁を交わす。鞍田は元々の事務所をたたんで、別の事務所で働いていた。その後、鞍田から今働いている事務所で人を募集しているという封書を塔子はもらう。


夫に相談すると、生活に困っていないのに何で働くの?と言われる。結婚前に落ち着いたら働きたいと言っていたよねと懇願して承諾をもらう。結局中途採用の面接に合格して、同じ事務所で働くことになる。入社して同僚の小鷹(柄本佑)に誘惑されたりしたが、塔子と鞍田は元の仲によりを戻していた。しかし、鞍田には白血病の持病があったのだ。

⒈腐れ縁の男と女
一度、肉体関係を深めた2人は関係が終わってしばらくしてもよりを戻すというのは世の常である。可愛い娘がいながらも、女はわれを忘れて恍惚の戯れに浸る。夏帆はかなり大胆な演技をするが、気前があまりよくないようでバストトップはおろか形も見せてくれない。それでも、よからぬ恋に気持ちが傾いていくのはよく表現している。


⒉女性作家の原作を女性監督により不謹慎な女を描く
同居する姑が台所に入って夫である息子の夜食を割り込んでつくったりするシーンがあるが、イヤミたっぷりといじめられている感はない。夫の欲望を夏帆が口で処理する場面がある。これは子づくりをしないということをあらわしているのであろうか?まあ、普通の家庭である。

小さい子がいても働きにでる女子社員は最近の会社では大勢いる。それ自体は不自然ではないが、元恋人のいる職場である。それもかなり深い仲。間違いは続いていく。それでも、冷静さをもっと持ってもよさそうであるが、そうならない。むしろ大胆な結末に向かう。


彼氏の鞍田が持病で出勤不能となっており、プロジェクトの完成を見届けるために雪深い北国の現場に向かう。家を出るときには今日は帰るよといって出て行くが、大雪で帰れなくなる。娘は具合がわるい。その直前にも高所から転落してけがをしている。普通だったら、誰かに代わってもらえばいいものもでていく。

そうすると、新幹線は動かない。娘が具合悪いから今日中に帰れと夫に言われる。そんなのは無理だ。そもそも、娘の調子が悪い状態で出張なんてするのもどうかと思う。帰れないくらいの大雪になるかどうかは天気予報見ればわかるでしょう。そこでなぜか登場するのが鞍田だ。

自分からすると、ここまで常識を飛び越えた行動をするの?ありえない!とつい思ってしまう行動を主人公はとる。最低な女だ。こういう形に女性2人原作者島本理生三島有紀子監督は共感するのであろうか?幼子がいる母親とは思えぬ大胆な行動はさすがの自分も共感しない。

⒊引き立て役の柄本佑
火口のふたりで、全裸の戯れ続きでかなりいい思いをした柄本佑はここでも夏帆に言い寄るが交わされる。主婦なのに柄本がバッティングセンターで思いっきり接近するシーンもあるが、あっさり交わされてしまうのはなかなか滑稽。

いいことづくしの柄本でもこういうこともあるかという心境であろうか?

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映画「パラダイスネクスト」 豊川悦司&妻夫木聡

2020-02-10 05:37:21 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「パラダイスネクスト」は2019年の日本映画、オール台湾ロケである。

ラストレター豊川悦司を久々に見て、中華料理の看板がかかげられているエスニックな雰囲気のスチール写真が気になった映画があったことを思い出す。パラダイスネクストだ。


台湾ロケでロードムービー的色彩をもつ作品である。豊川悦司は熱風が漂っている光景の中で無口なヤクザを演じる。傑作とは思えないが、独特の空気感を持つ映画である。夜のネオンが印象的だ。

島(豊川悦司)は、地元裏社会のボスであるガオ(マイケル・ホァン)に守られ、世間から身を隠すように台北で生きる。その島の前に、突然お調子者で馴れ馴れしい男・牧野(妻夫木聡)が現れる。牧野は島が台湾にやって来るきっかけになったある事件のことを知っていると言う。島をガオに紹介した日本のヤクザ・加藤(大鷹明良)が島を訪ねてきて、牧野の写真を見せて殺すよう指示する。

牧野が命を狙われていることを知った島は何をやったんだと問い詰めるが、答えはない。「あのパーティー会場にいた」という一言で、牧野を完全に無視することができなかった。それは、一年前に島がボディガードを務めていたシンルー(ニッキー・シエ)という女性が不審死を遂げたパーティーのことだった。彼女の死を引きずる島にとって、事件の真相を知っていることをほのめかす牧野は放っておけなかった。


島は、追手から逃れるため牧野を連れて台北から花蓮へ車で向かう。花蓮にたどり着いた二人の前に、シャオエン(ニッキー・シエ)という女性が現れる。シンルーそっくりの容姿に、島は衝撃を受ける。牧野と島は、大きな屋敷に一人で暮らしているシャオエンの家に泊まることになる。この運命の出会いによって、二人の逃避行は楽園を探す旅に変わっていく一方、台北に謎の男346(カイザー・チュアン)が現れ、やがて花蓮にまで迫っていた。 (作品情報より引用)


こうやって作品情報を元にストーリーを書くと筋が明確になるが、途中は訳がわからない場面が多い。牧野を殺せと依頼されるが、なんで頼まれたのか?スキはいくらでもあるのに何で島は殺さないのか?よくわからない。ニッキー・シエが一人二役であることに気づくけど、この先どう進んでいくだろうと思いながら映像を追う。

途中ではハッピーな雰囲気を持つシーンも多い。台湾の女性ニッキーが可愛い。美女と奇妙な2人とのロードムービーといっても良いが清潔感がないエリアをひたすら郊外に向かい台湾独特の猥雑さに包まれる。

ここでは出演者の顔立ちがいかにも裏社会的だ。いずれも殺人鬼の香りを漂わせる。豊川悦司も同様である。「ラストレター」でも感じたが、得体の知れない男がよく似合う。


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映画「火口のふたり」 荒井晴彦&柄本佑&瀧内公美

2020-02-09 14:56:47 | 映画(日本 2019年以降主演男性)

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https://wangchai41.hatenablog.com/entry/71275454855abe78938f218a0e262cae

映画「火口のふたり」は脚本家荒井晴彦がメガホンもとった作品である。sex描写が激しいという前評判である。


見てみると、意外にセリフは多い。映像で何かを想像させるという映画ではない。セリフの中で2人の人となりが次第にわかってくる。ほとんど2人のみで成り立つ映画である。柄本佑、瀧内公美2人とも好演であるが、際どいシーンに挑戦した瀧内公美の心意気に敢闘賞を与えたい。

東京に住むプータローの賢治(柄本佑)の元に秋田にいる父親から電話が入る。親戚の直子(瀧本公美)が結婚するので出席するかという確認だ。直子とは以前恋愛関係にあった。賢治が秋田に帰郷したら、早速直子がやって来た。家電量販店にむりやり付き合わせた後に、直子の家に向かうと昔のアルバムを出してきた。そこには裸で絡み合う賢治と直子の写真が貼ってあった。

しかし、それは昔のことだと賢治が帰ろうとすると、直子の方からアプローチをかけて来た。今夜だけよということで交わる2人である。しかし、一度火がつくと収まらない。朝立ちしてしまった賢治が直子の家に直行する。自衛官である直子の婚約者が出張から5日後に戻ってくるのでその時までということで2人は常に一緒にいるようになるのであるが。。。

⒈2人の関係
親戚であることは間違いない。セリフに出てくるだけでは関係がよくわからない。お互い子供の頃から知っている。賢治が25才、直子が20才の時に燃えるような交わりがあった。直子はその時の自撮りの写真をアルバムに残していた。


賢治には離婚歴がある。直子と別れてから付き合った女のようだ。直子は子宮筋腫であることがわかり、早く結婚して子供が産みたいという思いで結婚を急いだ。相手は自衛官で鍛えているから鉄板のような身体付きというセリフがある。ここでは登場しない。

⒉絡み合う2人
もっとくっつき合う映画かと思ったが、そこまででもない。だらだら絡みだけが続くわけでもない。最初は女性が発情するが、すぐさま男性も盛り上がる。どちらかというと柄本佑が早漏気味なのであっという間に次のシーンに移る。手を変え品を変えありとあらゆるsexシーンを映し出す。瀧内公美は前貼りなしでヘアを映し出す。フェラシーンがあるけど、柄本佑は前貼りしているんだろうか?気になったのはそれだな。


荒井晴彦の脚本だけあって、原発問題や自衛隊の派遣についての左巻きのセリフもある。なんか嫌味っぽいが、それが主流ではない。富士山噴火なんて凄い話がある。休火山であるから江戸時代以来の噴火があってもおかしくはない。このあたリはギャグだ。

 

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