映画「黄金を抱いて翔べ」を劇場で見た。
井筒和幸監督の新作はアクションのキレがいいという評判だ。思わず劇場に足を運ぶ。
高村薫の小説を井筒監督が映画化した。銀行泥棒の話だが、日本の暗部を的確に映像化していて面白い。
大阪が舞台だ。
いきなり朝鮮人の2人が会話する場面がでてくる。兄と思しき男を弟が撃つシーンだ。
久しぶりに故郷の地を訪れた幸田弘之(妻夫木聡)は、学生時代からの友人で運送会社のトラック運転手をする北川浩二(浅野忠信)に、しばらく住むための部屋と、仕事先の倉庫会社を用意された。北川は、過激派や犯罪者相手の調達屋などをしてきた幸田に、大手銀行本店地下にある240億円の金塊強奪計画を持ちかけたのだ。
幸田は、妻子と共に住む北川のマンションで、銀行担当システムエンジニアの野田(桐谷健太)を紹介される。野田には3000万を超える借金があった。3人で密かに計画を練るうち、野田の知り合いで、"ジイちゃん"と呼ばれる斉藤順三(西田敏行)に声をかける。西区の公園掃除係だが、元エレベーター技師で、目的の銀行内部にも通じている。かつては労働運動に関わっていた過去もあるという。
そして、爆弾のエキスパートが欲しいという北川の要望に応え、幸田が目をつけたのは、以前、東京で遭遇したこともある青年チョウ・リョファン(チャンミン)豆腐屋でアルバイトをしている自称・大学院留学生の彼は、元・北朝鮮のスパイという裏の顔を持っていた。
今は北朝鮮秘密組織に裏切り者として追われている。しかも祖国の命令で自分を狙ってきた実の兄を殺したばかりだった。それが冒頭のシーンだ。幸田は、チョウのことを"モモ"という名で呼んだ。さらに、北川の弟・春樹(溝端淳平)が計画を知ってしまう。北川はギャンブル依存症で未熟な弟に不安を抱えつつも、仕方なく彼をメンバーに加える。こうして6人の男たちによる大胆不敵な計画が幕を開けたが。。。
猥雑な町大阪と銀行泥棒の話は相性がいい。近代的な部分といかにも大阪らしい裏筋の部分の両方をバックにロケする。大阪って東京と比較するとワルが潜んで暮らしやすい気がする。朝鮮系の人たちが多く住む大阪ならではのストーリーで、チャンミンの使い方がうまい。それぞれの面々が裏街道まっしぐらのプロフィルだ。労働運動の闘士で体制に転向した男や過激派に常に接していた男、北朝鮮のスパイなど常に裏筋に接した男ばかりだ。妻夫木聡もチャンミンもケンカが強い。裏の男たち相手の立ち回りが一筋縄でない。そこがおもしろい。浅野忠信のワルのリーダーぶりもなかなかだ。
井筒監督特有の暴力描写も加減良く表現されている。裏ギャンブルにかかわるヤクザや北朝鮮のインテリジェンス組織の男たちの描き方はうまいし、顔立ちがそれにあった俳優を選んでいる。一般の大阪の住民の描き方もいかにも大阪住民の匂いが出ていてさすが大阪を知り尽くしている井筒という感じもする。パッチギ2みたいに思想が強いと嫌味が出るがここでは抑えられている。
桐谷健太演じるサラリーマンはいかにも大阪のいい加減な男。大阪の遊び人らしくてうまい。「麒麟の翼」に続けてでてきた鶴見辰吾が北朝鮮の秘密組織の男を演じる。性格俳優の道をうまく歩んでいるのがよくわかる。いい感じだ。
ただ、細かい所をピックアップすると、違うんじゃないかな?という部分は多々あった。特に核心の銀行泥棒部分はドキドキさせられたが、捕まってもおかしくないんじゃないかなあという場面がいくつか散見できた。緩慢な感じがする部分もあった。
でも日本のアクションサスペンス映画としては最上級のレベルではないかな?
井筒和幸監督の新作はアクションのキレがいいという評判だ。思わず劇場に足を運ぶ。
高村薫の小説を井筒監督が映画化した。銀行泥棒の話だが、日本の暗部を的確に映像化していて面白い。
大阪が舞台だ。
いきなり朝鮮人の2人が会話する場面がでてくる。兄と思しき男を弟が撃つシーンだ。
久しぶりに故郷の地を訪れた幸田弘之(妻夫木聡)は、学生時代からの友人で運送会社のトラック運転手をする北川浩二(浅野忠信)に、しばらく住むための部屋と、仕事先の倉庫会社を用意された。北川は、過激派や犯罪者相手の調達屋などをしてきた幸田に、大手銀行本店地下にある240億円の金塊強奪計画を持ちかけたのだ。
幸田は、妻子と共に住む北川のマンションで、銀行担当システムエンジニアの野田(桐谷健太)を紹介される。野田には3000万を超える借金があった。3人で密かに計画を練るうち、野田の知り合いで、"ジイちゃん"と呼ばれる斉藤順三(西田敏行)に声をかける。西区の公園掃除係だが、元エレベーター技師で、目的の銀行内部にも通じている。かつては労働運動に関わっていた過去もあるという。
そして、爆弾のエキスパートが欲しいという北川の要望に応え、幸田が目をつけたのは、以前、東京で遭遇したこともある青年チョウ・リョファン(チャンミン)豆腐屋でアルバイトをしている自称・大学院留学生の彼は、元・北朝鮮のスパイという裏の顔を持っていた。
今は北朝鮮秘密組織に裏切り者として追われている。しかも祖国の命令で自分を狙ってきた実の兄を殺したばかりだった。それが冒頭のシーンだ。幸田は、チョウのことを"モモ"という名で呼んだ。さらに、北川の弟・春樹(溝端淳平)が計画を知ってしまう。北川はギャンブル依存症で未熟な弟に不安を抱えつつも、仕方なく彼をメンバーに加える。こうして6人の男たちによる大胆不敵な計画が幕を開けたが。。。
猥雑な町大阪と銀行泥棒の話は相性がいい。近代的な部分といかにも大阪らしい裏筋の部分の両方をバックにロケする。大阪って東京と比較するとワルが潜んで暮らしやすい気がする。朝鮮系の人たちが多く住む大阪ならではのストーリーで、チャンミンの使い方がうまい。それぞれの面々が裏街道まっしぐらのプロフィルだ。労働運動の闘士で体制に転向した男や過激派に常に接していた男、北朝鮮のスパイなど常に裏筋に接した男ばかりだ。妻夫木聡もチャンミンもケンカが強い。裏の男たち相手の立ち回りが一筋縄でない。そこがおもしろい。浅野忠信のワルのリーダーぶりもなかなかだ。
井筒監督特有の暴力描写も加減良く表現されている。裏ギャンブルにかかわるヤクザや北朝鮮のインテリジェンス組織の男たちの描き方はうまいし、顔立ちがそれにあった俳優を選んでいる。一般の大阪の住民の描き方もいかにも大阪住民の匂いが出ていてさすが大阪を知り尽くしている井筒という感じもする。パッチギ2みたいに思想が強いと嫌味が出るがここでは抑えられている。
桐谷健太演じるサラリーマンはいかにも大阪のいい加減な男。大阪の遊び人らしくてうまい。「麒麟の翼」に続けてでてきた鶴見辰吾が北朝鮮の秘密組織の男を演じる。性格俳優の道をうまく歩んでいるのがよくわかる。いい感じだ。
ただ、細かい所をピックアップすると、違うんじゃないかな?という部分は多々あった。特に核心の銀行泥棒部分はドキドキさせられたが、捕まってもおかしくないんじゃないかなあという場面がいくつか散見できた。緩慢な感じがする部分もあった。
でも日本のアクションサスペンス映画としては最上級のレベルではないかな?