映画とライフデザイン

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映画「溺れるナイフ」菅田将暉&小松菜奈

2017-07-05 18:43:42 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「溺れるナイフ」は2016年公開の菅田将暉と小松菜奈主演の作品


なんとなく気になっていた作品である。激しい暴力表現が映画の中でずっと続く「ディストラクションベイビーズ」菅田将暉と小松菜奈は共演している。髪を染めた菅田将暉の雰囲気が変だけど、「ディストラクションベイビーズ」同様地方の町でのロケ作品で小松菜奈との取り合わせがよさそうだ。それでも結局DVDスルーとなってからみた。映画が始まりしばらくして河口に映る工場と鉄橋を見てこのロケ地は和歌山の新宮だなと確信する。それがわかったとたんに次第に映画に引き寄せられる自分に気付く。


東京で人気モデルとして活躍していた望月夏芽(小松菜奈)は、父の都合で東京から遠く離れた田舎町「浮雲町」に引っ越すことになる。祖父(ミッキーカーチス)が経営する旅館に同居するのだ。そんな夏芽が神の地だという海辺の出入り禁止エリアに迷い込んだとき、髪を染めた一人の青年に出会いときめく。学校に行ってみると、その青年はなんとクラスメイトの長谷川航一朗(菅田将暉)だったのだ。彼は浮雲町の有力者の子孫だ。


転校した中学では有名人の夏芽が田舎に突然転校してくるということで同級生は大騒ぎだ。傲慢なコウこと航一朗の奔放さに戸惑う夏芽は同世代の注目を集めながら、次第にコウに惹かれ合うようになる。コウの幼馴染松永カナ(上白石萌音)や大友勝利(重岡大毅)は2人が付き合うことを応援している。コウと付き合いだした夏芽だったが、火祭りの日、突然祖父の旅館に泊まりに来ていた客がお祖父さんが倒れたとウソをつき夏芽を車に乗せ人気のない場所に連れ込もうとする。お祖父さんが倒れたのはウソだと気づき、コウは懸命に夏芽の元へ駆けつこうとするのであるが。。。


菅田将暉と小松菜奈が話すセリフはまだ未熟な中学生を思わせる稚拙な感じだけど、これはこれで仕方ないだろう。田舎町を舞台に奔放な若者をそれなりに頑張って演じている印象を受ける。

1.新宮と南紀の田舎町
高良健吾、鈴木杏主演中上健次原作の映画「軽蔑」では新宮の町がロケに使われている。商店街や路地裏まで舐めるように新宮の町を映し出していた。鈴木杏演じるヒロインがストリッパーをしていた新宿歌舞伎町との対比を際立たせる。中上健次の主たる小説の舞台である南紀新宮市は本当に遠い。東京駅から特急を乗り継いでも最短で7時間半かかる。映画の設定になっている東京から5時間ではここまでは行けない。熊野川河口に列車が走る新宮大橋があり、その向こうに北越紀州製紙の工場が見える。工場が位置するのは三重県だ。この河口に向けての風景は美しい。


歴史が古い街だけあって、城址や神社など映画のロケにはぴったりくるロケーションづくりができる。新宮市から和歌山側に南に向かい、風景のきれいな勝浦、串本方面でいい場所をピックアップして、小松菜奈と菅田将暉を巧みに風景に溶け込ませている。ロケハンティングには成功していて、映像造りは若手監督ながらうまい。

2.印象的なシーン
主演2人は期待通りの活躍であるが、目についたのはジャニーズwestの重岡大毅である。中学時代は単なる物分かりのいいクラスメイトであるが、夏芽に事件が起き、2人が別れざるを得なくなり、重岡大毅演じる大友が一気に夏芽に接近する。それはそれでうまくいくのであるが、都会育ちの夏芽が映画を撮るために田舎町を去らなければならない。そのままでいて欲しい気持ちが強い大友を振り切り夏芽が東京に向かおうとする。


別れをめぐる2人のやりとりが場末のスナックであり、あきらめた大友が吉幾三の「おら東京さ行くだ」をおもむろに歌いだす。このシーンがこの映画で一番印象に残る。コミカルな重岡大毅のパフォーマンスは結構ロングバージョンなのに飽きずに笑える。小松菜奈も本気で笑っている感じだ。平成の初め、自分も和歌山にいた。その頃行きつけた場末のスナックにあたかもいるような感じがしてきた。この感じは悪くない。それだけで映画をみた甲斐があった。

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