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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

あぜ道のダンディ  石井裕也

2012-03-21 06:00:52 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「あぜ道のダンディ」は50歳のシングルファーザーの生き様を描いたヒューマン・コメディーだ。
愛情に満ち溢れた映像が妙にしっくりくる。

去年大震災の後、最初に見た映画が「川の底からこんにちは」だった。地震後の喪失感で乱れていた心を和ませてくれた。それを撮った石井裕也監督の最新作は、男手ひとつで育ててきた息子や娘との関係に悪戦苦闘する男を描く。名脇役・光石研が不器用な中年を好演している。


周りには畑も目立つ地方都市が舞台だ。50歳配送業の宮田淳一(光石研)には、大学浪人中の息子と高校3年生の娘の子どもがいる。39歳で妻はガンで先立っていた。子どもたちは父親とは会話はかみ合わない。職場では同僚(藤原竜也)に話しかけられても、めったに返事をしないほど無愛想だ。中学時代からの友人の真田(田口トモロヲ)と居酒屋で酒を酌み交わすことが楽しみだ。
ある日、主人公は胃に不調を覚え、亡き妻と同じく、自分も胃ガンなのだと思い悩む。主人公は親友にしか相談できなかった。そんな中、俊也と桃子が東京の私立大学に合格する。病院に行くと、胃カメラでポリープらしきものが見つかる。あわてる主人公だ。
東京で子供たちは新生活を始めることになった。せめて思い出を残したいと思うのであるが。。。

主人公は怒りっぽい。ちょっとしたことですぐキレる。同僚に対しても、親友に対しても、家族に対しても同様である。中卒で仕事をはじめ、何かに劣等感を持っている。常に自分がバカにされているじゃないかと思っている。でも子どもの前ではつい見栄を張る。
不器用な中年男の泣き笑いや屈折した心情を軽妙に描く。こんな奴割といるんじゃないか。同時に自分もこの男のように怒りっぽくなっているんじゃないかと共感を持った。


この映画は一人称を主人公としているが、時折目線を下げて息子や娘を一人称にする場面が出てくる。安月給の父親にアパート代を出させて大学に行くということに子供たちも悪いなあという気持ちを起こす場面が出てくる。監督はまだ若いだけに息子や娘の視線をもつこともできる。年をとった監督にはこの目線は描けないのではないか。やさしさにあふれているそのシーンをみながら、子供と離れる時が来たときにどう思ってしまうのかを想像してしまった。

前作同様出演者が歌を歌う場面がある。これは前作の方が良かったかな。
でも意外にしっくりくる映画だった。子を持つ親にお勧めかもしれない。

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映画「沈まぬ太陽」  渡辺謙

2012-02-29 06:31:39 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「沈まぬ太陽」は山崎豊子のベストセラーの映画化である。
日本航空をモデルにしたと思われる数々の事件とともに歩んだ主人公の動きを追う。
以前本を読んだ後、ブログにアップしたが、1700ページにもわたる大著である。

1960年代前半国民航空社員の恩地元(渡辺謙)は、労働組合委員長であった。社員の待遇改善をめぐって会社幹部と争いを重ねていた。その結果、恩地はパキスタンのカラチへの海外赴任命令を会社から言い渡される。2年という約束であった。しかし、次の異動辞令もイランのテヘラン行きとなる。
その間、会社経営陣は帰国をちらつかせながら組合からの脱退を促していた。同時期に組合にいた同期の行天(三浦友和)は、早々に組合を抜け、エリートコースを歩み始めていた。行天の裏切り、更に恩地の妻(鈴木京香)や子供2人との離れ離れの生活が続いていた。

十年に及ぶ僻地での不遇な海外勤務に耐え、本社への復帰を果たすが、恩地への待遇が変わることはなかった。その中、航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起こる。犠牲者は520名。現地対策本部に配属された恩地は現場に赴き遺族係を命ぜられる。そこで様々な悲劇を目の当たりにする。
政府は航空会社の民営化をを図るべく、国民航空新会長に関西の紡績会社の会長国見(石坂浩二)の就任を要請した。恩地は新設された会長室の部長に任命され復権した。事故によって失墜した会社の再建に尽力した。しかし、主流派からは冷たい目で見られていたが。。。。


3時間を超える長い映画である。重層構造ともいえるいくつものストーリーを積み重なっていく。
主人公の組合活動、不遇な海外赴任、ジャンボ飛行機の事故、外部からの会長就任と構造改革の失敗、不正経理問題の5つのストーリーを主人公を中心に展開させる。
この5つのうち2つでも十分に映画の脚本となる話の内容である。全部を取り上げているので、ディテールが細かいという訳ではない。概略をつかんでいっている感じだ。それでも放映時間3時間にはどうしてもなるだろう。

モデルになった日本航空に労働組合がいくつもあり、それぞれが権利を主張して今回の経営破たんの理由の一つになったというのは有名な話だ。原作によれば、主人公は元々組合活動に関心がなく、推されるように組合専従になったとのことだった。しかし、そこから抜けられなくなる。組合専従がエリートという時代ではあるが、さすがにストをちらつかせた労使交渉には経営者側も左遷辞令を出さざるを得なかっただろう。
60年代前半のパキスタン、イラン、ケニアといえば、完全な未開の地であったのではないか。大変だったと思う。映像ではそんなに深くは取り上げられてはいない。思ったよりもあっさりしている。でもじっくりロケをするわけにもいかないであろうから仕方ないかもしれない。


そして、ジャンボ機の事故である。原作でもこの辺りはドキュメンタリー的に取り上げていた気がする。あの時のことはよく覚えている。自分は休みであったのであろうか。テレビを見ていたら、羽田発大阪行きの飛行機と連絡が取れないというニュースをやっていた。一瞬ハイジャックを連想した。しかし、しばらくして大惨事のニュースが入ってきた。大変なことになったと思った。あのときは日本中がアッと驚いた。
まさに悲劇だといえる。



鐘紡の伊藤淳二氏と思しき会長も登場する。小説では主人公と外部から招へいされた会長だけはまともに書かれていた。今回も無難に石坂浩二を起用して、小説のラインに沿って、他のはえぬきの幹部を腹黒く描く。ここまでやると、さぞかしむかついた人は多いだろう。
伊藤淳二氏は鐘紡時代、組合との協調路線で有名だった。ここでもその手腕を買われ、「不毛地帯」の主人公のモデルでもある瀬島龍三氏と思しき人物に三顧の礼で招聘されている。しかし、会社の中は想像以上に黒い世界だった。ホテル事業子会社を通じた不正経理問題や10年間の外国為替先物予約取引などとんでもない状態だった。汚職の摘発をしようとしても、政治家もからんで主流派から大きな反発を受ける。

フィクションと言うが、明らかに現実の話に基づいている。そういうリアリティはある。
それぞれの俳優については可もなく、不可もなくといったところであろう。現代日本映画を代表するメンバーが出演しているが、演技で特筆することはない。渡辺謙は無難にこなす。三浦友和が悪役じみているのがめずらしい。これも悪くはない。「大岡越前」加藤剛が年をとったのに驚く。
やはりこれらの話をスケール感をもって描いた山崎豊子作品の凄味が映画からも感じられた。
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冷たい熱帯魚  

2012-02-25 18:19:59 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
冷たい熱帯魚を見た。傑作というべきか迷うが、ともかく凄い映画であった。

富士山麓のある町で主人公社本(吹越満)は小さな熱帯魚屋を経営していた。死んだ先妻のあとの若い後妻妙子(神楽坂恵)と娘の美津子(梶原ひかり)と暮らしていた。家族はバラバラだった。
そんなある日、娘がスーパーマーケットで万引きしたため、店に呼び出される。警察に言うぞと店長に激怒されていたその場を救ってくれたのは、スーパーの店長と知り合いの男、村田幸雄(でんでん)だった。村田は巨大熱帯魚屋、アマゾンゴールドのオーナーだった。帰り道、強引に誘われ、3人は村田の店へと寄る。そこには村田の妻・愛子(黒沢あすか)がいた。村田は娘美津子に自分の店で働くように勧め、住み込みの他の女子従業員たちに交じって勤務をスタートさせる。継母である妙子と娘は合わなかった。


数日後、主人公はある意味恩人である村田に“儲け話”を持ちかけられ、彼の熱帯魚店に呼び出された。そこには村田の顧問弁護士と投資者の吉田がいた。1000万もする高級魚のビジネス話に乗るかどうか迷っていた吉田だったが、まじめそうな主人公の存在も手伝い、現金を村田に渡した。
だが直後、吉田は殺される。村田の妻が飲ませたビタミン剤に毒が入っていたのだ。驚く主人公はおろおろする。豹変した村田と愛子に命じられるまま、社本は遺体を乗せた車を運転し、山奥にある怪しげな古小屋に辿り着く。そこでとんでもない行為を手伝わされるのであるが。。。。

韓国映画特有のえげつなさを日本でやったらこうなるという映画だ。一人のワルと図らずもはまっていった一人の男の話だ。ともかく2時間以上圧倒されっぱなしであった。


今回の実質主役というべきワルのでんでんは本当にすごかった。こういうのを怪演というべきであろう。
悪事を重ねている熱帯魚店の店主を演じている。人のよさそうなオヤジという雰囲気で出てくる。最初からハイテンションだが、ボルテージが急激に高まっていく。すぐにやくざじみた雰囲気に変わる。
でんでんはいろんな映画によく出ているが、警官の役も多い。要はやくざと警察は紙一重ということか。ここ最近のヤクザの雰囲気はまさに彼のパフォーマンス通りである。このハイテンションぶりは、いかにも躁うつ病の躁状態の表現である。ばくちにはまり、借金地獄になっていく連中にはよくいるタイプだ。お笑いを経験した俳優は演技ができる。特にこういうハイテンションな役にはもってこいではないか。


その妻?役を演じた黒澤あすかもすごい。夫と不釣合いな若い情婦の雰囲気をかもし出す。巷のクラブやスナックによくいるタイプの女性だ。途中ボディをさらけ出すが、いかにも使い古したようなバデイで崩れ方に卑猥な雰囲気がプンプンする。熟女もののAVを見ているようだ。そそられる人もいるだろう。その彼女と夫役でんでんとのコンビネーションが絶妙だ。この悪女ぶりはお見事だ。今後の活躍も期待できる。2人の姿に不自然さがない。現実にこんなワルの夫婦がいそうで、見ていてぞくぞくする。


主演の熱帯魚店主役吹越満は最初はオドオドした状態で出てくる。往年の冬彦さんの佐野史郎を思わせる。途中ワルのでんでんの策略にはまっていく弱々しさをうまく表現する。それがあるとき変貌する。その姿に注目したい。その妻は後妻に入った不自然に若い女性、それを元巨乳グラビアアイドル神楽坂恵が演じる。いきなり豊満なバストを強調した服を着て出てくる。主演とのアンバランスを強調しているようだ。その圧倒的なナイスバディも途中見せてくれる。今回女性二人黒澤と神楽坂の存在が映画にうまい味付けをしているような印象だ。


いずれにせよ園子温監督はうまい。その後神楽坂恵と結婚したというが、あのナイスバディを独り占めしているとはうらやましい限りだ。
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映画「軽蔑 」 鈴木杏

2012-02-19 18:39:01 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「軽蔑」は予想よりもいい映画だった。
長まわしを意識的に何度も使う。
この使い方が絶妙であった。

作家・中上健次の遺作を「ヴァイブレータ」の廣木隆一監督が映画化した。ジャケットを見ると今風の若いチンピラとダンサーの写真で、魔界の夜的なイメージが強い印象を受け、見るのが後回しになっていた。
実際には南紀和歌山の新宮の町のロケが大部分を占める。特殊な愛だが、見ようによっては純愛だ。


新宿歌舞伎町でその日暮らしをしているカズ(高良健吾)は、兄貴分から、借金を帳消しにするかわりに、組に断りなしで賭博を行っているポールダンスバーへの強襲を命じられる。カズは仲間と共にバーを襲う。そこにはカズが恋焦がれていたダンサーの真知子(鈴木杏)がいた。混乱の最中、控え室から真知子を連れ出したカズは、その勢いのまま駆け落ちを提案する。
二人が向かったのはカズの故郷和歌山の新宮市だ。実家は素封家であったが、両親とは疎遠であった。遊び人の息子のしりぬぐいをしていた。彼女を連れてきたカズに、母(根岸季衣)も父(小林薫)も唖然とした。父親は所有マンションの一室を二人のために用意し、移り住むことになる。カズは叔父の酒屋で配達の仕事を始めた。真知子も新宮での生活にとけこもうとしていた。
しかし、元ストリップダンサーの真知子との結婚となると、両親は反対だ。カズは頭に血が上って父親に刃物を向ける。カズの祖父の愛人で、今はカフェ「アルマン」を営むマダム(緑魔子)から知らされた真知子は東京に逃げ戻り、再びダンサーとしての生活を始める。そんな中、傷心のカズが地元の賭博場で借金を重ねてしまう。負け続けたのちに、カズは真知子を追ってクラブの楽屋に現れたが。。。。


歌舞伎町と六本木付近の映像が映る。いきなり夜のダークゾーンが出現して、そのまま物語が進むと思いきや、和歌山新宮の典型的な田舎町をめいいっぱいに写す。新宮は世界遺産のある街でもある。

自分は平成のはじめのころ、和歌山で3年仕事をしたことがあった。和歌山全域がテリトリーであったが、和歌山市付近で仕事をしていた。人口100万のうち約50万近くが和歌山市付近に集まっていて、広い紀伊半島の大部分には大きな町はなかった。
新宮は歴史の古い市だが人口3万4000人の過疎地だ。新宮までは同じ県なのに和歌山市から特急で約3時間かかった。車だと6時間程度でつくかどうか。東京から白浜まで飛行機は出ていたが、そこから先が長い。まあ遠いところである。でもときおり仕事があると、行くのが楽しみであった。白浜から先は明らかに海の色が変わる。透明度が高い。魚が新鮮だ。夜になると、空を見上げるとプラネタリウムのように星がきれいだ。その時まで感じたことのないような感動だった。

作者中上健次新宮の出身、被差別の実態を書いた小説を書いているが、文体は南紀の土着といった感じだ。代表作「枯木灘」は和歌山にいるときに読んだ。そんな彼の故郷をロケ地に選び、新宮の街を方々になめるように2人の主役とともに映し出していく映画だ。
この映画自体かなり地元住民の協力がないと出来なかった映画だと思う。さびれた商店街や路地もそうだけど、家を燃やしちゃったり、信用金庫の中でロケをやったり他の街じゃ考えられないロケだ。和歌山の人は実に「人がいい」そんな和歌山の良さを思い出して気分がよくなった。


長まわしの映像が多い。
これも良し悪しで、映画の批評をみると中途半端としているものもあるが、自分は悪くないと感じる。俳優には酷だけど、長まわしの中でじっくりと情感を盛り上げていく。

主役2人はかなりのベッドシーンをこなさせられる。廣木隆一監督はもともとがピンク映画の出身だけに丹念に撮っていく。鈴木の乳房が小ぶりで普通ぽくて濡れ場になんか妙なリアル感を感じた。
全般的に2人の演技は悪くない。高良健吾の半端者ぶりがらしくてよい。それと同時に脚本がうまいと感じた。調べてみると、奥寺佐渡子。「サマーウォーズ」や「八日目の蝉」の彼女だ。サマーウォーズでは上田、八日目の蝉では小豆島、パーマネント野ばらでは高知の田舎そして今回と、地方のさびれた町を描くのがうまい脚本家なんだろう。なるほどうまいはずだ。「男と女は、五分と五分」という真知子の独白をうまくからませる。脚本に合わせたロケハンティングもうまい。これは監督の手腕だろう。

同時に脇役の使い方がうまい。「ヴァイブレータ」廣木隆一監督と一緒だった大森南朋、もう死んだのかと正直思っていた緑魔子などは適材適所で、彼らをうまく使いながらの手持ちカメラを使った撮影もうまい。広い空間を映し出したと思ったら、アップを使ったり巧みな印象を持った。

あまりにもひどすぎるのでブログにアップするのをやめた「アンダルシア」と比較して日本映画も捨てたもんじゃないなあと感じた。無理して外国へ行かなくても、日本国内の町でいい映画がとれる。

軽蔑 
中上健次の遺作


千年の愉楽
中上健次作品を若松孝二が演出した路地作品
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ALWAYS三丁目の夕日64

2012-02-17 20:43:00 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
「三丁目の夕日64」を劇場で見た。
なつかしい時代を思い起こすのか、高齢の人たちが目立った。

詳細で気になるところはいくつかあったが、前作同様気がつくと涙の洪水になってしまう。なんでだろう。
吉岡秀隆がからむ話に強くしんみりする場面がいくつかあった。

昭和39年(1964年)オリンピック開催を控えた東京は熱気に満ち溢れていた。
東京の夕日町三丁目では、駄菓子屋の店主やりながら小説家の茶川竜之介こと吉岡秀隆は、ヒロミこと小雪と結婚し、高校生になった古行淳之介と3人で仲良く生活している。商店の一角は改装され、小雪がおかみを務める居酒屋となった。小雪は身重。だが吉岡は「冒険少年ブック」の看板作家として連載を続けているが、新人小説家の作品に人気を奪われつつあった。編集者から「もっと新しい雰囲気で」と言われ、スランプに陥っていく。
一方、鈴木オートには、主人の堤真一とその妻こと薬師丸ひろ子、一人息子、住み込みで働く星野六子こと堀北真希が暮らしていた。堀北にも後輩ができ彼女無しでは鈴木オートの仕事は回らないほどであった。そんな堀北は、毎朝おめかしをして家を出て行く。それは、通勤途中に若い男性こと森山未來とすれ違いあいさつを交わすのを日課にしていたが。。。。


エンディングロールのクレジットのトップは吉岡秀隆である。堤真一よりも上になっている。
ストーリーの基本は吉岡と堀北が中心になって構成されている。田舎ものの堀北と小説家くずれの吉岡はそれぞれに今回も紆余屈折がある。
吉岡については、雑誌の連載小説の欄を若い別の作家に奪われそうになっていること。
小説書くくらいなら勘当だといわれて離れていた田舎の父親が危篤になる話
小雪の懐妊、東大を目指す同居の少年が小説をあきらめきれない。といったところが柱か
堀北について毎朝出会う若者との恋愛関係がこの映画でのキーポイントになる。
それを東京オリンピックという大イベントを絡ませる。この年は新幹線開通の年でもある。


今回も泣けるのは、吉岡の話だ。
脚本も毎回狙いを吉岡のダメ男ぶりに焦点を当てているが今回も同じだ。
まんまと脚本家のたくらみにはまってしまう。
でも何でこんなに泣けるんだろう。
それなりに自分との共通点があるのかもしれない。

吉岡の父親は表向きは厳しいが、裏では息子の書いた小説の掲載誌を大切にストックしている。
結局生きているときには、そんなことはわからなかった。それを死後初めて発見する。
それぞれに暖かい父親のコメントが残されている。
このシーンが一番ジーンとした。
自分の父親は筆不精で何も書かなかったが、母親は筆まめなほうで昔の日記等をたくさん残していた。
やっぱりそれを見るとジーンとするものだ。
それと同じような感情だ。

自分もぎりぎり30年代の記憶がある。
この映画の舞台も東京タワーの近くだから、港区の三田の都電通りをずれたあたりだ。
小石川のおじさん宅へおじいちゃんとタクシーで通っていた道だけに
印象が強い。都電通りの雰囲気はいかにも同じだ。
でも39年にもなったら東京の真ん中で舗装されていないところはあまりなかったんじゃないかなあ
商店の感じもこの時期になるともう少し変わっていたんじゃないかしら?
それが違うような気がするがどうだろう。


あとは「シェー」を子供たちがやる場面
漫画では連載されていたけれど、子供たちが「シェー」をやるようになったのは
おそまつ君がテレビ放映された後じゃないのかなという気がする。
ひょっこりひょうたん島は39年にスタートだけど当初からこんなに人気あったかな?
銀座のみゆき族に焦点を当てたのはいい。アイビールックがいかにもVANの香りがする。
チェックのジャケットがいかにもVANぽい。
銀座のフルーツパーラーで堀北が彼氏とデートする場面が出てくる。
40年代前半までは、パフェとかを食べるにはわざわざ銀座に行ったもんだ。あるいは渋谷の西村か新宿の高野。子供心にもちょっとこぎれいな格好をして、銀座に行く感覚っていいもんだった。

鈴木オートの息子がエレキを高校で演奏している。
でも、エレキ人気は39年ではまだだったんじゃないかな。
ベンチャーズの来日は40年始めだったはず。そこで一気にエレキ人気が急激に高まり
年末に加山雄三「エレキの若大将」が放映されたと記憶する。
そしてGSブームへとつながっていく。
39年と40年微妙な一年違いなんだけど、自分なりにはそう分析する。

細かいこと言ったけれど、見ている初老あるいは老人たちにはそんなこと
どうでもいい話だろう。みんな懐かしいものとしてみただろう。
おそらくは満喫して帰ったのだと思う。それでめでたしめでたしなんだろう。
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まほろ駅前多田便利軒

2012-02-04 06:27:52 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
まほろ駅前多田便利軒は男2人のドラマ
便利屋を職業とする主人公に中学の同級生がからみ意外な展開を見せる。

東京のはずれ「まほろ市」が舞台。(町田市と思われる)
そんな街の駅前で主人公こと瑛太は便利屋“多田便利軒”を営む。
仕事で客から預かったチワワに逃げられてしまう。探したが、バス停で見つけたチワワを抱く男は、中学時代の同級生・行天春彦こと松田龍平だった。中学時代に2人にはちょっとしたいざこざがあった。彼は今晩泊めてくれないかというが、主人公は断る。しかし、駅で送っていくときに一瞬ためらい松田はその晩泊る。翌朝主人公は松田と一緒にチワワを返しにいった。依頼人は既に夜逃げしていた。娘の動きを察知して依頼人の所在を突き止め、松田が訪問したが、新しい飼い主を探すよう頼まれてしまう。結局、松田が主人公の家に居候することになり、奇妙な共同生活が始まる。

2人ともバツイチであった。それぞれに訳ありであった。その後、チワワの引き取りを申し出てくたストリートガールとルームメイトとのかかわりや塾の送迎を依頼された小学生とのかかわりを描いていく。ところが、この小学生に妙ないわくがついていることがわかるが。。。


「ヌードの夜」の竹中が演じる役も便利屋であった。本物の便利屋さんの話はいくつかの本で読んだことがある。どういうひとがやるかというイメージとして相当な変わり者という印象がある。瑛太はそのイメージにぴったりではないか。
配役がぴったりしていると映画のテンポはよくなる。
飽きずに最後まで見れた。
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マイバックページ1  妻夫木&松山

2012-01-06 06:12:46 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
「マイバックページ」は70年代に突入するころの若者たちを描いた作品。文筆家川本三郎氏が遭遇した自衛官殺人事件のいきさつに迫る。
学生運動、朝日新聞、左翼思想が三つ巴で嫌いな小生としては、単にイメージの問題でこの作品を回避していた。しかし、川本三郎氏の映画や街を描いたエッセイは大好きである。そっちの思いが強く、怖いもの見たさの気分で新春早々に見てみた。
結果としてはナイーブな一人の青年を描いた作品として見てよかった。悪人でもその演技が光った妻夫木がここでも好演だ。思想的な一面よりも学園紛争時代に生きた一人の若者の偶像を見せてくれた。


1969年安田講堂は陥落した時に、主人公こと妻夫木は東都新聞社(朝日新聞をモデル)に入社した。当時東都ジャーナル(朝日ジャーナルがモデル)は露骨に全共闘を支持する記事を書いていた。そこを希望したが結局週刊誌編集記者(週刊朝日がモデル)として働くことになる。主人公は、取材対象である活動家たちに接近する中で心の葛藤が生まれていた。ある時隠密取材をするべくアジトから全共闘議長(山本義隆がモデル)を日比谷へ移送したが、結局別れの演説を経て議長は逮捕される。
その一方、ある大学の学内思想研究会のリーダーこと松山ケンイチを映す。彼は同じ組織のメンバーと激しく論争している。その中で暴力的な行動に移ろうとしていた。
主人公妻夫木は先輩とともに松山の接触を受ける。そこには京大の闘争家がからんできた。松山から「武器を揃え、行動を起こす」と言われる。しかし、重要闘争家として注目されるような存在ではない。妻夫木は本当に彼が動くか疑問にもつが。。。。



学生運動の闘士というのは自分でも何言っているのかわかってはいないであろう。戦後日本の碩学ともいえる加藤周一もこういう左翼思想家の知的能力に問題があると認識していた。加藤は言う。
「社会科学のもっともらしい言葉が無数にくり出されてきて、それぞれの言葉の定義があきらかでなく、整理もつかず、つじつまも合わず、何を言っているのか誰にもわからないというのは、頭の混乱を表わしている」
屁理屈に走る彼らのことは大嫌いだ。そんな連中をたたえる映画なのかと思っていた。
その推測は大いなる勘違いであった。



かの有名な全共闘議長山本義隆をモデルにした人物が出てきたりしたが、その思想の根本に迫るわけではない。あくまでこの映画で追いかけるのはナイーブな主人公の心の動きだけである。
主人公は弱い男だ。しかも、取材する人間として特ダネをゲットしようとする欲もある。誰よりも先に自分だけでゲットしようとする。若者ならではの野心がある。でもどこかが抜けている。
「悪人」で演じた男と本作品のインテリ男のキャリアは対照的だ。でも元来妻夫木自身が根本的にもつ性格はこの映画の主人公にあっているのかもしれない。この映画の方がハマっている気がする。途中図らずもジーンとくるシーンがいくつかあった。予想外の自分に驚く。

川本三郎のエッセイはかなり読んでいると思う。大好きだ。永井荷風を追いかけるエッセイや50年代の映画や寅さん映画を追いかける評論にいやな左翼思想は全くない。まともである。映画の最初の方に川島監督の名作「洲崎パラダイス」の銀幕を見つめている主人公の姿が映し出される。飲み屋で先輩記者連中と語りあうシーンも出てくる。そして彼の内面を追いかける余韻のある長まわしシーンが映る。特ダネを決めてやろうと欲張るシーンも出てくる。若い彼がいろんなことを経験する中でさまよいながら生きていく姿を見てなぜかジーンとした。
思想を超えた奇妙な共感であった。。。。。

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阪急電車  中谷美紀

2011-12-05 21:25:11 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「阪急電車」は西宮北口から宝塚を結ぶ阪急今津線の乗客たちを描く。車中に繰り広げられる人間模様を描いた作品だ。映画のポスターを見ながら奇妙な題名だなあと思っていた。ポスターに映る阪急電車ホームの中谷美紀のドレス姿が奇妙だった。でも割とおもしろい。傑作という大それたものではないが、楽しめた。転勤で行った大阪を離れて17年になる。そんな大阪を象徴する阪急電車が舞台の映画をみて郷愁のようなものを感じた。


阪急今津線は宝塚から西宮北口間を約15分で走る。阪急伝統のえんじ色の車体だ。
まずは中谷美紀が映る。婚約者と会社の後輩の2人に子供が出来てしまったという告白をうける。驚く中谷だ。許せない2人だが、結婚式に列席させてくれたら婚約不履行で訴えないという。そして式当日、中谷は花嫁と思しき真っ白なドレスに身を包んで式のテーブルに着く。あわてる新郎新婦に周辺の列席者だった。ホテル担当者が気を使ってはおるものを持ってくるが、静かに中谷は式場を去る。
白いドレスに身を包み宝塚駅から乗車した阪急電車にはさまざまな人たちがいた。
きれやすい彼氏のDVに悩む女子大生こと戸田恵梨香。息子夫婦との関係がぎくしゃくしている老婦人こと宮本信子。セレブの奥様たちとの付き合いに疲弊する主婦こと南果歩。沿線の関西学院に馴染めない地方出身の男と女谷村美月。年上の会社員と付き合う関西学院に憧れる女子高生などなど。。。
それぞれが全く独立している存在である。それが単なる乗客という関係の中で静かに接近していく。。。

阪急電車のえんじ色は、関西ではエリートカラーである。最初はなんてどんくさい色だと思ったけれど、慣れるとちがう。乗車する人たちも誇りを持ってこの電車に乗っている。知的レベルも高いし、プライドも異常なくらい高い。そんな電車に乗車する若い女性たちと一人の初老のご婦人を描く。
小さな話をたくさん積みあげるが、いずれもありそうな話である。不自然ではない。
特に息子の同級生の母親グループにいやいや誘われる南果歩の姿がいじらしかった。家では質素な食事で節約しているのに、無理やり高級レストランのランチを誘われ、息子の手前断れない。このエリアにありそうな話だ。


中谷美紀は関西弁を話さない。これはこれでいいのではないか。元々の関西人でないと関西弁が不自然になる。不自然な関西弁ほど嫌なものはない。自分も最初に大阪に転勤で行った時、大阪弁とやらをしゃべってみようかと思った。でもすぐやめた。大阪弁といっても一つの言葉でない。エリアエリアで違う言葉をしゃべる。これは難しい。妙な言葉を話すと、相手からはバカにしているように見られるかもしれない。そう思った。でも不思議なものでイントネーションはどうしてもつられてしまう。今でも当時くせのついたおかしなイントネーションで話すことがある。ちなみに自分の妻は関西人で毎日関西弁を聞いている。

宮本信子は初老の設定で関西弁を話す。芸達者の彼女ゆえ不自然ではない。伊丹映画で見せた名調子を久々見せる。往年の片りんを垣間見せるのは悪くない。
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洋菓子屋コアンドル  蒼井優

2011-10-15 12:50:10 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
洋菓子屋コアンドルは田舎から上京した新米パティシエの奮闘記である。主演は蒼井優で鹿児島弁を使ってわざと田舎者の感じを出している。脇を固めるのは戸田恵子、江口洋介の芸達者でストーリー展開は普通だが、本質的な愛情のようなものが根底に流れているので、後味は悪くない。


東京の洋菓子店“パティスリー・コアンドル”に、大きな荷物を持った鹿児島弁丸出しの娘こと蒼井優が、パティシエ修行中のはずの恋人を探して店を訪ねてくる。だが彼は既にコアンドルを辞めていた。
店にはオーナーでシェフパティシエこと戸田恵子と夫ジュリアン、そして女性助手こと江口のりこが働いていた。そこにスイーツの評論家こと江口洋介がよく訪ねて試食にきていた。彼はもともと天才パティシエだったという。
行くあてもない蒼井は途方に暮れた末、戸田に店で働かせて欲しいと頼み込む。自らをケーキ屋の娘であると売り込み、得意のケーキを作ってアピールするが、店に出せる代物ではない。それでもなんとか見習いとして雇ってもらうこととなり、泊り込みで働き始める。
働き始めていたが失敗ばかり毎日で先輩助手の江口のりこから叱られっぱなしだ。そんな中、蒼井は探していた恋人が現在勤める店を知る。やっと会えた恋人に鹿児島へ一緒に帰ろうと説得するが、彼は東京で修行を続けると言う。しかも、そこに新しい彼女が現れたが。。。。


温かみのあるような印象を受けてこのDVDを手に取った。おいしそうなケーキの画像を見てみたい気もしていた。その印象ははずれではなかった。
昭和30年代から40年代にかけて集団就職の全盛の時は、地方から上京して職について修行するという設定は映画でよくある設定だった。今は地方から上京する学生という設定はあるかもしれないが、昔のようなパターンは少なくなった。比較的最近の映画「三丁目の夕日」はあくまで昭和30年代前半の設定だ。そういう素朴な女の子を演じるには蒼井優は適役だったかもしれない。

この映画での蒼井優はおっとりしたというよりも、田舎のおてんば娘である。気も短いし、自分勝手だ。そんな女の子だけれど、応援してあげたいと思う気を起させる。そういう年に自分がなったからであろうか?同時に先輩パティシエである江口のりこの存在がこの映画の中でいいスパイスとなっている。職人を思わせる身のこなしで無口だ。言葉を発するときつい。一重まぶたの目もきつい。でも気になる存在だ。腕を競い合う2人は心が親しく交わることはない。鋭角に交わる。でも本質的なやさしさやふれあいがどこかに見える気がした。
戸田恵子は貫禄が出てきた。加賀まりこや80を超えるベテラン鈴木瑞穂、佐々木すみ江の使い方がうまい。彼自身は悪くないけれど、江口洋介の過去の見せ方がちょっとくさいなあと思う以外はうまくまとまっていると思う。
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八日目の蝉

2011-05-18 11:01:09 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
paceolaさんお勧めの映画「八日目の蝉」を劇場で見てきました。
ひたすら涙の大洪水、映画が終わってハンカチを吹きながら洗面所で自分の顔を見ると目は真っ赤。カバンからティッシュを取り出してジュルジュルした鼻をかんでしまった。
誘拐犯の女性がその子を育てるという前提のみ知って、劇場に向かったが、なかなか考えさせられる映画であった。不倫相手の子供を中絶した主人公こと永作博美は、本妻こと森口瑤子が生んだ赤ん坊を盗み、逃亡する。永作博美は赤ん坊に、堕胎した子につけるはずだった薫という名前を付け、実の娘として育てる。
xy座標軸を永作博美と井上真央の2人に置きながら、z座標の時間軸を前に後ろに振る手法で映画を作り上げていく。フラッシュバックを基本にした3次元の構成は巧みだと思う。


生後4カ月の女の子を誘拐、4年間逃亡した野々宮希和子こと永作博美が逮捕されるシーンからスタートする。「なぜお母さんが。。。」と戸惑う4歳の女の子。真実の両親に会ってもピンとこない。裁判所で永作博美への論告求刑が告げられた後、永作は静かにこう述べた。「四年間、子育ての喜びを味わわせてもらったことを感謝します」傍聴席から猛烈に反発する母親こと森口瑤子だ。
妻帯者の男を好きになった永作は彼の子供を身ごもる。「今は無理だ。もう少し待ってくれ」と中絶する道を選ばせる。そのあと、男は妻と子供をつくる。永作は、夫婦の留守宅に忍び込み、赤ん坊を見つけ魅せられる。思わず抱かかえて雨の中を飛び出す。永作は子供を薫と名づけた。彼女の逃避行が始まる。カルト系集団のアジトに世話になったり、小豆島へ行ったりしたのであるが。。。。


誘拐された女の子秋山恵理菜こと井上真央は21歳の大学生となった。無神経に事件が書きたてられる中、家族は疲弊していった。誰にも心を開かないまま、井上は家を出て一人暮らしをする。井上は所帯持ちの男岸田こと劇団ひとりに好意を寄せられていた。そんな頃、恵理菜のバイト先にルポライターこと小池栄子が訪ねてくる。小池は昔の記事の切り抜きを井上に示し、あの誘拐事件を本にしたいと接触する。拒絶する井上。しかし、小池が井上を度々訪れるうちに拒絶できなくなる。そんな時、井上は自分が妊娠していることに気づく。自分の父親が永作にした行為との類似点を見いだしながら、小池に語っていくのであるが。。。。


前半では、生まれて間もない子供を置いて、外出するなんてバカな母親だ。そんなことする親だから子供をさらわれてしまうんだなんて思ったりして不愉快な始まりだった。小池栄子もうっとうしく井上真央につきまとい、これもいやらしかった。誘拐犯にさらわれた子供のころの話をさせようとするなんて、なんて嫌な奴と思っていたのであるが、あとでオチがついた。


長時間の映画で脚本、監督もどこをカットするか迷った印象のある映画だ。構成はうまいが、編集はものたりない。島の人に協力してもらうからなのかもしれないが、祭りや舞台などここまで挿入する必要はないのではないか?と見ながら思っていた。でも、そう思った後の展開には涙腺を強烈に刺激させられた。


4歳の時の記憶ってあると思う。自分に振りかえってみても、3歳後半くらいから残っている。三歳の七五三のとき、母と五反田の写真館に入った記憶がある。主人公と同じような立場になってみたら、大変なことだったろうかと思う。子役のブルーの服が、娘が小さい頃によくきていた服によく似ていたので妙に親近感をもった。演技ができるという段階ではないと思うが、赤ちゃんが妙にかわいかった。衝動的に奪い取ってしまいたい気持ちにさせられる赤ちゃんだ。

クレジットは井上真央をトップにして永作博美をラストにしているが、実質的に主演2人とするべきであろう。この二人については完ぺきだと思う。永作博美についてはここで「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の演技を絶賛したこともある。今回も狂喜迫る表情と子供への異常な母性を見事に演じた。井上真央も外に心を開かない今風の女の子を見事に演じた。うまい!適切な配役だ。
小池栄子は「接吻」で大きく変化をとげた。その実力を評価され、今回も出ていたのかと思う。もともとの小池のキャラと違う役柄を演じるとうまい。あと驚いたのは母役の森口瑤子だ。実は個人的に彼女の大ファンである。それなのに最初はわからなかった。最後にクレジットを見るまで確信が持てなかった。それだけ彼女が役に没頭しているのだと思う。ある意味CMクイーンで、幸せそうな奥さんを演じるのが得意な彼女が正反対のヒステリー女を演じる。こうも変わって見えるものなのか。女は怖い。
コメント (6)
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