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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「国宝」 吉沢亮&横浜流星

2025-06-10 05:13:59 | 映画(自分好みベスト100)

映画「国宝」を映画館で観てきました。

映画「国宝」は任侠人の息子に生まれた男が歌舞伎の世界に入り、女形として身を立てようとする道筋を描いた吉田修一の原作を映画化。吉田修一は黒装束の裏方として歌舞伎界に3年身を置いていたようだ。名脚本家の奥寺佐渡子が脚色して監督は「悪人」李相日だ。相当な準備期間を経て製作された前評判の高い映画である。

とにかく豪華キャストだ。主演の吉沢亮のライバルになる師匠の息子が現在の大河ドラマの主役横浜流星で,国際派俳優の渡辺謙が師匠役だ。その妻を梨園出身の寺島しのぶが演じる。上映時間が約3時間と長いけど、作品の出来を期待して映画館に向かう。

長崎で任侠の頭である立花権五郎(永瀬正敏)の宴会に歌舞伎役者花井半二郎(渡辺謙)が訪れる。そこでは組長の息子立花喜久雄が女形の芸を披露していた。ところがその場に敵対する組が押し寄せ立花組長は殺される。

喜久雄は父の復讐に燃えていたが果たせず、上方歌舞伎の丹波屋・花井半二郎の元で預かってもらう。半二郎の息子俊介とともにで芸の稽古に励むことになる。稽古は厳しいながらも、半二郎から花井東一郎の名を与えられようやく重要な役を掴むようになる。

その後半ニ郎の負傷で図らずも十八番「曽根崎心中」の代役が回ってきた。当然、息子の俊介(横浜流星)が演じるべき話と誰もが思ったのに、半二郎が指名をしたのは喜久雄(吉沢亮)だった。そこで葛藤が生まれ俊介は喜久雄を追って長崎から移り住む春江(高畑充希)と一緒に暮らすようになり歌舞伎界を一旦離れる

すばらしい作品だ。当然のごとく日本映画の今年ナンバーワンになるであろう。

最初に長崎での襲撃場面で一気に観客の心をつかむ。その後も高いレベルで観る自分を刺激するシーンが続く。歌舞伎の舞台だけでなく、芸者のいるお座敷での和のショットもいい。撮影も適切なアングルだ。原作を読んでいないので、次の展開はどうなるんだろうと思わせて物語は進むので長時間でも飽きない

自分は歌舞伎には詳しくないが、各俳優が演じる歌舞伎のシーンは呆れるほどすばらしい。出演するたびに毎回強い存在感を示す田中泯(女形の小野川万菊)がここでも怪優ぶりを発揮した。

吉沢亮演じる外様の歌舞伎役者と血統を受け継ぐ横浜流星ライバル物語である。高校生の時、長崎から引き取られた喜久雄は稽古に精進して、師匠の息子俊介と肩を並べる。ともに成長していけばよいが、長期間にわたって交互に片方が浮上すると片方は低迷する。ある時期にそれぞれが歌舞伎界から遠のく状態になってしまうのだ。

ここで強調されるのが血統だ。周囲はもちろん花井半二郎の妻(寺島しのぶ)はずっと息子の俊介の活躍にこだわる。

⒈吉沢亮

この映画を観て吉沢亮は本当に運が良かったと思う。昨年末飲み過ぎでうっかりマンションの隣室に入ってしまうという問題を起こした。日本人特有の「過度な足の引っ張り症候群」にやられなかったのはラッキーだ。もし失脚したら、我々はこのすばらしい映画に巡り合うことができなかった。

代役が演技しているわけでなく、このレベルの歌舞伎の立ち回りができるようになるまでかなりの鍛錬が必要だったはずだ。お見事だ。横浜流星と組んだ「二人道成寺」に驚き、「曾根崎心中」では男役と女役の両方をこなす。特に最後の紙吹雪が舞い上がる中での場面には身震いした。3時間を長いと感じさせない。

⒉血統と歌舞伎界

歌舞伎役者の世襲が延々と続くのは仕方ないと思う。それこそ、小学校に入学する前から歌舞伎の道に入るための英才教育を受けている訳だ。タニマチ筋のようなスポンサーもいるだろう。梨園の世界はカネがかかるとその筋の方から聞いたこともある。後ろ盾がない普通の役者が追い抜いていくのは容易ではない。血筋と関係ない片岡愛之助超レアだ。

この映画では主人公の立花喜久雄が高校在学の頃から花井半二郎の門に入る設定だ。まだまだ成長期の頃に超一流の師匠から教えを受けるのなら現実的にはあり得る感じもする。師匠を通じての後ろ盾だってあるからだ。歌舞伎の興行を担う会社の社員(三浦貴大)から世襲でないのにうまくいくわけがないと言われケンカする場面がある。うーんと思いながら見ていたが、三浦友和と山口百恵のセガレがいう言葉なので妙な感じがした。

 

⒊歌舞伎

架空の歌舞伎の劇場として西の浪速座と京座、東の日乃本座の名前が使われていた。実際に撮影した歌舞伎劇場ってどこなんだろうと映画を観ながら思っていた。いわゆる東西の歌舞伎の殿堂である東京の歌舞伎座と京都の南座は使われたのかな?

情報によれば、どうやら南座は使われたようだ。満席のエキストラも南座が会場のようだ。ここが使えるかどうかで映画のクオリティは雲泥の差になる。びわ湖大津館の外観が東京歌舞伎座の雰囲気に近いため、映画の歌舞伎劇場「日乃本座」の外観として、また中村鴈治郎(智太郎)が出てくるロビー稽古のシーンで撮影に使用されたとのことだ。京都の撮影所では、歌舞伎特有の「せり」を再現するための大規模なセットも組まれたようだ。

吉沢亮や横浜流星が演じる以外は実際の歌舞伎役者が相当数出演しているようだし、中村鴈治郎も大物役者役で出演する。寺島しのぶはまさに人間国宝の尾上菊五郎の娘だ。歌舞伎界からは好感をもって受け入れられていると自分は理解する。

⒋女性陣と花柳界

女人禁制の歌舞伎役者の世界なので、あくまで女性は連れ合いだ。立花喜久雄(吉沢亮)には幼なじみで一緒に寄り添うと誓った春江(高畑充希)がいる。ともに背中に刺青をしている。ところが、祇園のお座敷でひいきになった芸妓の藤駒(見上愛)との間に女の子が生まれる。藤駒は結婚しなくていいと言い続ける。そのまま添い遂げるはずだった春江は俊介のもとへ行ってしまう。その後、喜久雄は大御所の歌舞伎役者の娘(森七菜)に惚れられてしまうのだ。

そんな感じで女性関係はゴチャゴチャだ。以前坂田藤十郎(今回出演した中村鴈治郎の父)が若い女性との逢引きアソコを露わにして写真雑誌にスクープされたことがあった。妻の扇千景は芸人だから仕方ないと開き直っていた。でも相当絞られたんだろうと仲間うちで苦笑したものだ。祇園は南座のそばだ。芸妓とその娘をクローズアップして花柳界の世界を垣間見せる場面もいくつかある。最後に向けて現代映画界の人気女優が娘だと名乗り出る。なかなかしびれるシーンだった。

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映画「We Live in Time この時を生きて」フローレンス・ピュー&アンドリュー・ガーフィールド

2025-06-09 08:07:59 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「We Live in Time この時を生きて」を映画館で観てきました。

映画「WeLive in Time この時を生きて」は英国映画。卵巣がんで余命短い奥さんがいる若い夫婦の歩みを描くジョン・クローリー監督の作品だ。直近で老人映画ばかりを観ていて、たまには若手人気俳優によるドラマを観てみたくなる。主演は、直近でアメコミ映画で主演もやったフローレンスピューとスパイダーマンのアンドリューガーフィールドだ。余命短いモード映画はどちらかと言うと避けている。いくつかのコメントだと別のテイストを持った展開のようだ。興味半分に映画館に向かう。

時間軸を前後にずらす映画であるので,ストーリーの解説は慎重に。。

アルムート(フローレンス・ピュー)は英国にあるフレンチレストランのシェフ。データ管理の仕事をする会社員トビアス(アンドリュー・ガーフィールド)と交通事故がきっかけで2人は恋に落ち結ばれる。アルムートが懐妊して喜ぶ一方で子宮に腫瘍があることがわかり戸惑う。

映画が始まると、夫婦2人が医師から診断の報告を受けているシーンだ。妻は懐妊してお腹が大きい。卵巣に腫瘍ができているけど、お腹の赤ちゃんが大きいので外科的に子どもを取り出すことができない。シェフの仕事はもう辞めた方がいいと医師からアドバイスを受けている。

その後、夫が送られてきた離婚の書面に署名をしようとしているシーンに移る。「え!あの2人どうなるの?」と思ったらペンが使えなくて書けない。外出してペンを買って戻ろうとしたら交通事故に遭って車にひかれる

痛々しい姿で病院にいると、目の前にいるのは妻だ。ところが、交通事故の加害者だという。「何それ?」しかも2人は初対面のようだ。離婚の署名って別の人との離婚なんだとようやくわかる。

その3つのシーンで時間軸を前後にずらしていることに気づく。いきなりの迷彩に惑わされる。

難病余命ものにしてはお涙頂戴の場面は少なく普通のラブコメのように明るい。

見どころも多い。特に中間点あたりから妻の向上心が強く、ポジティブで希望に満ちた物語に仕上げていく。

主役2人を映す喜怒哀楽に富んだ多種多様なショットが続く場面が室内外色んな場所で撮られているので閉塞感がない。色合いもカラフル。さまざまな変化を見れていい感じだ。シーンの時間軸は前後に大きく移るので当初は混乱してしまう。2人のメイクラブ、結婚、出産、闘病と次々とシーンが増えていくにつれて頭の整理がついていく。

⒈フローレンスピュー

若手のホープで有力作品に次から次へと出演している。いつも体当たりで異色の役柄に挑戦して好感が持てる女優だ。ものすごくパワフルで、直近はアメコミに出演したし、プロレスが題材の「ファイティングファミリー」では女子プロレスラーを演じている。大ヒットしたアカデミー賞作品「オッペンハイマー」では、共産主義者時代のオッペンハイマーの恋人役で、ボリュームたっぷりのバストを見せている。今回も気前よく脱いで乳首丸出しで絡みもかなり大胆で何度もメイクラブする。自信があるのだろう。

これまでの作品に増して凄いと思ったのは,頭をバリカン刈りして丸坊主になる事だ。夫役のアンドリュー・ガーフィールドがバリカンを持って、娘と一緒になって庭でフローレンスピューの頭を丸坊主にしていく。おいおい本気かよと見ながら思わず思ってしまう。丸坊主になると、日本のひと時代前の男子中学生のようだ。丸坊主にした数人の女優たちは、これまで見てきたが、30手前のこの若さで、体当たり演技は評価できる。

⒉赤ちゃん出産シーン

コミカルな見どころの一つだ。妊娠後にクルマで移動しようとして何度も渋滞にハマる。段取り悪いなあと思うけど、設定だから仕方ない。いよいよ出産とクルマで移動する時も、ガソリンスタンドで産気づき、付設のドラッグストアで妻がトイレに駆け込む。もうすぐ生まれそうと病院に行こうと思ったら鍵が開かない。店員も含めてあわててようやくドアを壊して入ろうとすると、赤ちゃんの頭が出そうになっているところで、結局トイレの中で出産してしまう。そんなシーンをコミカルに演じているところが笑いを呼ぶ

⒊ボキューズ・ドール

フレンチの料理の鉄人たちの国際コンクールだ。世界各国から選ばれた料理人が2年に一回集結する。これって以前に映画で見た記憶があるけど、どの作品か思い出せない。メインのシェフとアシスタントシェフの2人で参加する仕組みだ。

アルムートの余命がわずかだとわかり、レストランの若手をアシスタントに指名して挑戦する。競技の調理時間に制限があるので、時間内に終わらせる特訓をしたり、調理の練習中にがんの発作に襲われるシーンもある。もともとフィギュアスケートの選手だったアルムートは根性がすわっている。しかも、余命の間に娘に自分の晴れ姿を見せつけておきたい願いがある。

勝てるとは思っていなかった国内予選を勝ち抜きいよいよ世界戦だ。コンペ前にはアシスタントも頭を坊主刈にして乗り込んでいくのだ。単なるお涙頂戴映画にさせない強い意志を感じる。

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映画「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」 ジューン・スキッブ

2025-06-06 22:03:48 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」を映画館で観てきました。

映画「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」特殊詐欺に引っかかった93歳のおばあさんが犯人に復讐する異色のコメディである。同年齢のベテラン女優ジューン・スキッブが初主演で、復讐の手助けをする老友を往年のブラックムービー「黒いジャガー」リチャード・ラウンドトゥリーが演じる。予告編で観ておもしろそうだなと感じていて、日経新聞の映画評では名著「批評の教室」の著者北村紗衣が5つ星をつけている高評価だ。不作だった先週の公開作から豊作の今週と一転したが真っ先に突入する。

93歳のおばあさんテルマ(ジューン・スキッブ)はひとり暮らしで高齢にしてパソコンを操る。無職の孫ダニエル(フレッド・ヘッキンジャー)が時おり様子を見にきていた。ある日、テルマが携帯電話に出るとダニエルが犯罪を犯して刑務所に入ったとの連絡がある。あわてて娘や孫に電話してもすぐ出ない。続けざまに弁護士から保釈に1万$かかると言われてテルマは郵便局に向かい手続きをして送金する。

特殊詐欺に引っかかったと気がつくのが遅かった。怒ったテルマは老人施設で暮らす友人ベン(リチャード・ラウンドトゥリー)のところへ飛び込み一緒にスクーターで犯人探しをする。

出来過ぎのストーリーでも監督の祖母の実話に基づくので驚く。

「ミッションインポッシブル」トムクルーズのパフォーマンスを真似て、老人ホームから無理やりスクーターで犯人探しに向かう。設定が強引すぎて、なんだこのババアは自分勝手なおばあさんだなあと思うけど、まあ仕方ない。出来のわるい孫や娘夫婦が懸命におばあちゃんの行く先を追いかけるのも笑いを誘う。アップテンポの展開でムダがない。上映時間も適切だ

テルマは老友のほとんどが鬼籍に入ったと嘆く。それでも何人かは生き残っている。旧友のおばあさん宅に行くと犯人を脅すためのピストルをゲットする。そのままスクーターで老友と同乗して探しに向かってもクルマにスクーターをぶち壊されてしまう。途方に暮れてもまだ子どもや孫に頼らずに懸命に探す。「果たしてどうなるのか?」てなところで、別の旧友に助けられるのだ。都合の良い設定だけどまあいいか。

⒈非通知電話の詐欺

テルマが引っかかった電話は非通知だった。出たら息子だと言って、刑務所に入ったので弁護士に代わるというよくあるオレオレ詐欺の手口だ。今の日本でこの手口は古典的すぎて引っかからないだろう。中国や韓国では組織ぐるみの特殊詐欺を扱う映画が目立つ。観るとかなり高度な手口だ。この映画の犯罪はむしろ稚拙なぐらいだ。

直近でも自宅の固定電話に非通知電話がかかってくることがある。家人は固定電話の着信は絶対に出ない。もちろん留守電にしていて、本当に用があればそちらに要件が入っている。一時は海外発信の電話が妙に多かったけど、今は着信拒否。0120も出ない。本当に困ったものだ。それに加えての証券口座の乗っ取りだ。複数認証は必須である。もともとのメールアドレスは詐欺メールだらけになったので引き上げた。

⒉リチャード・ラウンドトゥリー

1971年のブラックムービー流行のきっかけ「黒いジャガー」は続編まで3作製作された。その後リチャード・ラウンドトゥリーはパッとしない時代が続いたが、サミュエルLジャクソンによる「黒いジャガー」のリメイクで主人公のおじさん役を演じた。今回は遺作になるそうだ。存在感ある役で人生締めくれて幸せではなかろうか

「黒いジャガー」の主題歌は当時全米ヒットチャート1位になった。ちょうど、自分が全米ヒットチャートをノートに記録するようになった時期で、当時黒人と白人の曲が交互にヒットチャート1位を奪い合う時期でなつかしい。

⒊ジューン・スキッブとひとり倒れるシーン

オレオレ詐欺には引っかかるけどそれ以外はしっかりしたおばあさんだ。93歳にしては足腰はしっかりしている。ネットもokだ。おばあちゃん子の孫とはいいコンビだ。孫役のフレッド・ヘッキンジャー「グラディエーターⅡ」で愚帝カラカラ帝を演じた奴だと終わってから知った。あの時のバカ殿ぶりは怪演だったな。

予告編でこのおばあさんの顔を見て、この人の映画観たっけかな?と思っていた。改めて履歴を見ると、観た作品が多いのに気づく。「アバウトシュミット」ではジャック・ニコルソンの妻役だし、ブルース・ダーン主演のロードムービー「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」ではアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。改めて11年前の自分のブログ記事を見るとコミカルで抜群の演技とジューンスキッブを絶賛している。すっかり忘れていた。

スクーターを壊された後、相棒のビルとケンカして一人歩きしてグッタリと倒れて動けなくなるシーンがある。自分も似たような状態になった覚えがあり、思わず感情移入してしまった。

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映画「スンブ 2人の棋士」イ・ビョンホン&ユ・アイン

2025-06-05 18:13:37 | 韓国映画(2020年以降)

映画「スンブ2人の棋士」をNetflixで観ました。

映画「スンブ 2人の棋士」は、韓国を代表する2人の囲碁棋士の師弟関係を超越したライバル物語である。「スンブ」とは韓国語で「勝負」の意味だそうだ。主演は韓国を代表するトップスターのイ・ビョンホン。Netflixドラマ「イカゲーム」の続編では突如他の貧困者に混じってゲームに参加してきて驚いた。

「スンブ」もNetflixのラインナップに入ってきた新作なのにNetflixオリジナルではない。こんな映画が公開されたかなと考えていると,2021年に撮影を終えた後で弟子を演じるユ・アインが薬物で問題を起こしてこの作品が公開延期になっていたようだ。「バーニング」「国家が破産する時」などで存在感を示してきたユ・アイン「声もなく」で良い演技を見せてくれた。それなのにもったいない。よくオクラ入りしなかったのかと思ってしまう。

韓国囲碁界の実力がかなりレベルアップしている事は聞いている。 曺薫鉉(チョ・フニョン)と李昌鎬(イ・チャンホ)2人の棋士の名前は知らない。それでも韓国囲碁界でトップを張っている2人らしい。将棋や囲碁では衣食住をともにする内弟子制度がある。日経新聞の「私の履歴書」を読んでもそんな棋士たちの師弟関係をよく見る。弟子のレベルが上がった時の複雑さがこの映画では描かれる。

韓国囲碁界のトップに君臨するチョ・フニョン(イ・ビョンホン)が、囲碁の腕自慢の10歳の少年イ・チャンホを町で見かける。特別な才能があると認めた上で、イ・チャンホを内弟子にして指導を始める。イチャンホ(ユ・アイン)は伸び悩む時期もあり、師匠から厳しい叱責を受けていた。やがて、実力をつけて挑戦者を決めるトーナメントで勝ち抜き、師匠と対決するチャンスを得るようになる。

そして壮絶な戦いの末、弟子に軍配があがる。すると、師匠のチョがスランプに陥ってしまうのだ。

勝負の世界を描いた映画はおもしろい。

師弟関係がやがてライバルになる。勝負には私情は無用で、強くなった弟子も容赦ない。いい感じだ。イ・チャンホの年齢からすると、映画のスタートは1985年ごろだろう。時代考証はきちんとしていて服装などが今よりは鈍臭い感じだ。ハングル文字のなかに漢字がかなり目立っている。ソウルオリンピックに向けて韓国が急成長している時期だ。

師匠は攻撃型で、弟子の方が守りが堅固と対照的な打ち方だ。韓国人によくいる怒りっぽい性格の師匠は自分の思い通りに弟子が打たないと機嫌が悪くなり罵倒する。嫌なやつだなと見ていて思う。ところが、弟子が追い抜いていくと、一気に勝てなくなるのだ。スランプに陥って対局を欠席してしまうくらいだ。そんな落胆する姿も見せて人間味があふれる。

当初は対局中もタバコをプカプカ吸い貧乏ゆすりをするイビョンホン演じる師匠を見て、韓国の対局ではタバコOKなんだと見ていて思っていた。ところが、スランプになり、這いあがろうともがく時になって師匠は禁煙するのだ。そして復活する。弟子もタバコ吸わなくなったので良かったのではといい切る。おもしろいもんだと映像に見入る。感動するほどではないが、囲碁を知らなくても楽しめる作品である。

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映画「秋が来るとき」フランソワ・オゾン

2025-05-30 21:20:37 | 映画(フランス映画 )

映画「秋が来るとき」を映画館で観てきました。

映画「秋が来るとき」は、フランスの奇才フランソワオゾン監督の新作である。気がつくと、このブログでフランソワ・オゾン監督の作品を取り上げるのがちょうど10作目になる。新作を発表するときには必ず観ている。前々作「苦い涙」は自分には合わなかったが、前作「私がやりました」は面白かった。さて、今度はどうなるのであろう?

老人女性のストーリーだと言うのは映画のポスターで見てわかっていた。ここのところ老人映画が続いているけれども、他ならぬフランソワ・オゾン監督の作品だけに早めに映画館に向かう。

フランスのブルゴーニュに1人で住む祖母ミシェル(エレーヌ・バンサン)の元に娘ヴァレリー(リュディビーヌ・サニエ)と孫ルカが秋の休暇で遊びに来る。ミシェルは近所に住む親友マリー=クロードと一緒にキノコ狩りに行き、食事を用意する。娘は電話をしまくって落ち着かないので、孫と一緒に森の中に散策に向かう。

ところが、戻ってくると自宅に救急車が来ていた。ヴァレリーがキノコ料理で食中毒を起こしたようだ。大事に至らなかったが、怒って娘はパリに戻って行き孫には会わせないといい祖母は悲しむ。

親友のマリークロードには刑務所から出所したばかりの息子のヴァンサンがいた。ミシェルの庭の手入れや雑用をこなしていたが、ヴァレリーがミシェルにつれないのを気にしていた。ミシェルのもとにヴァレリーと離婚調停中の夫から電話があり、ヴァレリーがアパルトマンの部屋から転落して亡くなったという連絡が入るのだ。結局、孫は祖母のもとに行くことになるのだ。

老人映画というよりミステリー仕立てのフランソワ・オゾンらしい快作だ。

ワインで有名なブルゴーニュの樹木は黄色く色づく。いかにも秋らしい背景は印象派の絵画を見るように美しい。主人公ミシェルは80歳なのに自ら車のハンドルを握り、家庭菜園を楽しむ。秋の気配が感じられる森の中で老女たちがきのこ狩りをするのどかな映画のように最初は進んでいく。ところが、主人公の娘と孫が遊びにくると動きが変わってくる。娘を演じるのはリュディビーヌ・サニエだ。

「スイミングプール」ボリュームたっぷりのヌードを披露したリュディビーヌ・サニエの若き裸体は今でも脳裏に残る。ここではそのリュディビーヌ・サニエ演じる主人公の娘ヴァレリーはキツイ性格だ。夫とは離婚に向かって進んでいる。金銭的にも不自由して母親に金の無尽をしているのに偉そうだ。ただでさえ良くない母娘の関係は毒キノコを食べて最悪。そんな展開で進んだあとヴァレリーが死んでしまうのだ。なんと、主人公の親友の息子ヴァンサンがからんでいる。

作品情報だけでは映画の主旨がわからず、老人の痴呆とかに焦点が当てられるのかと思ったら、違う。いかにもフランソワオゾンらしい捻り技でミステリータッチと現実離れした世界を織り込ませてストーリーは進んでいく。祖母ミシェルと親友マリー=クロードの秘密がしつこく根底に流れていく。

⒈ブルゴーニュの美しい背景と簡潔な展開

印象派の絵画のように美しい背景はあくまで脇役で、複雑な人間関係とそれぞれの心理状態をクローズアップする。やさしいフランス語のセリフなので、自分の耳になじむ。長回しでダラダラする場面はなく、適度なカット割りで進んでいくのでスピード感すら感じられる。無四球試合が多いピッチャーが投げるコントロールの良い投球フランソワ・オゾン監督が巧みに組み立てている印象だ。

⒉ミステリー仕立てとファンタジー

リュディビーヌ・サニエ演じる娘のヴァレリーが亡くなってしまうのが転換点だ。主人公ミシェルの親友マリー=クロードの息子ヴァンサン刑務所から出たばかりで仕事もないだろうからとミシェルが面倒をみてあげている。そのヴァンサンが「母親と仲良くしろよ」とパリに住むヴァレリーのアパルトマンの部屋に行くシーンがある。そのあとブルゴーニュのミシェルに亡くなったことが伝わる。事件は争った気配もなく転落事故で警察はいったん処理する。

ヴァンサンがヴァレリーの家で言い争いをしたことまでは途中でわかる。でも、この事件の真相にはたして母親ミシェルが絡んでいるのか?しかも、ヴァンサンはミシェルの援助で街でバーをオープンさせている。クリントイーストウッド「陪審員2番」と同じできわどい存在のヴァンサンに追手が来るのか?がポイントになる。加えてヴァレリーが亡霊となって現れるファンタジーの色彩もある。どうやって映画の結末につなげるのか?見どころは多い。

老人映画のようになっているセールス手法はどうなのかな?フランスの巨匠による上質のサスペンスだと告知した方がいいと思うけど。余韻が残るし、何もかも明らかにしないで観客に想像させて解釈を楽しませる映画だと思う。これまでよりも奥が深い

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映画「うぉっしゅ」研ナオコ

2025-05-28 18:17:30 | 映画(日本 2019年以降主演女性)

映画「うぉっしゅ」を映画館で観てきました。

映画『うぉっしゅ』研ナオコが認知症の老人を演じてソープ嬢の孫が介護するドラマ仕立ての映画だ。永六輔の孫である岡﨑育之介監督によるオリジナル脚本だ。我々が学生の頃、研ナオコは毎日のようにテレビに出ていた。桑田佳祐が作曲したヒット曲「夏をあきらめて」は今でもカラオケで歌うこともある。その他にも田原俊彦とのデュエットや中島みゆきの歌など全盛時の勢いは凄まじかった。どうやらまだ健在のようだ。新作が出るのを知った時、行く気になっていなかったが,認知症の寺尾聡の姿を見た後で思わず見たくなってしまう。

ソープ店で働く主人公・加那(中尾有伽)に母親から緊急手術で入院をしてしまうので、1週間祖母の面倒を見てほしいと突如連絡がある。認知症を患う祖母・紀江(研ナオコ)の家に向かい、昼間介護をして夜ソープランドで仕事する1週間を追いかける。

 祖母は 認知症が進み、毎朝会うたびに加那のことを「初対面」として接してくる。最初は手まどい,介護を放り投げようとしたが、やがて本心を打ち明けられるようになる。加那は祖母の知らなかった人生に触れ親しみをおぼえる。

映画としては普通、研ナオコの健在を確認する作品

研ナオコ以外は見たことはあるが名前は知らない無名の俳優ばかりである。いかにも低予算であったのは明白だ。クラウドファンディングで製作費を募ってようやく完成した自主映画らしい。

研ナオコはこの映画への出演オファーを受けた際、低予算であることを承知の上で快諾。さらに、自身のギャラの10倍もの金額をクラウドファンディングに寄付し、製作を支援したようだ。研ナオコ自ら「お金を払って出演した」と語っている。大したものだ。寺尾聰の映画同様認知症を扱っても暗くはない映像になっている。

⒈研ナオコと孫

最初は介護に疲れてヘルパーを雇うソープ嬢の加那は思い直して祖母の家に戻ってくる。すると研ナオココッテリと化粧をさせる。すっぴんから変貌すると研ナオコの顔だ。髪の毛もピンクに染める。思い切って車椅子で外にでて自由奔放に走り回るシーンがいい感じだ。昔の写真を見ると、ジャズクラブBirdlandでサックスを吹いている写真が残っている。もともとのサックスプレーヤーだった杵柄でサックスを吹く場面がある。研ナオコは映画出演を楽しんでノッテいる。

⒉ソープランドと現代のソープ嬢

恥ずかしながら、最近ソープには行っていない。ずいぶんと色合いがカラフルできれいな部屋になっている。もともとソープランドは建て替えがなかなかできない古い建物が多い。ここまで室内きれいなのかな?せっかくソープ嬢の設定なのに裸体がまったく拝めないのは残念。

主人公のソープ嬢は親には不動産屋に勤めていると言っている。なので宅建の勉強をしているようだ。金遣いは荒く、家事ができないので週3回家政婦を雇っている。「何をやっているの?」と祖母に言われて、孫は「夢を見せてあげるサービス業をしている。」と答えている。

同僚の2人のソープ嬢とつるむシーンが多い。1人はホストに入れあげて借金を作っている。きわどい借金で怪しい筋に追われる。もう1人は地道に貯金をしている。なんで京都から東京に出てきたんだろうと言っている。

加那は隣の幼なじみが結婚した姿を見てしょげた顔をする。これが現代のソープ嬢模様なんだろうか?

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映画「父と僕の終わらない歌」寺尾聰

2025-05-24 17:47:03 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)

映画「父と僕の終わらない歌」を映画館で観てきました。

映画「父と僕の終わらない歌」は、寺尾聰が認知症の老ミュージシャンを演じる小泉徳宏監督の新作。親の面倒をみる息子を松坂桃李が演じる。予告編でいかにも寺尾聰らしいボーカルが聞けて、認知症を描く映画にしてはノリが良さそうだ

今の若い人は、寺尾 聰「ルビーの指輪」の記録的大ヒットは知らないだろう。自分の高校の部活仲間が、大ヒットする前に寺尾 聰のシングルをピックアップして教えてくれた。残念ながら60歳を手前にして亡くなってしまった。その友人を思い,彼の代わりのつもりで早々映画を観に行く。意外に年齢層の高いおばさんが目立つ。

横須賀で楽器店を営む父間宮(寺尾聡)は妻(松坂慶子)と暮らしている。かつてレコードデビュー寸前まで行った父は地元商店街のイベントで歌声を披露している人気者だ。商店街の若い仲間が結婚するにあたり、東京でイラストレーターをしている息子(松坂桃李)が戻ってきた。ところが、運転しているのに、帰りの道がわからないと言う父親の様子がおかしい。医者(佐藤浩市)に行って診てもらうとアルツハイマー型認知症のようだ。息子はしばらく横須賀で過ごすことになる。

地元のステージで歌うために練習している認知症の父親を、息子がインスタグラムに歌う親父の姿をアップするとバカ受けする。テレビに出演したり,レコード会社からも注目を浴びたのに、本人が行方不明になったり急に様子がおかしくなる。

寺尾聰がまさに適役でノリノリで楽しく見れる映画だった

ビールのCMで有名な「Volare」寺尾聰自らがアレンジして歌う曲が抜群に良いヤシの木が立ち並ぶ道路をぶっ飛ばすシーンは最高だ。認知症の老人を描く映画は多い。その中でも抜群の明るさだ。

横須賀でもどぶ板通りなどのロケ地選びに成功して、お店や部屋などの美術も雰囲気良くしている。登場人物が営む「アルフレッド」は、どぶ板通り商店街に実在するダイナーである。寺尾聰が息子とアメ車のライトバンを走らせる椰子の木が立ち並ぶ馬堀海岸も雰囲気がいい。そのバックに寺尾聰の曲が流れれば明るい気分になれる。

横須賀が舞台の映画といえば「豚と軍艦」が飛び抜けていた。あえてモノクロの映画で同じ場所でも逆に暗いムードもある。まだ小学生の頃、父と久里浜に車で釣りに行った。横浜を抜けて横須賀の街に入ると、道路沿いに英語の文字の大きな看板がある店が並んでいた。突然異国のような雰囲気になっていた。映画を観る限りではそのムードは薄らいでいるのかもしれない。それでも横須賀をロケ地に選んだのは大正解だ。

⒈寺尾聰

こんな音楽好きの不良親父を演じられるのは他にいない。しかもノっている。寺尾聰は70を大きく過ぎて父親宇野重吉に似てきたのかもしれない。宇野重吉が癌に侵されている晩年に気を張っていろんな作品に登場した覚えがある。寺尾聰は先日見た「金子差入店」にも出演していた。多作になったのは親父の影響かな。主演作で好きなのは「雨やどり」だ。これは本当に良かった。剣が絡む時代劇なのにこの映画のもつ居心地の良さはなんとも言えない。

ノリノリの親父が突如訳のわからないことを言い出す。レコード会社にInstagramのコンテンツを認められて良い方向に向かうと急に脱線する。認知症が治るわけではない。家の物置の物を投げつけたり奇妙な動きもする。ボケの演技ができるのもさすがベテランの味だ。

寺尾聰の歌をカラオケのオハコにしている人は意外にいる。「ルビーの指輪」だけでなく、この映画と同じようなテイストを持つ「HABANA EXPRESS」の歌もよく聴く。不良オヤジを自認している連中だ。

高校の時の部活仲間とは大学はお互いライバル校に行ったが、よくお互いの家に遊びに行っていた。レコードプレーヤーで寺尾聰の歌を聴いた。これいいんだよと薦めていて、しばらくして「ルビーの指輪」が空前の大ヒットをした。晩年がんに冒されて余命少ない時にそのプレイヤーを聴いた部屋で2人であった。キツそうだった。その時の想い出が脳裏に浮かぶ。

⒉松坂慶子

太ったなあという印象。初めて松坂慶子を見たのは、末期の大映でデビューした当時の岡崎友紀主演TV「おくさまは18歳」であった。当時の小学生はみんな見ていた。一世を風靡した「愛の水中花」バニー姿の頃は本当に美しかった。その昔お世話になったおじさんたちは多いだろう。「蒲田行進曲」などの深作欣二作品でも活躍したし、「男はつらいよ」でもその美貌を披露した。今回はわざと太って肝っ玉母さん振りを見せようとしたのか?同一人物には見えない。 70歳を越え、自分の立場を踏まえた登場の仕方である。

⒊三宅裕司&石倉三郎

三宅裕司は以前に比べるとテレビで見る機会は減った。約20年前に池袋の劇場スーパーエキセントリックシアターを見に行ったことがある。当時TVのギャラを舞台に注ぎ込んでいると言われていた。あの舞台はもともと喜劇役者を目指していた彼にとっての生きがいのようだ。

石倉三郎は京都祇園のラウンジで一緒になったことがある。撮影の後、静かに飲んでる雰囲気だった。萩原健一主演のTV「課長サンの厄年」が好きで,思い切って「あの時の石倉さんが大好きです」と声をかけたら、相手にしてくれてうれしかった

そんな2人が、寺尾聰の友人役で出てくれるとうれしい。映画の中では友人にすぎず存在感が強いわけではないが、2人がいるだけでうれしい。

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映画「金子差入店」丸山隆平&真木よう子

2025-05-22 18:55:45 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)

映画「金子差入店」を映画館で観てきました。

映画「金子差入店」拘置所の横で収容者のための差入品を販売する店の店主家族を描く古川豪監督の作品。今までの人生、運よく拘置所に絡んだことがなく、差入店があること自体初めて知った。拘置所の中と外をつなぐ重要な存在である。刑務所と拘置所の違いは、裁判で有罪が確定した受刑者がいるのが刑務所で、逮捕後判決がなされる前拘置所である。この映画では東京小菅の拘置所のそばに差入店がある設定だ。実際に店があるらしい。

丸山隆平主演で助監督としてのキャリアを積んできた古川豪監督の下、真木よう子、寺尾聰、名取裕子、岸谷五朗のベテランに加えて、直近では主役が多い北村匠海と主演級の俳優が脇を固める。かなり豪華な俳優陣だ。週末主演作がある寺尾聰をはじめとしてよく出たなと思うようなラインナップを集めれたのはすごい。主役の丸山隆平はこれまであまり知らない俳優だったが、健闘している。

東京拘置所の近くで、金子真司(丸山隆平)は妻の美和子(真木よう子)と差入店を営んでいる。伯父の星田(寺尾聡)から引き継いだ住居兼店舗で、引退した星田と10歳になる息子の和真と一緒に暮らしていた。真司には実母(名取裕子)がいて、時おりカネの無尽に真司が不在時に妻にたかりに来ていた。

ある日、和真の幼馴染の花梨が何の関係もない男に殺害される。一家が花梨の死から立ち直れないでいた時、犯人小島(北村匠海)の母親(根岸季衣)から差入の代行と手紙の代読を依頼される。金子は仕事を淡々とこなそうとするが、狂気じみた小島の応対に感情を激しく揺さぶられる。

そんな時息子の和真が学校でいじめられていることがわかる。事件に関係ないのに殺人犯とされている。実は真司は暴行で拘置所に入所していたことがあったのだ。

予想よりもよくできた作品で、興味深く観れた

差入店の仕事は収容者への差入品を販売するだけでなく多岐にわたる。衣類などの私物の差し入れや面会も代行している。それなので、極悪犯罪人にも身内から依頼されて代理で会うのだ。

今回は人気絶頂の北村匠海極悪殺人犯である。主人公金子に10歳の息子がいて、その同級生の女の子が残虐に殺される中での依頼だ。これはしんどい。それで一つのドラマができる。今回は北村匠海がいかにも変態ぽい殺人犯の形相で登場する。朝NHKのTV小説あんぱんでの良い人ぶりとは正反対だ。

⒈久々観た名取裕子

主人公金子には母親(名取裕子)がいて男好きで若い男に貢いでいる。その貢ぐためのお金を息子のところに無尽に来ている。対応する息子の妻(真木よう子)が封筒にカネを夫に内緒で渡している。名取裕子に若き日の面影がなくなったわけではない。すっかり貫禄がついた。タバコをぷかぷか吸って声もドスがきいたド派手な服装の水商売の姐さんのような声だ。ボロいアパートに1人住んでいる。

名取裕子は社長夫人のような役柄も十分できる感じがするが、しばらく観ていなかった。健在だということで再度の登場を期待する。

⒉真木よう子

「さよなら渓谷」以来好きな俳優である。前の主演作「アンダーカレント」も好きだ。この映画を観てみたいと思わせるのも、真木よう子が出ているからだ。

最初に拘置所の面会室で、収容されている男と真木よう子が面談する場面がある。男が異様に憤慨して暴れている。それなのに、しばらくすると金子差入店の妻に収まっている。これってどういうこと?と思わせる。時間がたって金子夫婦の素性がわかっていく。拘置所に入っても夫と離婚せず、叔父(寺尾聰)の面倒もみて差入屋もしっかり守る。夫がツラいときも支える。今回の真木よう子の奥さんぶりは好意的に受け止めたい。

息子の子どもの同級生が殺された事件とはまったく関係ないのに、近所の主婦たちからあなたに来られると迷惑だと訳の分からないことを言われる。何それ?意味不明。しかも、息子が殺人犯だといじめられて父親の金子が学校に乗り込む場面まである。何でいじめられるかよくわからない。差入店は大変なんだといいたいのであろうか?

⒊岸谷五朗と高校生

金子が差し入れの仕事で拘置所の面会受付に行くと、毎日のように拘置所を訪れる女子高生と出会う。自分の母親を殺した男(岸谷五朗)との面会を強く求めていたのだ。男は拒否するので、毎回門前払いだ。女子高生はショックで言葉を話せない。何だと思っていたが、母親が娘に売春を強要させていたことが、金子の知り合いの弁護士から聞いてわかる。岸谷五郎はヤクザで勤めを終えて出所したら元の組が亡くなっていたと設定だ。そこでドラマが生まれる。

ヤクザが居場所がなくなるのは最近多い設定である。そこに人情モノの要素を加えてラストに向けて高校生も含めた物語をつくる。こんな話で最後に進む。出来過ぎの設定でも岸谷五朗の世捨て人ぶりは割と適役に見えた。

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映画「ミッションインポッシブル ファイナル・レコニング」 トム・クルーズ

2025-05-20 20:06:46 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)

映画「ミッションインポッシブル ファイナルレコニング」を映画館で観てきました。

映画「ミッションインポッシブル  ファイナル・レコニング」はおなじみトムクルーズの十八番のシリーズ第8作目。監督は前作に引き続きクリストファー・マッカリーである。先行公開で土日からスタートだが、混雑を予想して月曜日に向かう。似たようなことを考える人もいて、まあまあ観客はいる。169分の長丁場なので身体をゆったりして観たかった。

予告編ではさんざん観てきたし、トムクルーズがプロモーションのため来日した時都庁に行ったTV放映も見ているので違和感なく入っていける。いきなりトムクルーズの日本人向けの挨拶でスタートする。「よー!千両役者」と声をかけたくなる気分にさせる。「これはシリーズの集大成」だそうだ。映画がスタートしていくつかのシーンの後、テーマ曲の音色が聴こえると興奮してしまう。トップガンデンジャラスゾーンと同じだ。少年の頃TV「スパイ大作戦」のテーマで興奮した。テープが消滅するのも同じだ。それからシリーズの名場面のいくつかが続いていくのも懐かしさを蘇らせる。

ただ、作品情報は書けない。ディテールは前回に引き続きよくわからない。

AIが各国のネットワークに入り込み世界の破壊を目論んでいるのに対して、大統領の指令が届いてイーサンハントが阻止するということがわかっても、それぞれのセリフが理解できない。というよりセリフを理解すること自体あきらめるトムクルーズのアクションを観に来ているわけで、ひたすら派手なアクションを堪能するだけだ。吹替版を見る人は日本語を聞くだけでわかるのかなあ?

62歳のトムクルーズは本当にすごい!

来日するたびにいつもにこやかに満面の笑みを浮かべる。選挙で議員立候補者も確かに同じだ。でもそんな議員連中より桁違いの金持ちになったトムクルーズが、普通じゃやらないアクションシーンに常に挑戦する。スタント不要なのも呆れる。今回は難易度が高い!潜水とグライダー上でのアクションがいちばんの見どころだ。これって危険を通り越している。後半にアクションの肝が連続して興奮を高める。

潜水艦の中を水中の魚雷を避けつつ彷徨い続けるのにはドキドキする。長時間水の中にいて最終的には潜水服を水中で脱ぐ。さすがに水中のシーンは北極付近での撮影でないと思うが、それでも海中の温度差に耐えられるのか。海上に上がるシーンには出来過ぎの部分があってもそんなことはどうでも良い。

グライダーが川の上を飛ぶシーンは予告編で観ていたが、大画面に映える。自分は映画館原理主義者ではないけど、これは映画館でゆったり観てほしい。グライダーにぶら下がるのは想像以上に危険な立ち回りだ。飛行機が落ちたらどうなるんだろう。以前、飛んでいく飛行機につかまるすごいシーンがあった。情報では、一発でなくいくつもテイクをとったらしい。まさかこのグライダーシーンも何度も撮ったのかな。強烈な風圧によく耐えられるな。

アラスカに近いベーリング海上とアフリカコンゴが主要な舞台で、南北両極端だ。いきなりロンドンの時計台のそばで得意のトムクルーズ走りを見せてくれる。黒人女性のアメリカ大統領が出てきても、主要シーンはアメリカで撮っていないのかもしれない。ラストもロンドンだ。

いつもおなじみの相棒サイモンペッグやウィングレイムスに加えて、前作からの女性ヘイリーアトウェルや日本の佐藤江梨子にそっくりのアジアの血が入ったフランス人ポム・クレメンティエフが加わる。かっこいい!いずれも引き立て役だが、いくらトムクルーズが不死身で万能でも1人では任務は履行できない。良いチームだと思う。

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映画「愛を乞うひと」原田美枝子

2025-05-19 18:02:27 | 映画(日本 1989年以降)

映画「愛を乞うひと」下田治美の原作を平山秀幸監督原田美枝子主演で映画化した1998年の作品である。

その年の日本アカデミー賞をはじめとした映画賞を独占して、キネマ旬報ベスト10でも北野武監督「HANABI」に引き続き2位である。なぜか長い間レンタルビデオ店になかった。名画座の上映チャンスもなく、そんな有名な作品をこれまで観るチャンスがなかった。今回Amazon primaのラインナップをみつけて早速見た。ともかく原田美枝子の熱演に圧倒される。

早くに夫を亡くし、娘の深草(野波麻帆)とふたり暮らしの山岡照恵(原田美枝子)は亡くなった父陳文雄(中井貴一)の遺骨を探していた。彼女の異父弟が詐欺で捕まった知らせが届き弟と再会し、少女の頃の生活を思い起こす。

文雄の死後、孤児施設に預けられていた照恵を母・豊子(原田美枝子/2役)が迎えにくる。照恵は新しい父・中島武人(モロ師岡)と弟・武則とバラックの家で同居する。やがて中島と別れた豊子は、子供を連れて“引揚者定着所” に住む和知三郎(國村隼)の部屋へ転がり込む。和知は傷痍軍人となって街角でお貰いを受けていた。

この頃から気の荒い豊子の照恵に対する態度が狂乱的にひどくなってゆく。ちょっとしたことでも怒って殴り、叩くようになる。顔にケガの痕が残ってしまう。中学を卒業した照恵は就職したが給料は全て豊子に取り上げられる。それが続き思いつめた照恵は家を飛び出す。豊子に追いかけられるが弟がかばう。照恵は娘と父の故郷である台湾で遺骨を探しに伯父を訪ねる。

社会の底辺で生きる母娘を強烈な演出で映す。すごい映画だ。

原田美枝子の娘への虐待の演技は半端ではない。というより、何度も叩かれる子役たちは大丈夫だったのかと逆に心配する。ともかく原田美枝子が半狂乱で強烈なのだ。10代の頃「大地の子守歌」という名作で、原田美枝子はヌードを披露して若くして売春婦になった少女を演じた。若き日の野生味あふれる演技にも圧倒されたが、それを上回る凄まじさだ。

⒈原田美枝子と河井青葉

当時39歳だった原田美枝子は清楚で美しい。健気に父親の遺骨を台湾の奥地まで行って探す。ひとたび母親役になると急変だ。鬼の顔でもうとんでもない女だ。映画「あんのこと」でドツボにハマった河合優実が親に売春をやらされていた役を演じて、母親役の河井青葉が娘が言うこときかないと暴力を振るった場面が多々あった。好演だった。河合優実の役柄は這い上がれなかったのに対して、この映画では復活する。少しは救いはある。とは言っても暴力の度合いは原田美枝子が上回る

⒉傷痍軍人

まだこの当時若かった國村隼傷痍軍人のふりをして、お貰いをする義父を演じる。まだ自分が小学生だった昭和40年代半ばまでは、渋谷駅のガード下あたりにアコーディオンを奏でる傷痍軍人がいっぱいいた。戦争でケガして大変な人たちだと気の毒に感じていた。この映画のように悪い連中だと思っていなかった。母親から暴力を振るわれておでこにケガをした主役が、これは使えると傷痍軍人の父が自分の横に並ばせてお貰いするシーンはいたたまれない。

⒊ロケ地のボロ家

孤児院から戻された少女が母親に連れられて行った先は平屋のボロ家だ。外壁が木板の建物が立ち並ぶ長屋は昭和40年代までは見る機会は多かった。今から27年前は全国各地をロケハンすれば出会えたのかもしれない。次に住み移ったのは中廊下で風呂なしの共同トイレのボロアパートだ。これも減ったなあ。平成のヒトケタというのは、まだ昭和や戦後の痕跡をひきづっていたのかもしれない。

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