取り敢えず、おめでとう。
ところで。
この出来事は、日本の縮図。
行き止まりの閉塞感と、回復出来る可能性を見いだせない日本社会の、縮図のような「楽天優勝」である。
なぜなら。
格差の拡大に依る社会的対立が、顕著となった日本の、幾多もの対立の全てが、凝縮しているからだ。
中央と地方。
社会的勝者と社会的敗者。
豊かさと貧しさ。
多数と少数。
「東京電力」という社名の通り、東電の本店(本社とは呼ばないアナクロニスム)は、東京にある。
そして、生産拠点である「原子力発電所」は福島を筆頭に地方にある。
3.11以前も、リスクは地方に押し付けられて、収益は東京に集中していた。
福一事故以後、福島県民および東北を中心に東日本は、人の住む事を許さない土地になりかかっている。
現場では、劣悪な環境の元、放射線防護すらおざなりの状態で、中間搾取の結果信じ難い低賃金で、作業員がまさしく「命を賭して」復旧作業に取り組んでいる。
除染は進まず、除染作業の費用は国に払わせてホッかむり。
被災者達の補償は全く人ごとの様に遅らせて、請求額の百分の一も支払わない。
しかるに東京では、社員は相変わらずの高額所得者であり続け、ボーナスまで支給されている。
事故当時の会長と社長とは、億単位の退職金を懐に、シンガポールとハワイとに豪邸を購入しての、豊かな老後を堪能。
挙げ句に、三年ぶりの黒字を計上。
それが可能なのは、前民主党政権とそれに輪をかけた安倍晋三自民党政権の、手厚い「東電保護」政策のおかげなのだ。
イギリス軍の使用するクラスター爆弾の劣化ウランすら、原料は日本で原発で使った各燃料の再生から供給され、三菱だか三井だかで作られている通り、日本は原発稼働を止める気など、毛頭ない。
英米の核戦争サイクルに、しっかり組み込まれて居るのだから。
そのような、米英戦力に組み込んで頂いて来たのが、戦後連綿と続いた自民党政権である。
彼等は、自分の国と自分の国民の平和と発展には、興味は無かった。
勿論、表向きの経済発展は為されて来たが、あくまで「稼ぎを貢ぐ」為であり、そこに如何に巧妙な搾取の構造が仕組まれているか、国民はツンボ桟敷に置かれたままであった。
その、自民党政権を長年支え続けてきたのが、「常識ある平均的日本人」なのだ。
お上の言う通りに行動し、お上の望む様な人生を歩み、お上の望む社会を作り上げる為に踊らされて来た、良識ある国民なのだ。
NHKと朝日新聞が、聖書であった。
そして、娯楽は民放テレビとも読売新聞や毎日新聞が、与えてくれた。
社会の秩序を乱さず、世界に名だたる「平和で安全」な国を作り上げて来たと、自負している「一億総中流」の国民達。
そんな彼等の、アマルガムが「読売ジャイアンツ」だったのだ。
日本は、民主主義国家である。
氏素性に関わらず、才能と努力次第で、未来は平等に開けている。
と、信じ込んでいた、そんな国民のなかの「安定多数」である自民党政権が、読売巨人軍と表裏一体を為して来たのだ。
川上哲治に始まり、長嶋茂雄、王貞治、原辰徳、高橋由伸、阿部慎之助…。
巨人・大鵬・卵焼き。
社会の多数派が、人生の勝者であり、それが良き日本社会の担い手であり、社会秩序であり、社会の規範であった。
その代表が、読売巨人軍。
敵役は、パリーグの日陰の球団。
全盛期の阪急ブレーブスも、巨人軍の敵では無かった。
巨人軍選手は紳士たれ。
他球団の選手は、スポーツしに「関西弁」で見出しに使われる。
言い換えれば、「中央」=「保守」=「勝者」=「秩序」=「巨人」である。
つまり「依らば大樹の陰」=「金太郎飴」=「社会の奴隷」とも言えるかも知れないのであった。
ヤマト族と出雲族。
大和朝廷と熊襲やアヌイ。
朝廷と夷摘。
譜代と外様。
そして今、日本社会が変わりつつ有る。
巨人と阪神とであれば、敵役にもまだ「立つ瀬」がある。
しかし、社会の格差は日本社会には見られなかった「西欧型身分制度」に近づき、勝者と敗者との間に「越えられない」線が引かれてしまった。
日本の労働者の平均所得は、対外的には相変わらず「大企業」の正規社員の数字が使われるが、いまや労働人口の40%弱は「非正規労働者」という、人件費で賄われない、経費扱いの使い捨て部品扱いにされてしまっている。
日経平均株価など、経団連加盟企業の間の数字に過ぎない。
しかも、機関投資家に操られての。
国の大多数の経済活動を担う中小企業は、続々と倒産し、地場産業は消え失せ、地方都市の駅前はシャッター街と成り果てて久しい。
1%のみが潤い、99%は1%を富み栄えさせる為に生き延びさせられている現状に、国民は気がついて来た。
国民全員の平和と発展とを追求するのが政治であると、皆が信じていたが、実はそうでは無かった。
その現実は、有る者達は諦めと共に受け入れさせられ、今日生き延びる為に死にものぐるいを余儀なくされている。
かたや、規制メディアのカラクリに気づいた有る者達は、積極的に正しい情報を探し、それらを共有し、「国民の敵」に成り果てたお上に何とか対抗し始めている。
そんな中で、巨人軍の神話が陰りつつ有る。
地上波テレビで、巨人戦の視聴率は右肩下がりとなり、全試合中継など今は昔。
猫も杓子も東京に憧れていた時代は過ぎ去り、ご当地やふるさとが脚光を浴びると共に、地方球団が「巨人戦」に頼る事無く経営を安定させて、観客動員数を増やしている。
中日ドラゴンズだけ、常勝監督落合を「客を呼べない」という理由で首にして以来、観客がすっかり落ち込んでしまったが。
これとて、アンチ落合は地元財界(変な言葉)で有って、その財界の意向で球団は落合を首にしてしまった。
ところが、真のプロフェッショナルを首にして、過去の人高木守道なんぞを監督にしたばっかりに、「財界の意向、即市民の意向」では無かった事が、実証されてしまった。
この現象は、中央政界と財界とに国民がそっぽを向き始めた傾向と、流れを同じくするのではなかろうか。
消費税増税を強行し、それがもたらす増収分だけ「法人税減税」だと言うのだから、国民もさすがに目が覚めようと言う物だ。
「企業が業績を上げる事が、景気の回復を呼び、雇用の増加につながり、所得が増加する」と、安倍晋三はほざいている。
逆でしょうが。
雇用が安定し、労働者の所得が増えてこそ、消費が拡大し景気は回復するのだ。
これまでの、小泉改悪以後の経済の流れのなかで、一旦「非正規雇用」の旨味を知った企業が、法人税を引き下げてもらったからと言って、正規社員を増やしたり、社員の給料を引き上げたりするものか。
そうした社会格差の増大の中で、皆が皆「与えられた大樹」の陰に集う様な、盲目的行動は最早取らない。
そっちがその気なら、自分達は自分達で自らの生活を防衛する、という意識が目覚めて当然である。
そうするとネットの普及に依る、権力が隠蔽している事実が、多くの耳目を集める様になって来るし、そのような社会的状況に依って権力者が好き勝手に国民の利益に反する政治を行う事には、批判も高まって来る。
当然、権力側は更なる強硬手段に出て来るというスパイラルが、安倍晋三という極めて特殊な首相の登場で、一段と顕著になって来た。
平和憲法の改悪を明言する。
国防軍創設やら、徴兵制まで真面目に話題にする始末。
そして、日本固有の安定した社会制度の根幹を為す、医療保険の国民皆保険制度や、国家安全保障の根底である食料生産基盤などを崩壊させ、米国に本拠を置く国際資本の自由な蚕食を可能にする『TPP』への積極参加。
そのような、一部為政者と高級官僚、及び財界だけの突出した方向付けに対しての反対を押さえ込む為に「特定秘密保護法」やら「共謀罪」やらを、法案化してしまった。
そこには当然、国土と国民の殆どを被曝させている「原発事故」への国民の反対を、抑え込む配慮が含まれる。
皇族まで引き連れて、IOC総会に望んでの安倍晋三と猪瀬直樹との発言である。
『汚染水は完全にコントロール下にある』
『日本の食品は安全です』
『東京は福島から250キロ離れているので、汚染は心配ない』
『東京都の金庫には、厳禁で4千億円がストックされている』
世界中に公然と嘘をついて、金の力を誇示して、五輪を東京に誘致した。
福島から250キロ離れてるから大丈夫!?
福島の近くは危ない、と表明したも同然。
今なお簡易住宅に避難して、自宅にも帰れず、かといってよそへ移住する可能性も摘み取られている、多くの方々を一体全体どうしたいと言うのか。
「東京五輪で震災は復興する」
馬鹿も休み休み言って欲しい。
4千億円の何倍にも膨れ上がるであろう五輪予算は、ゼネコンを中心に東北とは関係ない一部大企業に総て吸収されてしまう。
それらのプロジェクトの配分と差配とで、シロアリ官僚はタップリと潤おう。
『 お・も・て・な・し 』
自分達の階級だけに通じる、おためごかし。
誰が儲かり、誰が生き残り、誰が虐げられ、誰が打ち捨てられるか。
事態は明白だ。
自民党支配はうんざりだ!
先の選挙での、自民党の比例票の結果は、決して自民党の支持の増加は表していない。
それどころか、選挙ごとに下降線を辿っているのが現実である。
もう、旧来の政治はうんざりだ。
その「旧来の政治」を象徴するのが『自民党』である。
そして、あえて<強引に>結びつければ、巨人戦の視聴率の低下と、軌を一にしているのではなかろうか。
「社会の勝者」「中央」「豊かさ」「秩序」「伝統」「安定多数」等が、自民党政治の現れであり、巨人軍のファン層に被って見えてしまうのだ。
「社会の弱者」「地方」「貧しさ」「混迷」「少数派」を代表するのが、原発立地の地方であり、ご当地球団のファンなのでは無かろうか。
東北楽天ゴールデン・イーグルズは、読売巨人軍を倒して、日本一に輝いた。
多くの被災者の居る東北を本拠地として、僅か結成9年目の伝統など持たない地方球団が、伝統と格式とを誇る常勝球団を倒した。
東電の所有になる福島第一原発の存在する福島県の、直ぐに隣接する「宮城県」で。
近代日本を盗み取ったに等しい「薩長連合」が政治も経済も支配する、東京に対して、「賊軍会津」が一太刀浴びせた。
依らば大樹の陰と並んで、日本人気質の一つである「判官びいき」に訴えない訳が無い。
勝てば官軍と、偽の錦の御旗を揚げた長州に対して、京都御所守護にあたった会津が賊軍の汚名を着せられ、藩は全滅させられた。
乾坤一擲。
こんなドラマがあり得るだろうか。
2009年8月30日以来、悔しくも辛い日々を送って来た我々が、4年2ヶ月ぶりに味わう事が出来た、「勝利感」であった。
だがしかし。
マスコミは楽天勝利一辺倒だが、その陰で戦前回帰の独裁政治を目的とした「特定秘密法案」やら「共謀罪」やらが、やすやすと国会審議を行って可決される、目くらましにされる可能性には、十二分に気をつけよう。
11月3日『NHK日曜討論』で「特定秘密法案」への与野党の意見を聞いていた司会者氏曰く。
「秘密を漏らした公務員の罰則が、最高20年と言う量刑はアメリカの法律に合わせたものでしょうが…」
日本の国内法を定めるにあたって、米国法に合わせるって!?
一体全体何を考えて居るのか!!
というより、安倍晋三は日本をアメリカの世界侵略路線の一環に組み込み、自衛隊(やがて改め国防軍)を米軍の楯として前線に送る為に、戦争を可能とする改憲をやる必要に迫られていて、その為にこそ必要な「日本版NSC法」は大元の米国NSC法に準拠させるのは、当然と言えば極めて当然ではある。
しかし、「皆様のNHK」が全国放送で、与野党各党代表うち揃う席で、米国に準じて法案を作る事を前提でしゃべるのか、って話だ。
以前には、自民党にもそれなりの慎みや畏れがあった。
再三「改憲」を言い出しても、実際に時の首相が先頭に立って推進する事をぶち上げたりはしなかった。
出来なかった。
国民をたばかる法案やら、外交交渉でも、これは公然の秘密でもおおっぴらには口にしない、という暗黙の自制が働いていた。
所が、今の安倍晋三と来たら、心臓に剛毛が生えているかの如き、傍若無人ぶりである。
独りでも多くの国民は、安倍政権の求める方向に気がつき、全力で阻止する行動をとらねばならない。
声を上げる。
周囲に伝える。
共に立ち上がる。
やれる事は、何でもやるべきである。
あの「王者巨人軍」ですら、新興の弱小球団に破れた。
あの巨大な先進国「ローマ帝国」の覇権も、五百年しか続かなかった。
その「パックス・ロマーナ」をもじって「パックス・アメリカーナ」と言われた米国に依る世界の独り占めも、半世紀たって揺るぎ始めた。
永久に続く権力は、存在しない。
ましてや、悪は必ず亡びるものだ。
米国に隷属し、国民を巨大資本の隷属させる自民党政権は、倒さなければならない。
その前哨戦として、今回の楽天優勝は、目出たい。
ただ、王者巨人軍を倒した試合は、福島から遠くない土地で、雨中に行われた事は、忘れてはならない。
仙台クリネックス球場は、屋根付きのドームではない。
選手達も、熱狂的に応援して、その勝利にむせび泣いた地元のファン達も、かなりの時間、雨に濡れたのだ。
しかし。
取り敢えず、仙台の皆さん、おめでとう。
東北の皆さん、おめでとう。
全国の、アンチ巨人の皆さん、良かったね!
これからは、アンチ巨人が「官軍」にならなければ、日本は変わらない。
日本は、救えない。。。
ところで。
この出来事は、日本の縮図。
行き止まりの閉塞感と、回復出来る可能性を見いだせない日本社会の、縮図のような「楽天優勝」である。
なぜなら。
格差の拡大に依る社会的対立が、顕著となった日本の、幾多もの対立の全てが、凝縮しているからだ。
中央と地方。
社会的勝者と社会的敗者。
豊かさと貧しさ。
多数と少数。
「東京電力」という社名の通り、東電の本店(本社とは呼ばないアナクロニスム)は、東京にある。
そして、生産拠点である「原子力発電所」は福島を筆頭に地方にある。
3.11以前も、リスクは地方に押し付けられて、収益は東京に集中していた。
福一事故以後、福島県民および東北を中心に東日本は、人の住む事を許さない土地になりかかっている。
現場では、劣悪な環境の元、放射線防護すらおざなりの状態で、中間搾取の結果信じ難い低賃金で、作業員がまさしく「命を賭して」復旧作業に取り組んでいる。
除染は進まず、除染作業の費用は国に払わせてホッかむり。
被災者達の補償は全く人ごとの様に遅らせて、請求額の百分の一も支払わない。
しかるに東京では、社員は相変わらずの高額所得者であり続け、ボーナスまで支給されている。
事故当時の会長と社長とは、億単位の退職金を懐に、シンガポールとハワイとに豪邸を購入しての、豊かな老後を堪能。
挙げ句に、三年ぶりの黒字を計上。
それが可能なのは、前民主党政権とそれに輪をかけた安倍晋三自民党政権の、手厚い「東電保護」政策のおかげなのだ。
イギリス軍の使用するクラスター爆弾の劣化ウランすら、原料は日本で原発で使った各燃料の再生から供給され、三菱だか三井だかで作られている通り、日本は原発稼働を止める気など、毛頭ない。
英米の核戦争サイクルに、しっかり組み込まれて居るのだから。
そのような、米英戦力に組み込んで頂いて来たのが、戦後連綿と続いた自民党政権である。
彼等は、自分の国と自分の国民の平和と発展には、興味は無かった。
勿論、表向きの経済発展は為されて来たが、あくまで「稼ぎを貢ぐ」為であり、そこに如何に巧妙な搾取の構造が仕組まれているか、国民はツンボ桟敷に置かれたままであった。
その、自民党政権を長年支え続けてきたのが、「常識ある平均的日本人」なのだ。
お上の言う通りに行動し、お上の望む様な人生を歩み、お上の望む社会を作り上げる為に踊らされて来た、良識ある国民なのだ。
NHKと朝日新聞が、聖書であった。
そして、娯楽は民放テレビとも読売新聞や毎日新聞が、与えてくれた。
社会の秩序を乱さず、世界に名だたる「平和で安全」な国を作り上げて来たと、自負している「一億総中流」の国民達。
そんな彼等の、アマルガムが「読売ジャイアンツ」だったのだ。
日本は、民主主義国家である。
氏素性に関わらず、才能と努力次第で、未来は平等に開けている。
と、信じ込んでいた、そんな国民のなかの「安定多数」である自民党政権が、読売巨人軍と表裏一体を為して来たのだ。
川上哲治に始まり、長嶋茂雄、王貞治、原辰徳、高橋由伸、阿部慎之助…。
巨人・大鵬・卵焼き。
社会の多数派が、人生の勝者であり、それが良き日本社会の担い手であり、社会秩序であり、社会の規範であった。
その代表が、読売巨人軍。
敵役は、パリーグの日陰の球団。
全盛期の阪急ブレーブスも、巨人軍の敵では無かった。
巨人軍選手は紳士たれ。
他球団の選手は、スポーツしに「関西弁」で見出しに使われる。
言い換えれば、「中央」=「保守」=「勝者」=「秩序」=「巨人」である。
つまり「依らば大樹の陰」=「金太郎飴」=「社会の奴隷」とも言えるかも知れないのであった。
ヤマト族と出雲族。
大和朝廷と熊襲やアヌイ。
朝廷と夷摘。
譜代と外様。
そして今、日本社会が変わりつつ有る。
巨人と阪神とであれば、敵役にもまだ「立つ瀬」がある。
しかし、社会の格差は日本社会には見られなかった「西欧型身分制度」に近づき、勝者と敗者との間に「越えられない」線が引かれてしまった。
日本の労働者の平均所得は、対外的には相変わらず「大企業」の正規社員の数字が使われるが、いまや労働人口の40%弱は「非正規労働者」という、人件費で賄われない、経費扱いの使い捨て部品扱いにされてしまっている。
日経平均株価など、経団連加盟企業の間の数字に過ぎない。
しかも、機関投資家に操られての。
国の大多数の経済活動を担う中小企業は、続々と倒産し、地場産業は消え失せ、地方都市の駅前はシャッター街と成り果てて久しい。
1%のみが潤い、99%は1%を富み栄えさせる為に生き延びさせられている現状に、国民は気がついて来た。
国民全員の平和と発展とを追求するのが政治であると、皆が信じていたが、実はそうでは無かった。
その現実は、有る者達は諦めと共に受け入れさせられ、今日生き延びる為に死にものぐるいを余儀なくされている。
かたや、規制メディアのカラクリに気づいた有る者達は、積極的に正しい情報を探し、それらを共有し、「国民の敵」に成り果てたお上に何とか対抗し始めている。
そんな中で、巨人軍の神話が陰りつつ有る。
地上波テレビで、巨人戦の視聴率は右肩下がりとなり、全試合中継など今は昔。
猫も杓子も東京に憧れていた時代は過ぎ去り、ご当地やふるさとが脚光を浴びると共に、地方球団が「巨人戦」に頼る事無く経営を安定させて、観客動員数を増やしている。
中日ドラゴンズだけ、常勝監督落合を「客を呼べない」という理由で首にして以来、観客がすっかり落ち込んでしまったが。
これとて、アンチ落合は地元財界(変な言葉)で有って、その財界の意向で球団は落合を首にしてしまった。
ところが、真のプロフェッショナルを首にして、過去の人高木守道なんぞを監督にしたばっかりに、「財界の意向、即市民の意向」では無かった事が、実証されてしまった。
この現象は、中央政界と財界とに国民がそっぽを向き始めた傾向と、流れを同じくするのではなかろうか。
消費税増税を強行し、それがもたらす増収分だけ「法人税減税」だと言うのだから、国民もさすがに目が覚めようと言う物だ。
「企業が業績を上げる事が、景気の回復を呼び、雇用の増加につながり、所得が増加する」と、安倍晋三はほざいている。
逆でしょうが。
雇用が安定し、労働者の所得が増えてこそ、消費が拡大し景気は回復するのだ。
これまでの、小泉改悪以後の経済の流れのなかで、一旦「非正規雇用」の旨味を知った企業が、法人税を引き下げてもらったからと言って、正規社員を増やしたり、社員の給料を引き上げたりするものか。
そうした社会格差の増大の中で、皆が皆「与えられた大樹」の陰に集う様な、盲目的行動は最早取らない。
そっちがその気なら、自分達は自分達で自らの生活を防衛する、という意識が目覚めて当然である。
そうするとネットの普及に依る、権力が隠蔽している事実が、多くの耳目を集める様になって来るし、そのような社会的状況に依って権力者が好き勝手に国民の利益に反する政治を行う事には、批判も高まって来る。
当然、権力側は更なる強硬手段に出て来るというスパイラルが、安倍晋三という極めて特殊な首相の登場で、一段と顕著になって来た。
平和憲法の改悪を明言する。
国防軍創設やら、徴兵制まで真面目に話題にする始末。
そして、日本固有の安定した社会制度の根幹を為す、医療保険の国民皆保険制度や、国家安全保障の根底である食料生産基盤などを崩壊させ、米国に本拠を置く国際資本の自由な蚕食を可能にする『TPP』への積極参加。
そのような、一部為政者と高級官僚、及び財界だけの突出した方向付けに対しての反対を押さえ込む為に「特定秘密保護法」やら「共謀罪」やらを、法案化してしまった。
そこには当然、国土と国民の殆どを被曝させている「原発事故」への国民の反対を、抑え込む配慮が含まれる。
皇族まで引き連れて、IOC総会に望んでの安倍晋三と猪瀬直樹との発言である。
『汚染水は完全にコントロール下にある』
『日本の食品は安全です』
『東京は福島から250キロ離れているので、汚染は心配ない』
『東京都の金庫には、厳禁で4千億円がストックされている』
世界中に公然と嘘をついて、金の力を誇示して、五輪を東京に誘致した。
福島から250キロ離れてるから大丈夫!?
福島の近くは危ない、と表明したも同然。
今なお簡易住宅に避難して、自宅にも帰れず、かといってよそへ移住する可能性も摘み取られている、多くの方々を一体全体どうしたいと言うのか。
「東京五輪で震災は復興する」
馬鹿も休み休み言って欲しい。
4千億円の何倍にも膨れ上がるであろう五輪予算は、ゼネコンを中心に東北とは関係ない一部大企業に総て吸収されてしまう。
それらのプロジェクトの配分と差配とで、シロアリ官僚はタップリと潤おう。
『 お・も・て・な・し 』
自分達の階級だけに通じる、おためごかし。
誰が儲かり、誰が生き残り、誰が虐げられ、誰が打ち捨てられるか。
事態は明白だ。
自民党支配はうんざりだ!
先の選挙での、自民党の比例票の結果は、決して自民党の支持の増加は表していない。
それどころか、選挙ごとに下降線を辿っているのが現実である。
もう、旧来の政治はうんざりだ。
その「旧来の政治」を象徴するのが『自民党』である。
そして、あえて<強引に>結びつければ、巨人戦の視聴率の低下と、軌を一にしているのではなかろうか。
「社会の勝者」「中央」「豊かさ」「秩序」「伝統」「安定多数」等が、自民党政治の現れであり、巨人軍のファン層に被って見えてしまうのだ。
「社会の弱者」「地方」「貧しさ」「混迷」「少数派」を代表するのが、原発立地の地方であり、ご当地球団のファンなのでは無かろうか。
東北楽天ゴールデン・イーグルズは、読売巨人軍を倒して、日本一に輝いた。
多くの被災者の居る東北を本拠地として、僅か結成9年目の伝統など持たない地方球団が、伝統と格式とを誇る常勝球団を倒した。
東電の所有になる福島第一原発の存在する福島県の、直ぐに隣接する「宮城県」で。
近代日本を盗み取ったに等しい「薩長連合」が政治も経済も支配する、東京に対して、「賊軍会津」が一太刀浴びせた。
依らば大樹の陰と並んで、日本人気質の一つである「判官びいき」に訴えない訳が無い。
勝てば官軍と、偽の錦の御旗を揚げた長州に対して、京都御所守護にあたった会津が賊軍の汚名を着せられ、藩は全滅させられた。
乾坤一擲。
こんなドラマがあり得るだろうか。
2009年8月30日以来、悔しくも辛い日々を送って来た我々が、4年2ヶ月ぶりに味わう事が出来た、「勝利感」であった。
だがしかし。
マスコミは楽天勝利一辺倒だが、その陰で戦前回帰の独裁政治を目的とした「特定秘密法案」やら「共謀罪」やらが、やすやすと国会審議を行って可決される、目くらましにされる可能性には、十二分に気をつけよう。
11月3日『NHK日曜討論』で「特定秘密法案」への与野党の意見を聞いていた司会者氏曰く。
「秘密を漏らした公務員の罰則が、最高20年と言う量刑はアメリカの法律に合わせたものでしょうが…」
日本の国内法を定めるにあたって、米国法に合わせるって!?
一体全体何を考えて居るのか!!
というより、安倍晋三は日本をアメリカの世界侵略路線の一環に組み込み、自衛隊(やがて改め国防軍)を米軍の楯として前線に送る為に、戦争を可能とする改憲をやる必要に迫られていて、その為にこそ必要な「日本版NSC法」は大元の米国NSC法に準拠させるのは、当然と言えば極めて当然ではある。
しかし、「皆様のNHK」が全国放送で、与野党各党代表うち揃う席で、米国に準じて法案を作る事を前提でしゃべるのか、って話だ。
以前には、自民党にもそれなりの慎みや畏れがあった。
再三「改憲」を言い出しても、実際に時の首相が先頭に立って推進する事をぶち上げたりはしなかった。
出来なかった。
国民をたばかる法案やら、外交交渉でも、これは公然の秘密でもおおっぴらには口にしない、という暗黙の自制が働いていた。
所が、今の安倍晋三と来たら、心臓に剛毛が生えているかの如き、傍若無人ぶりである。
独りでも多くの国民は、安倍政権の求める方向に気がつき、全力で阻止する行動をとらねばならない。
声を上げる。
周囲に伝える。
共に立ち上がる。
やれる事は、何でもやるべきである。
あの「王者巨人軍」ですら、新興の弱小球団に破れた。
あの巨大な先進国「ローマ帝国」の覇権も、五百年しか続かなかった。
その「パックス・ロマーナ」をもじって「パックス・アメリカーナ」と言われた米国に依る世界の独り占めも、半世紀たって揺るぎ始めた。
永久に続く権力は、存在しない。
ましてや、悪は必ず亡びるものだ。
米国に隷属し、国民を巨大資本の隷属させる自民党政権は、倒さなければならない。
その前哨戦として、今回の楽天優勝は、目出たい。
ただ、王者巨人軍を倒した試合は、福島から遠くない土地で、雨中に行われた事は、忘れてはならない。
仙台クリネックス球場は、屋根付きのドームではない。
選手達も、熱狂的に応援して、その勝利にむせび泣いた地元のファン達も、かなりの時間、雨に濡れたのだ。
しかし。
取り敢えず、仙台の皆さん、おめでとう。
東北の皆さん、おめでとう。
全国の、アンチ巨人の皆さん、良かったね!
これからは、アンチ巨人が「官軍」にならなければ、日本は変わらない。
日本は、救えない。。。