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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

「リーダーたちは、かく語りき」『プロフェッショナル 仕事の流儀』

2007年05月30日 | テレビ
昨日の「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、「リーダーたちは、かく語りき」と題して、これまで登場した管理職の人たちの言葉から、あるべきリーダー・上司の特徴を紹介していました。

その内容は、私にとっては意外なものは一つもありませんでした。私がこれまで本を読んだりして得た知識以外のものはありませんでした。そういう意味では、目新しさのない内容でした。

ただ、じゃあ面白くなかったのか?と問われると、「面白かった」です。

リーダーとして必要な条件を各界のトップの人が語っていたのですが、それはやはり部下との人間関係が話題の焦点になります。

「自分の部下に夢を持たせる。この会社にいたら自分の生活がもっと良くなると思わせるようにすることだ」

「チームの中に問題児がいたとしても、その“問題児”を排除しないこと」

「ある意見(正)に対して、反対の意見(反)をぶつけて刺激を与えると、新しい概念(合)が生まれる。そしてさらに、「反」をぶつけて、新たな「合」を生み出す・・・」

「同じことを何度も言い続けること。人間が行動に移してもらうには、同じことを繰り返し言って、自分の信念を理解してもらうんです」

「正しいことよりも共感してもらえることが大事」

「大事なのは、間違いは誰にでもあるということ。そして間違えたときには、すぐに修正をすることです」

「話すことより聞くことのほうが効果をあげることも多い」

どれも、経営者が書いた自己啓発的な本や、ポップ心理学の本を読めば、書いてあることばかりです。

おそらくこれらのことは、ずっと以前から人々に知られていた、リーダーとして必要な条件なのだと思います。きっと、いつの時代でも、同じことが誰かによって語られていたのでしょう。

しかし、ではなぜそれが今もなおこうして語られ続けているかというと、これらのことがリーダーとしては大事であるにもかかわらず、きっと実践することはひどく難しいからでしょう。

たとえば、大学で経営学や社会科学などを研究している人たちは、上記のようなリーダーとしての条件が、社会を運営していく上で大事であるということを強調しないかもしれない。なぜなら、そこには目新しい知識は無いからです。

「学問」をしていく上で求められることは、そこに「新しい」ことを発見するかどうかです。ある社会学者はかつて、「新しいことを書いていない本は存在してはいけない」と言いました。

そのために、学者たちはつねに「オリジナルな」「新しい」発見を論文に書かなければ評価されません。

それはそれで大事なことなのですが、しかし一般の社会で動いている人たちにとって一番必要なことは、上に挙げたような、誰もが理解しているけれど、しかし実践するのは難しいことを、ちゃんと理解して実行することです。

先日、人はそれぞれの資質から、本を読んで情報を得る人、人間関係から学んで情報を得る人、運動をして情報を得る人、芸術をすることで情報を得る人など、様々な情報取得のタイプがあるということを書きました。

おそらく、「新しい」(目新しい)ことは、本を読むことで私たちはその情報を得ることができます。それに対し、他の情報の得方というのは、文字にすれば目新しくは無いのですが、しかし実践するのがとても困難で、かつ人が生きていく上で実はとても大事なことを得やすいのだと思います。

こう言ったからといって、本・文字によって情報を得ることを否定するわけではありません。ただ、そこに価値を置きすぎては、社会を動かす上で一番大事な知識は何かという問いに対する答えを見誤る危険があるようにも思います。

上に紹介した言葉の一つが表している様に、

どれほど単純に見えようと、「同じことを何度も言い続けること」で初めて人間は動くことができるし、また人間の行動が伴わなければ、その知識は価値が薄いとも言えます。

最近同じことを言っていますが、やはり現在の学校教育は、大学までは極端に本・文字による情報の取得に価値を置き、そこからいきなり社会に出て別のタイプの情報の取得を迫られるというようになっているのです。

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