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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

『Ray/レイ』

2005年05月07日 | 映画・ドラマ
映画『Ray/レイ』(公式サイト)を観ました。

2004年度のアメリカ映画界の賞レースではこの映画でレイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスがほとんどの主演男優賞を独占し、批評家も彼の演技を絶賛したそうです。その賞賛の前には、『アビエイター』のディカプリオも足元に及ばなかったそうです。

ディカプリオの演技に感動した僕としては、果たしてどれほどの演技なのか楽しみでした。

感想を言うと・・・ 演技の上手い下手の専門家の基準は知らないけど、なんの違和感もなく盲目の天才ピアニスト・シンガー・作曲家を演じるのはすごいんだと思います。

ただ、これは個人的な趣味なんでしょうね。それほど圧倒的な感動を覚えたわけではなかった。すべてにソツがなさすぎるのか、見ていてゾクゾクするとかいうことが僕の場合にはなかった。

ある評論家はジェイミー・フォックスの演技を「過去10年のオスカー受賞者と比べても彼がトップ」と言ったそうだし、ぼくがいつもチェックする映画評サイトでもどれも彼は大絶賛されています。だから、よほど僕の感性にフィットしなかったのか、僕の体調が悪かったのか、だと思います。ビデオで見直したら感動するのかもしれない。

映画自体も、ストーリーはとてもありがちな伝記でした。心に闇を抱えた天才が、表面的な成功の影でドラッグに溺れていき、家族や回りの人間を不幸にしていく姿が描かれています。その点も僕はちょっと退屈でした。

むしろ僕にとって印象的だったのは、「人間レイ・チャールズ」よりも、やはり彼の音楽。

レイ・チャールズの音楽を僕は知らなかったけど、その発展過程が面白かった。最初は当時の有名ミュージシャンの模倣としか彼はみなされていなかった。それは彼が「盲目の人間が人に受けるにはそうするしかない」と思い込んでいたからです。その模倣ですら僕にはいい音楽に聴こえたけど、プロデューサーや周りは不満に思う。

しかしあることをきっかけに、彼の音楽に伝統と過激さをミックスした独自のスタイルが生まれていく。わたしたちから見れば“クラシック”なレイ・チャールズも、当時は革命的だったことが分かりやすく描かれていきます。

また、延々とドラッグに溺れながらも次々と名曲を生み出していく姿には驚きます。もちろん名曲をピック・アップして映画に使っているのだろうけど、それでも「どうしてこれだけ傑作が次から次へと出てくるのだろう?」と不思議に思ってきます。

エルトン・ジョンは「大物中の大物には何をやってもうまく行く時期がある」と言い、スティーヴィー・ワンダーとプリンスのことを言っていたけど、レイ・チャールズもまさにそんな「大物中の大物」だったんでしょうね。しかもその“ピーク”を、荒れ放題の私生活の中でも維持し続けた。それはもう彼が自分の才能を使うというより、才能がレイ・チャールズを使っているという感じです。

映画としてはちょっと消化不良に感じたけど、レイ・チャールズの音楽のすごさを教えてくれた点で、私にとって貴重な映画鑑賞でした。


涼風


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