風の谷通信

専業農家からの引退を画策する高齢者。ままならぬ世相を嘆きながらも、政治評論や文化・芸術・民俗などに関心を持っている。

11-076天皇のお言葉

2016-08-09 20:55:30 | この道の先に

風の谷通信No.11-076

既に明らかになっている天皇のご意思「生前退位」が「お言葉」として明らかにされた。

内容は各メディアを通じて周知されているからそれを省くとして、いくつかの感想を記録しておきたい。

①まず、皇族には基本的人権がないのか?という疑問。天皇を筆頭として皇族は、自らに関することでも、政治的発言はできない。苗字がない。戸籍もないのかな?毎日毎日24時間すべてが公的生活であって私的生活がない。これでは民主的な基本的人権が保障されているとは言い難い。

②天皇は、昔からそうであったように、今日でも政権の操り人形である。これはいささか恐れ多い表現ではあるが、昔から世俗権力を握った者は、天皇のみ名を隠れ蓑として利用しながら自らの権勢欲を満たしてきた。天皇は奉り上げられた象徴であり、かろうじて神権を保持していたに過ぎない。長い歴史の中では、宮廷はいまだに藤原氏一族の流れによって支配されている。最近では長州軍閥が天皇を好き放題に操って自らの支配権を確立した。長州軍閥なんて明治維新直前は反乱軍だったのに。いつの間にか錦の御旗を押し立て、反乱貴族を大将に置いて、天皇の名を隠れ蓑にして政治を私し、更には会津と奥州列藩を悪者に仕立てて攻め潰し自らの権威を造った。

③またしても、この機会を自らの都合に合わせて皇室を利用しようという気配が見える。コウムラ副総裁が早速表現した。「この機会に天皇制度というものを、象徴天皇という地位も含めて、再検討したい」、用語の明細は明らかではないが概略こんな事を述べた。この問題を憲法改正にひっかけている表現である。これからまたしても天皇を奉りあげて元首制だのなんだのと、明治憲法への回帰を企むに違いない。

 

この国の天皇制度は(名目上は)万世一系の天皇家を頂いてきた。皇紀2676年というお題目は信じがたいが、いずれにしても長い歴史を持つ。万世一系であったはずがない。素人が観ても皇位継承に皇室交代があったと想像できる。天皇家は『水稲耕作集住民のオサ(長者)であり、水稲耕作・農業全般の技術的指導者であり、殖産興業の指導者であり、神権を背景として支配権を確立した一族』だという風に解釈している。おそらくは大陸ないしは半島から流れて来た勢力であろうと思う。橿原神宮における神武天皇の即位も眉唾ものではあるが、それ自体を否定してケンカするほどのものではない。私は「あゝそうか、結構な話ですなぁ」と受け止めている。まぁ、カミの皇子(ミコ)だという説も「あゝ結構ですなあ」と受け止ている。しかし、アマテラスが女性神であったという学説には疑問を持つし、記紀神話を実話として肯定する気はない。まして記紀神話をこのクニの古代史発祥点とするようなバカ話に付き合うことはできない。

こんなもので記録になるのだろうか?そんなことはもうどうでもよいので、願わくば、何も付け足しなく間引きもなく、今上天皇の生前退位のご希望をかなえてあげてほしいものである。