中古車屋さんの不祥事が話題になっているけど、思ったよりも強燃性らしくて、ただでさえ暑いのに、困ったわねえ。
伯父は中古屋さんというか、修理とか車検とかする町工場やってました。
街道沿いに店を構えて、ひところはOptionだったかな、何かの雑誌に広告載せたこともあります。父の家は農家で兄弟がたくさんいたのですが、その中で伯父は異色というか、ちょっと伊達っこきで奔放な性格だったみたいです。
本田宗一郎っぽいというか。
後年は少し離れたところに広大な土地を借りて、そこに売り物というかジャンクというか、車を大量に並べて商売してました。例えば艶の失せたカエルみたいな色のロータス・ヨーロッパとかがでろ~んと地面に置いてあるのです。
そこへ通りがかった蠅、じゃなかったお兄さんがフル・ブレーキで止まり、シフトチェンジももどかしくアクセル全開でバックしてお店に入って「おおおじさん、あのロータス!いくら?」という物語が始まるのです。
いなかの人はもしかしたらわかってくれるかもしれませんが、車ってなんとなく地面に生えているというか、野菜とか植木とか、そういうようなものって感じがします。
やっぱり植木かな。。いっこずつ見てると、少しずつ枝ぶりがちがうんだけど、買ってからここらへん手入れすればいいかとか、考えながら選ぶ。花がたくさん咲いているのがいいかというと、もしかしたらこの先散る一方かもしれないとか、色々考える。
前の車買うときに訪れたお店も、そんな売り方でした。
レストランを再利用した建物に行くと、若いお兄さんがひとりで留守番してて、じゃあ車みましょうと言って空き地に行く。こんなのがいっぱいいる。
V70試乗できるかなといったら、バッテリーつないでエンジンかけてくれて、5mぐらい前と後ろにうごかして、あ・動くね、という感じでした。
あちこちやれてたりするのですが、指摘すると(納車の時は)直します、という。これはベースで、あとは予算に応じて手を入れていくのです。
最終的にここではなく別の店で買いました。そこはここまで植木じゃなくて、ふつうの外観でしたが、やはりブレーキサーボとか、スイッチが経年でべたべたしているとかありました。納車の時は直ってた。
店主はヨレヨレのボタンダウンシャツに指紋がべたべたついた眼鏡かけてる人で、何しろ良くしゃべった。
関東の中古車店は昔は環八とか16号横浜付近が多かった。それが八王子になり、大宮になり、とだんだん東に移動しているんだそうです。
トヨタは部品注文すると当日~一日で来る。それができるのはトヨタだけで他にはない。この車(北欧)は壊れたりしないが、フランスはだめ。フランスとくっついてる日本のメーカーの、人気ミニバンは電気系がだめ。スライドドアはたいてい壊れている・。云々。
たしか大手商社出身で輸出もしてると言ってたから、ロシア語とかできる人だったなのかもしれない。ヲタっぽいけど、わりと信用できそうな方でした。
前の車をずっと見てくれた工場も、伯父がやっていたような小さなところでした。おじさんは僕と同年配ですが、行くと車の話じゃなくて世間話ばかりずっとしていた。奥さんも一緒になって和やかにお話してました。
車も壊れますが、壊れると面白い、という世界線はあるわけです。
「スーパーの駐車場に止めようとしてハザードつけてたら、スイッチが戻らなくてつけっぱなしになっちゃって(笑)、仕方ないからレシート丸めて隙間につっこんでさ・・」
「部品、まだあるんですね」
(書類指さして)「『平成』ですからね・。。これが『昭和』になるとちょっと探しにくいかもしれないけど。。」
「これ、ボンネット開けるとワイパーアームに当たるんですよ」
「ああ、そうそう!」
「よく見たら、本当は左右部品が違うはずなのに、この車左右とも同じアームがついてるんですよね(一同爆笑)」
とか。
中古屋さんって、そういうノンシャランなところが好きなんですけどね。。
とかいいながら、今は普通の新車ディーラーで車買って、カフェテリアみたいなところでコーヒー飲みながら商談したりしてますが。
まあ、今の営業さんもいい人です。動物好きらしくて。こないだ鳥とかリスの話してた。
たぶん、周りの人には恵まれてるのかしら。。