うさぎくん

小鳥の話、読書、カメラ、音楽、まち歩きなどが中心のブログです。

スティーブ・ジョブズ(本)

2012年04月08日 | 本と雑誌

去年の秋、ジョブズの没後まもなく発売されて話題になった本。上下間合わせると4千円近いし、ジョブズの信奉者では無いので読み始めるのは遅かったが、やはり興味があったので。

Ⅰで生い立ちからアップル設立、最初の成功と転落が描かれている。ここは面白くて、どんどん読み進んでいった。Ⅱは、アップル復帰とiPodはじめとする製品開発の過程、そして病気との闘いの話が続く。90年代から昨年に至るまで、僕らは同じ時代を生きてきているので(もちろんアップル設立の頃から生きてはいたけど)、その過程を振り返ることは興味深くはあるのだが、これから15年、20年たってから読み返したとき、あるいはその頃の若い読者が読んだとき、この後半部分は少し長く書かれすぎて退屈に感じられるかもしれない。

iPod開発からiTunes storeを作るあたり、ソニーとの闘いに触れたところは、別にソニーの側にたっているつもりは無いけれど、ちょっと辛い思いをしながら読んだ。iPodを初めて知ったのはちょうど10年程前、週刊アスキーか何かの記事で、そのときは面白そうだとは思ったけど、その後この世界を席巻するとは全く思いつかなかった。音楽をパソコンで扱うのは、なんだか事務用カッターナイフと下敷きを使って机の上で料理するような感じがして、気持ちが悪かった。

実際にはソニーもPCオーディオに着手していたが及び腰で、2003年頃にはすっかり世界が変わっていた。あの頃、ソニーは結構敵意むき出しでiPod対抗製品を出していたが、どうも相手のペースに乗せられてしまった感じがあった。ハードとソフトを融合させて、音楽界の覇者であったつもりのソニーにはショックだったのだろう。ソニーミュージックとの確執みたいなことは、この本で初めて知った。一方、ソニーのハードのことは、本には余り出てこない。

ジョブズの好きな音楽が、ボブ・ディランやビートルズなどでクラシック音楽ではバロックぐらいだった、という事が、今のiPod-iTunesのつくりに影響しているように思う。ソニーの大賀典雄氏がカラヤンに助言を求め、CDの最長記録時間をベートーベン第9交響曲が収められる74分程度に伸ばした、と言うことを考えると、興味深い。

話がそれた。僕がジョブズに一番興味を持ったのは、その言葉だ。有名なハーバード卒業式でのスピーチをはじめ、引用したくなる言葉が本当にたくさんある。本を読み始めたのは1月頃だが、そのころやったプレゼンで何度か引用させてもらった。他人の人生を生きるなとか、死は人生の決断を助けてくれるとか、stay foolish, stay hungry などは、彼が話してこそ説得力を持つ。そこいらのなんとかコンサルタントが言ってることなんか・・。ましてや、お金が目当てで会社を始めて、成功した人なんか見たことがない、なんて、僕が言ったらすごくかっこわるいです・・。

コメント
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