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文字の向きが変わっていても、活字の場合はすぐに読めるのですが、手書きになっていたりすると極端に読みにくくなります。
記憶されている文字の形のイメージが楷書の活字体のため、そのイメージから離れた手書き文字になると、記憶されているイメージと結びつきにくいからです。
図のaは横書きのカタカナを時計方向に90度回転させたものですが、反転文字ではないので、活字であればすぐ読めるものです。
図bはローマ字を時計反対方向に90度回転したもの、cはカタカナを180度回転したものです。
これらはいずれも、手書きであるためすぐには判読しにくいでしょう。
しかし、aは左の方向から、bは右側の方向から見るイメージで見れば読み取ることが出来ます。
aの場合であれば頭を右のほうに傾け、bの場合であれば頭を左に傾ければ楽に読めますが、アタマを実際に傾けなくても傾けたようなイメージで見れば楽に読み取ることが出来ます。
cの場合は実際にアタマを逆さまにすることが出来ないので、体が反対側兄いったようなイメージで見ることが出来れば、文字内容は楽に見取ること出来ます。
右側は一番上のRという文字と同じものはどれかということを答える問題ですが、それぞれ回転しているので、すぐには判断できません。
それぞれのイメージを頭の中で回転させてみて、上の文字のイメージと一致するかどうかを比べればよいのですが、回転角度がおおきいとイメージの保持が難しくなり、間違えやすくなります。
ところが、イメージを頭の中で回転するのでなく、体のほうが動いて文字の正面にまわったイメージで見ればもとのイメージと一致するかどうかはすぐに分かります。
イメージを回転させるのではなく、自分の体が動いて文字の正面に向かったというイメージを持ってみれば、どれが正しいかは直ちに分かるのです。
江戸時代の寺子屋の支障は教え子と向かい合って個別指導をしたので、たとえば本を読ませる場合でも前から字突き棒で文字を指したのですから、逆さまの文字を読み取れたわけです。
文字は楷書体でなく、草書体が主だったので、読みにくかったでしょうから、向かい合った相手側にいるようなイメージで文字を読み、読む文字を指していたものと思われます。
さらに字を書いて見せる場合も向かい合った位置から、相手の側から見た文字を書いて見せたのですから、自分が相手の側に回ったイメージで手本を書いて見せたもののようです。
自分の側からの見方にばかりこだわらず、相手の側に立ってみた感覚から指導をしていたものと思われます。
相手の側に立ってみるという方法が取り入れられていたことが伺われるのです。
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