60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

見て意味が分かる歌詞

2006-03-25 22:49:53 | 言葉と文字
歌謡曲の歌詞には「何でソンナふうに読むんじゃ」というようなものがあります。歌の場合は声に出すのが前提なので、漢字の読み方をかえるというよりも、言葉に漢字をくっつけて別の意味をも伝えようとしています。「あいつ」というのに男とか彼女をあてたりするのは言い換えに過ぎないのですが、「まじ」などはどの字を当てるかで意味が違ってきます。「かこ」と聞くだけでは傷跡と重ね合わせて理解してもらえるとは限らないので振り漢字をしているのでしょう。耳でつまり、聞いただけでは理解してもらえないニュアンスを、漢字を使って眼で理解してもらおうとしているので、やはり日本語はテレビ型なのだといえそうです。 しかしこれは視覚的なイメージを与えるということではなく、歌詞を読ませようとするものです。日本の歌謡曲が昔からこんなだったかというと、そうでもありません。大体20年ぐらい前からで、耳で聞いていたのでは分からない単語が入るものが出始め、中には片言風の英語がアルファベットのまま出てくるものもあります。歌詞を見なければ突然英語などが挟まれ、なぜそこが英語でなければならないか分からなければ、耳だけでは理解不能です。歌詞を眼で見て、なんとなく意味というかニュアンスが感じ取れるかもしれないというのですから、日本独特ではあります。 歌詞を読んでもらうように作られているということは、レコードを買ってもらうということが前提となったからかもしれません。ラジオとか舞台で聞いてもらうことが前提ならば、歌詞を見ながら聞くとは思いませんから、読まなければ分からない歌詞を作るということはなかったでしょう。あるいは、あとからカラオケなどが出てきて消費者が歌詞を見ながら歌うようになったことも関係しているかもしれません。 漢字のあて読み(振り漢字)という日本独自のスタイルがあったため、歌のように言葉に特別な意味やニュアンスを加えたい分野では都合がよかったのでしょう。英語などでは振り漢字のようなものはないので、言葉に二重の意味を持たせようとするなら特別なレトリックが必要でしょう。日本でも、レトリックを使わないで意味を二重に表記してしまうというのは、普通の言葉の使い方からすれば反則なので、「ナンダこれは」といった反発をまねくこともありますが、便利なので定着する可能性はあります。なんといっても、振り漢字も作者のニュアンスをできるだけ伝えようということなので、積極面は評価すべきなのですから。

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