60歳からの視覚能力

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錯覚が適応能力である可能性

2007-01-07 22:15:15 | 視角能力

 右の図は左の図のうち、四つの部分を除いて他の部分を白くしたものです。
 こうして見ると左の四辺形が、他の三つの四辺形と同じ色だった、ということが分かるのですが、左の図を見たのでは、まさかと信じられないのではないでしょうか。
 左の図で見れば、真ん中の長方形の左の平行四辺形は、他の三つの四辺形より明らかに薄い灰色に見えます。
 実際は右の図のように四つの四辺形は同じ色なのですから、左の図で違うように見えるというのは錯覚なのです。

 錯覚であるとわかってしまえば、錯覚の原因は周囲の色にあるだろうということは、容易に見当がつきます。
 左の四辺形はより濃い灰色に挟まれているので、相対的に薄い灰色に見えているのだろうと推測されます。
 つまり隣接する色と比較してその差を強調して感じているのです。
 錯覚と言えばいかにも人間の視覚が不完全であるように感じますが、隣接している色の濃さの差を強調して感じているのですから、ものの形をハッキリさせる能力だともいえます。
 つまり錯覚と思えたものが実は外界への適応の仕方だったのかもしれないのです。

 ところでこの四つの四辺形は、左の図ではどうしても同じ色に見えないのかといえば、そんなことはありません。
 真ん中の四辺形に注意を向けてしばらく見続けると、隣接する四つの四辺形は同じ色に見えてきます。
 真ん中の四辺形に注意を集中して見ていれば、隣接する四辺形は周辺視野で見ることになり、他の隣接四辺形との比較作業は抑えられます。
 比較といえば真ん中の四辺形との比較が優先するので、この場合は比較対照が同じなので、四つの四辺形は同じ色に見えて来るのです。

 いちど四つの四辺形が同じ色に見えると、真ん中の四辺形を中心に見さえすれば、ジッと見続けなくても、すぐに四つの四辺形は同じ色に見えるようになります。 
 四つの四辺形を一つのまとまりとして構造化してみるようになるためです。
 どのような構造として見るかによって、注意の向け方が変わり、周辺との比較の対象が変わるので見え方が変わるのです。


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