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むずかしい多義語

2006-05-01 23:43:59 | 言葉と文字

 日本語は、同音多義語が多いので、漢字をあてがって意味の違いを示すといわれていますが、漢字で表しきれない場合もあります。
  たとえば「こ****」というような言葉の「こ」を「小」と漢字で表記する場合。「小」という漢字の意味にひきづられると、かえって意味が分からなくなったり、誤解したりします。
 夕焼け小焼けという言葉は誰でも頭に入っていますが、意味が分からない人がほとんどでしょう。
 小さくあるいは少し焼けているというふうに思っている人もいるかもしれませんが、この場合の「こ」は調子を整えているだけで意味はないそうです。
 「こにくらしい」といっても少し憎らしいのではなく、憎らしくて腹が立っています。
 「こぎれいと」か「こざっぱり」にしても、少しということでなく、きちっとしているといったニュアンスです。
 「こざかしい」というのも少し賢いということではなく、マイナスの賢さの意味です。
 小耳に挟むというのは聞こうとしたわけでなく耳に入ったということで、小さな耳とか、少しの言葉とかいうことではありません。
 「こせがれ」といえば、小さなせがれという場合もありますが、「こわっぱ」と同じようにののしり言葉でもあります。
 「小手調べ」は「こて」調べで「小手」はひじからさきの手のことで、小さな手ではありません。

 これらの例は「こ」に「小」という漢字をあててしまったため、かえって分かりにくくなってしまった例です。
 「小躍り」は「雀躍り」と書く場合があり、この方が意味的にはあっているようですが、ほかの場合も全部別の漢字を当てようとしても、ぴたっとくるものがないので「小」で間に合わせているのでしょう。

 多義語というのは日本語だけではなく、漢字にもあります。
 たとえば「子」という漢字は、子供の意味だけでなく、いくつもの意味に使われています。
 孔子や孟子の「子」は先生、「君子、夫子」の場合は男子の敬称です。
 編集者が編集子などと自分をさして言うのは、読書子などというときと同じで「する人」で、遊子は遊ぶ子供ではなく旅をする人です。
 種子の子は種ですが、桃子は桃の実です。
 帽子の「子」は接尾辞で道具などにつけるだけで特に意味があるわけではないそうです。
 椅子、碍子、扇子など子供の意味を探ろうとすると分からなくなります。

 漢字は日本語に比べれば多義語でないものが多いとはいっても、やはり多義語はあるのですから、漢字の意味に迷うということはあります。
 漢字を見れば意味が分かるといっても、かなり学習をしない限り分かるはずはありません。
 たいていの人は意味が分からないまま漢字を読んでいることがあって、そのことに気がつかないでいるのです。
 文字の意味が分からなくても、単語の意味がおおよそ分かれば、そのまま読み書きしているのが普通ではないでしょうか。


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