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ドルードル

2006-09-12 23:03:55 | 視角と判断

 図はロジャー.プライス「ドルードル」にある絵です。
 ドルードルは絵解き遊びで、簡単な図形にひねりをきかした題をつけて楽しむものです。
 どれが正解ということはなく、各人の想像力に任せるのですが、ユーモアがあるとか、意外性があるとかひねりが聞いていた

りすれば説得力があるというものです。
 この絵に対して本の著者がつけたタイトルは「現金輸送車の中からガードマンが見たエッフェル塔」というものです。
 現金輸送車の窓はどんなものか分かりませんが、狭いのぞき窓というのが予想され、背の高いエッフェル塔を中から見れば

、いかにもこんなふうに見えるだろうと思わされます。
 エッフェル塔の鉄骨にしても、現金輸送車の窓にしても実際とは違うでしょうが、縦と横の組み合わせに着目してなるほどと

面白がらせています。
 
 これを、中にある長方形だけに注目して、「うろこ模様から描いた作りかけの鯉のぼり」とすれば、頭と尻尾が描き加えられ

ればそれらしく見えそうな気がします。
 このように部分に注目したタイトルはいろいろ考えられるでしょうが、ひねりというものはないので面白みというものはありま

せん。
 作者のタイトルは、現金輸送車と、エッフェル塔という二つの要素を絡ませているのでひねりが効いていると同時に、全体的

に見ています

 この図を90度回転したのが右の図ですが、こうなると現金輸送車とエッフェル塔というタイトルは思いつきにくく、そのような

タイトルであるといわれても、「はてな」と、納得がいかないでしょう。
 これが作りかけの鯉のぼりというのであれば、縦になろうが横になろうが変わらないので、面白くなくても説得力が急になくな

るということはありません。
 部分だけに注目してそれを抜き出した場合は、状況が変わってもそのものは変化しにくいのです。

 左の図での窓とエッフェル塔というタイトルは、横に細長い窓と縦に長いエッフェル塔とという対比関係に注目したもので、あ

る関係に注目するのでそこにストーリー性が生まれ、面白さが生まれたのです。
 しかし状況に応じて判断しようとすると、状況が変わればそのつど判断を変えねばならないので一貫性が保てず、場当たり

になりがちです。
 ところが部分に注目すると、周りとの関係が無視されるので、ストーリー性が生まれず、面白くはないのですが、状況が変わ

ってもタイトルを変えなくてすみます。
 部分にこだわれば一貫性が保て、普遍性が獲得できるという利点があるのです。
 何がなんでも全体的に見るのがよいということではないのです。


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