左図はフレーザーのねじりひもの錯視というものです。
渦巻状に見えますが実際は同心円です。
線を鉛筆などでたどると、もとの場所に戻るので同心円であることが分かります。
しかし、同心円であるといわれて、もう一度見直しても、やはりうずまき状にみえるでしょう。
ためしに外側から二番目の線をたどってみます。
線がねじれひも状になっているので、線を眼で追うとスリップして隣の線に視線が移ってしまいます。
線を眼で追うとき、ゆっくりと追えばいいのですが、相当集中しないとスリップします。
ふつうは線を眼で追う場合、途中で注視点をツイ線から離してしまうのでスリップしてしまうのですが、注視点が線から外れないようにすれば、元のところに戻ります。
線をたどらないで確かめる方法もあります。
中心点に注意を集中して見続けると外側の線は周辺視野で見えてきます。
このとき視線を動かすと無意識のうちにスリップして、渦巻状に見えてしまいます。眼を動かさずじっと見続けなかればなりません。
もう一つの方法は外側の円をいっぺんに見る方法です。
眼の力を抜いて外側の円をパッと見てそのまま視線を動かさなければ、円が途中切れたように見えるところがありますが、同心円に見えます。
切れて見えるのは、一本のひも状に見える線が、実は両端が三角の白い短線と黒い短線が組み合わさっているものなので、つながって見えない場合があるためです。
右の図のほうは、左の図と似たようなものですが、同心円ではありません。
内側の円ほど中心が上にずれているので、共通の中心というのはありません。
したがって、渦の中心のように見えるところは円の中心ではありません。
この場合も、一番外側の線を眼でたどっていけば一周してもとの所に戻ってくるのですが、ちょっと集中が途切れるとスリップして隣の線に移ってしまいます。
しかし、ゆっくりと眼で追うか、線から注視点を離さないようにして見て行けば、元のところに戻ってくるので、やはり円形だということが分かります。
複雑な図形を見るときは、視線が無意識のうちに動いて形を見極めようとします。
このとき同じような図形のパターンが繰り返されていると、視線がスリップしてしまいます。
そうすれば、外側の線と内側の線がつながって見えるのですから、渦巻きに見えてしまうのです。
心理学では、背景にある図形のパターンによって、脳が誤って解釈するので、渦巻状に見えるという説明がされますが、脳の誤解ではありません。
実際視線が動いてしまうため渦のように見えるのであって、視線が動かなければ内側の線と外側の線が離れて見えるので、渦巻状には見えなくなるのです。
線が離れて見えているのに、「脳が誤った解釈をしてしまう」というような説明は、もっともらしくはあっても、とってつけた説明に過ぎないのです。
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