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奥行き感で視線を動かす

2008-01-27 21:56:01 | 視角と判断

 図のAとBは同じ形の平行四辺形です。
 Aのほうが細長く見えるのですが、同じ形だといわれて注意して見ればそうかもしれないと思うでしょう。
 Aのほうが長く見えるのは、平行四辺形は奥行き感を感じさせるので、図形が縦の方向に伸びているように感じるためです。
 平行四辺形として見えるときは向かい合っている辺が平行に見えますが、このとき二つの図形は同じように見えます。
 ところが長方形の板が並べられているというふうに見ると、上の辺は奥にあるように感じられ、下の辺よりやや長く感じられます。
 そうするとAのほうが細長く見えてくるのです。

 この見え方をハッキリさせたのが下の図です。
 C図とD図はテーブルの形に描かれていますが、天板部分は同じ形の平行四辺形です。(BとC,AとDは同じ)
 CとDは同じ形の平行四辺形だといわれて、よく注意して見てもとても同じ形には見えないのではないでしょうか。
 論より証拠で、実際モノサシをあてがってみれば、それぞれ二組の辺が同じ長さですから、本当は同じ形の平行四辺形であることが確かめられます。

 AとBなら向かい合っている二辺の長さをそれぞれ測り、長辺と短辺がそれぞれ同じだと分って、AとBが同じ形だと頭で分ると共に、目でも同じ形であると見えるようになります。
 ところがCとDでは、頭では同じ形と思っても、目で見るととても同じとは思えないのではないでしょうか。
 視覚的にはどうしても、Dのほうが細長く見えてしまい、Cのほうがズングリしているように見えてしまうのです。
 このとき、注意してみると平行四辺形の上の辺のほうが下の辺より長く見えることに気がつきます。
 上辺と下辺が同じ長さなのに、上辺が奥にあると感じるために長く見えてしまうのです。

 C図やD図をテーブルであると見てしまうと、平行四辺形の上辺は奥にあると思いますが、そうなると目は上辺を見るときは焦点をやや奥にあわせようとします。
 しかし実際の図は奥にあるわけではないので、上辺は実際より長く見えることになります。
 つまり奥にあると思う部分を見るときは、焦点を画面より奥に調節するためその部分が大きく見えるようになるのです。
 このような焦点調節は自動的に行われるので、気がつかないうちにある部分が実際より大きく見えるようになるのです。

 ということは、視線を動かさずに画面上の線を注視すれば特定の部分が実際より大きく見えるということがなくなるということです。
 じっさい、C図の天板部分を視線を動かさずにジッと注視してみます。
 そうするとこの平行四辺形は、最初のズングリした形から、だんだんに細長く見えるようになり、Bと同じ平行四辺形に見えるようになります。
 同じようにDも視線を動かさずに注視し続けると、Aと同じ平行四辺形にみえるようになり、CとDは同じ形だということに視覚的にも納得がいくようになります。
 


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