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乳児の言語理解

2006-09-18 22:29:58 | 視角と判断

 図はイタリアでの実験で、生後5日以内の新生児に母国語を聞かせたときの脳の活動状況を、NIRSで画像化したものだそうです。
 母国語を聞かせたときは左側頭葉がくっきりと活性化しているのに対し、テープを逆回しにして聞かせた場合は弱い活動になっています。
 このことからこの調査では二つの可能性が考えられるとしています。
 第一は新生児が胎内で母国語のイントネーションとかリズムを聞いていて、言葉は分からなくても類似刺激の母国語に反応したのではないかというものです。
 第二は、新生児には人間の言語を受け入れる生得的なものが備わっていて、普通の会話には反応するが、テープの逆回しのように言語としての体をなしていない刺激にはあまり反応しないというものです。

 似たような実験は以前フランスでも行われて、この場合は最初にオランダ語のテープを聞かせ最初は興味を示すのに、なれてきて興味を示さなくなった後、日本語のテープを聞かせると再び興味を示して聞くようになったということです。
 そしてテープを逆向きに再生したときはこのような効果は示さなかったといいます。
 この場合は、母国語でなくても人間の言語には反応しているということなので、乳児は生得的に言語に反応する神経回路を持っていると結論したくなります。

 ところがマーク.ハウザーという生物学者の実験で、南米のタマリンという小型のサルは、人間の乳児と同じ反応をしたというのです。
 このサルは人間の乳児と同じようにオランダ語や日本語には耳を傾けたのにテープの逆回しには反応しなかったというのです。
 そうすると、サルには言語能力はないのですから、乳児の反応も言語に対する反応ではなく別の要因だったのではないかと思われます。

 牛の乳を搾るとき牛に話しかけると良いという話がありますが、音楽を聞かせても良いという話もあり、植物も話しかけたり、音楽を聞かせたら発育が良かったといった例もあります。
 言語というより、音楽も含めて音によるある種の空気の振動が動物や植物に何らかの影響を与えるということかもしれません。
 
 イタリアの実験は他の国の言語を使ったものがないので、母国語を聞いたときの反応は特別なのかどうかは分かりません。
 脳の活動状況を視覚化して示されて、解釈を示されるとそんなものカナと思いますが、サルを使った実験や、牛への話しかけなどの例を知れば、解釈は他にもあるんではないかと考えさせられます。
 テープの逆回しにしても、英語の逆回しはロシア語に似ていたり、日本語の逆回しが中国語に似た感じがしたりするので、その場合はどうなのでしょう。
 普通の朗読を聞かせる場合でも機械を使った音声(ロボット読み)にはどんな反応かといった実験をすれば、言語に反応しているのかどうかハッキリするかもしれません。


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