図は食品総合研究所で行った「りんごの皮むきに伴う脳活動の計測結果」です。
りんごの皮むきをしているときの大脳皮質の活性化パターンを近赤外分光分析法(NIRS)によって調べたものだそうです。
刃物の動きに注意を向けながらりんごを微妙に動かすという複雑な作業で、左脳、右脳の前頭前野が広い範囲にわたって活性化していることが分かります。
この研究はりんごの皮むきのような実際の食生活の行動で、脳がどのように活動しているかを調べたものです。
したがって、この調査の結果によって「りんごの皮むきが脳機能の向上に役立つ」というふうな短絡的な解釈はすべきではないとしています。
ある作業によって、脳の特定の部分が活性化されたといってもどのような機能がどのような因果関係によって活動しているかは分からない上に、活性化したからといって特定の機能が質的に向上したとはいえないからです。
この調査はまともな研究なので、脳を鍛えるためにりんごの皮むきをすべきだなどと乱暴なことは言うべきでないとしているのです。
簡単な計算や音読をしているとき、前頭前野が活性化しているということから、計算や音読をすれば脳が鍛えられると考えられるようになっています。
ところが脳の活動状況を測る方法が普及するにつれ、いろんな作業について脳が活性化することが分かってきています。
そうすると会話をするとか、旅行をするとか、料理をするとかいろんな生活行動が脳を活性化するということが分かりました。
つまり計算や音読のときだけ脳が使われるわけではないのです。
これは考えてみれば当然のことで、脳は何のためにあるかといえば人間が生きていく活動をするためにあるからです。
脳を活性化するために音読をしたり料理をするというのはサカサマの考えです。
英語を使っているとき、中学生と大学生の脳の活動状況を比べた場合、中学生のほうの脳が活性化しているというデータがあります。
未熟なうちは脳をフルに使わなければ作業できないけれども、熟練してくれば自動的に出来る部分が増えるので、エネルギーをあまり使わずにすむということのようです。
そろばん等でも熟達したひとがそろばんを使っているときは脳があまり活性化しないのに、ほとんどやったことのないひとが使うときは広い範囲で活性化するそうです。
、しかし、熟達して楽にそろばんが出来るようになれば、その作業ばかり漫然としていれば脳は楽なことばかりしているので、怠け癖がついてしまいます。
ボケ防止のためには何か新しいことをしたほうがよいのですが、それは外側から見た考えで、自ら考えるときは興味の持てることでないと意味がないでしょう。
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