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部分的な見方と全体的な見方

2006-09-10 22:44:31 | 部分と全体の見方

 左側の図は左上の三角形と同じものが、図形のどこに埋め込まれているかを探す課題です。
 妨害となる腺があって、三角形がそのままの形では見つからないので、すぐには見つかりにくいかもしれません。
 この課題は部分に注意を集中して特定の形を見つける問題で、部分を全体から切り離す能力が必要です。
 幼児や高齢者は大体こういう問題は苦手ですが、なかにはこういう問題が得意な子供がおり、自閉症の子供にもこの種の問題の成績がよいという例があるそうです。
 部分を全体から切り離してみるというのは分析の第一歩なのですが、部分にこだわってしまって全体との関係が分からないという場合もあります。
 
 知能テストなど類似の問題があるのは、分析能力を見ようというのでしょうが、部分しか関心がないために好成績な場合もあるのです。
 子供の中には怪獣とか、自動車とか特定のものに関心が集中してやたらに詳しかったりする例がありますが、頭脳が明晰なのか、特定のものにこだわらずにいられないのか分からないので、喜ぶべきか心配すべきか微妙な問題です。

 幼児がこのての問題が苦手なのは、一般的にはまだ集中力がないからですが、高齢者の場合は集中力の問題もありますが、妨害刺激に弱いからでもあります。
 何かに注意を向けていても、周りからの雑音とか光とかの妨害刺激があると注意が簡単にそらされやすいのです。

 右の図の課題は左の場合とはうってかわって、全体をどのように見るかという問題です。
 左の場合は正解があって、図形が一致するかどうか、細かい部分を対応させて見ればよいのですが、この場合は対応させるものがありません。
 こういう問題も幼児や高齢者は苦手で、視野が狭く部分に注意を奪われてしまって適切に答えが出せないのです。
 この答えは、「ひげを生やしたコサック」というのですが、他の答えがあればそれは間違いだとは必ずしもいえません。
 答えが多くの人から「なるほど」と納得されるものであればよいのです。
 コサックの視覚イメージを持っていれば、右上の黒い部分は帽子の陰に片目が隠れ、みぎの中ほどの部分が口ひげとあごひげのように見えて、なるほどという感じがするということです。
 
 この場合は一つ一つの部分にこだわるとなんだか分からなくなるので、全体的に見ることが必要です。
 平面的に見て、部分にこだわってしまうと構造がつかみにくいのです。
 白い部分と黒い部分が陰影を表し、そのことによって立体感を感じさせるので、全体のまとまりが分かるのです。
 部分的に説明がつかずにあいまいな部分があっても、立体的に感じるとと細かな部分は捨象することが出来、そのときハッとひらめきでわかったような感じがするのです。
 


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