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影と輪郭

2006-09-14 22:30:04 | 視角と判断

 左上の図は何に見えるかと聞かれてもなかなか思いつかないのではないでしょうか。
 漠然と大小の島が点在しているところのように見えるといえば、そういえないこともないという程度です。
 細かい部分がそれぞれ何なのか分からないので、部分を組み立てて全体をイメージすることが出来ないだけでなく、全体を見て、全体的な印象から直観するのも難しいのではないでしょうか。
 
 実はこの図は下の図の黒い部分と白い部分の境界線を示した線画です。
 それでは下の図は何に見えるかといわれてもすぐには思いつかないかもしれません。
 黒い部分に注目したり、逆に白い部分に注目したのではなんだか要領を得ないのではないでしょうか。
 この図はキリストの顔の部分で、右側から光が当たって左側が影になっているということなのですが、そういわれればナルホドと思うのではないでしょうか。
 キリストの絵とか彫刻の写真などを見たことがない人はピンと来ないかもしれませんが口からあごにかけてヒゲが伸びた顔だといえば、そう見えるでしょう。
 
 顔に光が当たっている状態に見えるということは、図形が立体的に見えているということです。
 平面的な図柄としてみていたのでは、部分に注目しても全体的に見てもまとまったイメージがわいてこないのです。
 他のこまごました部分はなんだか分からなくとも、顔が立体的に見えるということで全体として理解が出来るので納得できるのです。

 右の図はルビンの盃といわれる図形で、白い部分に注目すると盃に見え、黒い部分に注目すると向き合った人の横顔に見えます。
 右下の図は、右上の図の黒い部分と白い部分の境界線を示した線画ですが、左の場合と違って、見てもなんだか分からないということはありません。
 やはり、盃に見えたり人の横顔に見えたり見え方が交替します。

 同じ境界線を示した線画でも右側は理解できるのに、左側の場合は理解できません。
 左の図は、キリストの顔だと答えを教えられて、そのつもりになって見ようとしてもそのようには見えません。
 線だけになってしまって、立体感が失われたので形がイメージできなくなってしまっているのです。
 右の図は境界は輪郭を現しているので、線だけになっても輪郭が示されるので対象の形が把握できます。
 左の場合、境界は対象の輪郭ではなくて、影の輪郭なので対象の形が分からなくなっています。
 人物画などの写真をトレースして線画を作ったとき、あまり似てないというのも、線画は輪郭を描くだけなので、立体感を表現できないためです。
 


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