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脳と栄養

2006-04-14 23:40:19 | 眼と脳の働き

 第二次大戦後、先進工業国ではIQがあがり続けたのですが、日本も上がり方が著しく、最上位クラスになっています。
 アメリカでは黒人と白人のIQを比較して、IQは遺伝的なものだと人種差別を正当化するような理論があります。
 ところが白人優位を主張しようとすると、日本人などが白人よりIQが高いということで、白人にとっては都合の悪い結果となります。
 先進工業国全般でIQがあがり続けたことを見れば、IQの高さをきめるのは遺伝的なものではなく生活水準とか、環境が主な要素ではないかと考えるのが自然でしょう。
 特に幼児期の栄養水準の改善は、脳が急激に発達する時期に、栄養が十分に与えられるために重要な問題です。

 人間の脳はたくさんのエネルギーが必要で、脳のエネルギー代謝は身体全体のエネルギー代謝の20%以上です。
 チンパンジーが約9%であるのに比べれば2倍以上となるのですが、幼児期もチンパンジーの20~45%に対し40より85%となっています。
 幼児期は脳が急激に発達するので、多くの栄養が必要であることが分かります。
 哺乳類は普通は離乳すれば大人と同じような食物を食べるのですが、人間の場合は離乳しても歯も消化器官も発達していないので、大人と同じ食物では十分な栄養を取れません。
 そうなると、身体の発育ももちろんですが、脳の発育にとっても特別な離乳食が必要です。
 
 人間の場合はチンパンジーよりも早く離乳し、しかも脳が必要とするエネルギーが多いため、特別な離乳食を用意すべきなのです。
 人間の脳は7歳ぐらいまでに大人の脳と同じ大きさになるのですが、それまで大人と同じ歯や消化器官を持たないのですから、特別な離乳食がなければ脳は十分な発育が出来ないことになります。
 戦後になって特に幼児の死亡率が減ったのは、医療の改善もありますが、栄養の改善が著しかったためです。
 生活の向上が栄養の向上につながり、それが離乳食の改善につながったためIQの向上にもつながったのでしょう。
 
 脳のためなどと特には意識しなかったのでしょうが、結果的には知能の向上が実現したといえます。
 といえば「そんなことはない、今の子供のほうが知能は低下している」という意見が出てくるでしょう。
 しかし、言葉の発達などの例で見ると、50年以上前と比べれば現在の幼児のほうが明らかに早くなっています。
 さらに視角能力など年配者が認めたがらない、そしてそのために理解できない部分での能力が向上してきてもいます。
 知能が向上すればよいというものでは必ずしもありませんが、いたずらに否定するだけではいけないと思います。


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