goo blog サービス終了のお知らせ 

60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

利き目というのは

2006-03-05 17:17:27 | 眼と脳の働き
 「利き目」というのも錯覚の一つです。
 利き目を調べる方法として、目の前30cmぐらいのところに指で輪を作り遠方の目標物を見て、片目を閉じてみても目標物が見えるほうが利き目だとされています。
 しかし、実際は両眼で見た場合は、指の輪に焦点を合わせると目標物は二つに見えてしまいます。
 逆に遠方の目標物に焦点を合わせると、今度は指の輪が二つに見えてしまいます。
 両眼で見て、近くにある指の輪と目標物のどちらかに焦点を当てるともう一方は二重に見えているのですが、指の輪が真ん中になかったり、顔が目標物に対して斜めを向いていたりすると、二つに見えるはずのうちの一つが指の輪の中に見えたりします。
 指の輪を左右に動かしてみると、目標物は二回見えます。
 それぞれについて片眼を閉じてみれば分かりますが、二回とも同じほうの眼で目標物が見えるわけではありません。
 一回目が左目であれば、二回目が右目というように交代しますから、一回目の見え方で利き目があると思うのは速断なのです。
 テストのやり方を変えて、最初に片眼を閉じて指の輪から目標物を見て眼を開けば両眼で見ても目標物が見えます。
 つぎにもう一方の目で同じことをすると、やはり両眼でも見えます。
 つまりどちらの眼も利き目ということになります。

 鉄砲には照準というのが先のほうについていますが、照準を両眼で見て射撃するということはありません。
 両眼で照準を見ると的が二つに見えてしまいますから必ず片目で見るのです。
 拳銃の場合に両手で打つというのも正面の的に片手で狙いを定めることができないからで、両手で持つことで体の正面に銃口を向けるためです。
 もし上のような方法で利き目というのが分かるならば、遠方の的を両眼で見たとき二つに見える照準の片方と的を合わせれば当るということになってしまいますが、そういうことはありません。

 人間の目は目標物が多少左右に動いても顔を動かさずに追うことができます。
 そのため注視目標がちょうど正面になくても気がつきません。
 体や顔のくせで、前を向いているつもりでも、斜めになっていることに気がつかない人がいます。
 こういう場合は利き目のテストのようなものが「ほんとだ」と感じるでしょうが、眼が原因なのではなくて姿勢のくせが原因だと考えられます。

 利き目といえば右脳と左脳に関係が有りそうな感じがしますが、利き手と違って右脳が左目を支配するということがないので、関係ないようです。
 右目にも左目にもそれぞれ右視野と左視野がある野で、右目を左脳、左目を右脳が支配するということになっていないからです。
 医学的な根拠がないのに利き目があると思われているのは、指で輪を作ってみるといった簡便テストが劇的な体験を与える場合が合うからです。
 指の輪が顔の正面にあるかとか、目標が体の正面にあるのかといった条件をきちんと抑えていないので、やり方によっては片方の目で見たとき目標物が大きくそれて見えたりします。
 そうすると「やっぱり利き目というものはあるのだ」と強く感じるのでしょう。
 なかには顔や体を斜めにする癖が強すぎて眼に影響を与えている人もいるかもしれませんが、体が斜めに向いているのに眼だけを正面向けにしようとすれば、かえってよくないのではないでしょうか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿