60歳からの視覚能力

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図と地の分化能力

2006-06-05 22:37:15 | 視角能力
 隠された図形を見つけ出す問題は、図と地の分化の問題でもあります。
 右の図の中に左の図が含まれているので、どれがどれに含まれているかを見つける問題です。
 自動車の運転の適性検査に使われたり、一般の知能検査に使われたりするのですが、何を検査しようとしているかは分かりません。
 この問題を解くにはいろんな方略がありますが、ひとつは左の図のイメージを記憶して、右の図の中に重ね合わせようとする方法です。
 左の図のイメージの線を右の図にひとつずつ重ね合わせて見て行き、合致するかどうか確かめるのです。
 部分に集中する視覚的注意力があれば正確に一致不一致を判断できます。
 
 もうひとつの方法は右の図の中から、左の図形を浮かび上がらせる方法です、
 背景の中から特定の図を切り離してみる見る方法で、いわゆる地と図を分化させる方法です。
 また、左の図の全体的なイメージから、それに合いそうなイメージを右の図から選ぶアバウトな方法もあります。
 たとえば十字型は右の図で言えば左下の図に親和性がありますし、屋根型はその上の図形、四角い箱型は大きさからいって右の図の中では右上の図形といった感覚的な判断でもたちまち回答は得られます。

 このての問題は、出題側は、一般的には図と地を分化する能力を試そうとして出題しているものと思われます。
 聴覚の例で言えば、いろんな人が会話をしている中で、特定の関心のある人の声を選び出して注意を向けて聞くといった、いわゆるカクテルパーティー効果を実現する能力です。
 注意力、集中力がないと周りの雑音に邪魔をされて、目的の声を聞き取れないので、注意力や集中力のテストになるという考え方です。

 どんな方法で解決するにせよ、それぞれ熟達すればスピードや正解率は上昇するので、成績がよいからといって分析力があるとか、総合的に見る能力があるなどといった結論を出すのは困難です。
 機械的な形の照合のような、健常者にとっては難しい方法でも、自閉症の人の中にはそれが得意という人もいるのです。
 すべての人が同じ方法で課題に取り組むとは限らないので、テストの結果から性格の判断や能力のなどに使う場合は余程慎重に行うことが必要なのです。

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