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視線の動きと短期記憶

2008-06-29 22:31:20 | 視角と判断

 図の縦の線はすべて垂直線で平行なのですが、斜めの線が交差しているため曲がって見えます。
 実際はすべての縦線は垂直線なので、ありのままに見れば平行に見えるはず曲がって見えるのは、この図を見るとき視線を動かしているからです。
 ものを見るとき、人間の目で細部まではっきり見えるのは注視点のまわりのごく一部分で、周囲はぼやけて見えます。
 実際にはぼやけているのに、そのように感じないのは視線を絶えず動かしていて、視線を動かしたとき直前に見えていた部分の像の記憶が短期間持続するためです。
 
 左の図では縦線の上に白丸が、縦線の下に黒丸が表示されています。
 いま縦線の上の四つの白丸に注意を向け、四つの白丸を同時に見るとします。
 白丸を注視して視線を動かさなくても、下の黒丸は周辺視野で見えるはずです。
 下のほうへ視線を動かさずに白丸を注視していると、下の黒丸が見えるので、下のほうまで見なくても縦線が見えますが、このとき縦線は平行に見えるようになっています。
 視線を動かさなければ平行に見えるのですが、つい視線を動かして下のほうをよく見ようとすると縦線は少し斜めに見えます。
 これが下の黒丸を注視した場合は、上の白丸は色が薄いので見えなかったり、ボンヤリとしか見えないため周辺視野に縦線の先端がはっきり見えなくなります。
 そのため下の黒丸を注視した場合は縦線が平行線であることもはっきりわかりにくくなっています。
 上の白丸を注視すれば、視線を動かさずに縦線をハッキリ見ることができ、平行であることを確認できるのです。

 右の図では中側の二本の縦線の上下に白丸があります。
 上の二つの白丸をしばらく見てから下の白丸に視線を動かして見て、しばらくして上の白丸に視線を動かして見るというように、交互に白丸を見ると縦の線は平行に見えるようになります。
 上の二つの白丸と下二つの白丸は同じ大きさで、間隔も同じです。
 視線を動かしたとき前に見たと白丸の記憶が残っているので、上下の白丸を結ぶ直線は間隔が同じなので平行に見えるのです。
 このように記憶がはたらきだすと、錯視は減少したりなくなったりするのですが、そのため錯視図は見続けているうちに、錯視量が減るといわれのです。
 見続けているうちに錯視量が減っても、時間を置いて錯視図を見ると元に戻ってしまうといわれるのは、錯視量が減るときにはたらいた記憶は短期記憶なのでしばらくすると失われてしまうからです。


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