60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

空書と視覚イメージ

2008-05-03 23:31:37 | 言葉と文字
 「ケイヤクをコウカイする」、「シサンをコウカイする」と聞いたとき、前の場合は「更改する」、あとの場合は「公開する」という意味だと分かります。
 日本語は同音異義語が多いので意味を漢字で書き分けるのですが、耳で聞いたときは同音ですが、意味はたいてい分かります。
 そこで耳で聞いたとき、頭の中で漢字を思い浮かべているから意味が分かるのだと言う説もあります。
 言葉を聞いたとき、いくつかの漢字が思い出され、そのうちのひとつが適当なものとして選ばれ、意味が分かるということなのでしょうか。
 まるでワープロで漢字変換をしているような具合ですが、いちいちこういうことをしていては非常にまだるこしく、早口でしゃべる言葉にはついていけないでしょう。
 
 普通は言葉を聞いたとき、その意味する内容が視覚イメージとして頭に浮かぶというようにいわれます。
 言葉の意味が視覚イメージになるかどうかは別として、まず意味が思い浮かべられ、必要ならその意味に応じた漢字が思い出されるというのが普通です。
 漢字の書き取りにしても、読みに対応して意味が分かり、それに対応する漢字を思い出して書くので、漢字が先に思い出されるわけではないのです。
 
 漢字がアタマに浮かぶという場合でも、漢字の形がハッキリと目に浮かぶかというと、ボンヤリとしていてあいまいなイメージで、イザ書こうとすると書けなかったりするということがあります。
 視覚イメージがハッキリしたものでなく、イメージをなぞることができないことに気がつくのです。
 こういうとき指で空書(空中に字を各動作をする)をしてみると、あいまいだった点画が思い出され文字全体が正しく再現されることがあります。
 
 漢字を覚えるとき文字を書いて覚えたため、書くという運動感覚が記憶されていて、視覚イメージよりも確実に再現されるためです。
 漢字学習では寺子屋以来の伝統で、「書く」ことが人気の高い学習法であるからです。
 視覚イメージより、運動感覚のほうが強いのは、図のような逆さ文字と反転文字を比べてみると分ります。
 逆さ文字は文字を180度回転させたものですが、アタマの中でさかさまにしたイメージを思い浮かべようとすると結構大変です。
 ところが逆さの文字を空書するのは、視覚イメージをなぞるわけではないので、それより楽にできます。
 これに対し反転文字は元の文字を左右逆転したものなので、もとの文字がイメージで切れば楽にできますが、空書をするのは難しく読み取りも逆さ文字より読み取りにくくなります。
 文字といえば視覚的に記憶されているというふうに考えがちですが、腕や手指の運動感覚としても記憶されているのです。

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