60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

視力と理解力

2008-12-19 22:43:09 | 視角と判断
 図は1から9までの数字を配置していますが、2箇所だけ伏せてあります。
 伏せられている数字は何と何かを判断するのですが、左の二つの図の例では上のほうが楽に判断できます。
 左下の図では文字がぼやけてはいますが、読み取ることはできますから、どの数字がないのか判断するのに支障はないように思えます。
 しかし実際は左上の場合と比べると、判断するまでの時間が多くかかります。
 文字がぼやけているので、文字を読み取るのに時間がかかるということが理由として考えられますが、それだけではありません。
 どの数字が伏せられているかを判断しようとする場合、見えている数字を確認できれば自動的に答えがわかればよいのですが、見えている数字を参照しながら判断しようとするでしょう。
 
 たとえば1から9まで順番に数字を探していき、見当たらない数字を記憶していけば、どの数字が伏せられていたかを答えることができます。
 この場合には数字を探す過程で何度も全体の数字を見ていますから、前に見た数字の記憶が残っていれば探している数字があるかどうかすぐわかります。
 数字がハッキリ見えているほうが記憶に残るので、探す数字があったかどうかすばやく判断できます。
 数字を探している途中で見るときも、ぼやけてしか見えない数字は読み取りに時間がかかるので、合わせて時間が余分にかかるのです。
 文字を見分けるのに時間とエネルギーをとられ、さらに短期的な記憶に残りにくいので、判断がしにくいという結果になります。
 どの数字が欠けているかということを判断する判断力自体があっても、実際に判断する能力は、視力が落ちるとだいぶ落ちてしまうのです。
 
 それでは文字が読み取りやすければ読み取りやすいほど判断がしやすいかというと,必ずしもソウではありません
 右上の図は文字が大きくハッキリしているので、左上の図の場合と比べ伏せられている数字が何かを判断しやすいかといえば、逆にやや判断しにくくなっています。
 一つ一つの数字を見比べれば、左の図の場合よりも右の図の場合のほうが読み取りやすいかもしれません。
 しかし、全体としてみれば左側の図のほうが読み取りやすいのは、中心視野で一度にすべての数字を見ることができるからで、右側の図の場合は図の面積が広いので若干目を動かさざるを得ません。
 字が大きくなると、一字一字は読みやすくても、全体として捉えにくいので、半田スピードのほうは落ちてしまうのです。
 
 一方で、目を動かさないで全体を把握できるという点では、右下の図で見ると、かえって判断に時間がかかるようです。
 まして、一番下の右の図のように小さい字でしかもぼやけてしまうと、さらに読み上げに時間がかかりるようになってしまいます。
 このように簡単な数字の場合でさえも、文字が小さくさらにぼやけて見えてしまうと読み取りにくくなってしまうので、漢字の多く混じった書籍などになると読み取りにくくなります。
 さらに文字が読み取りにくいというばかりでなく、判断力にも影響が出てきますから、小さな文字で複雑な漢字を多く使った自体や字の大きさのせいで、目が疲れるだけでなく理解もしにくいものとなります。