60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

ハーマングリッドと注意の幅

2008-12-02 23:42:24 | 注意と視野

 図Aはハーマングリッドと呼ばれるもので、白い格子の交差部分に灰色の円がちらちらと見えたり消えたりします。
 見えたり消えたりするのは、視線を向けると消えるためで、普通に見ているときは目が無意識のうちに動いていて、灰色の円が見え視線を向けたところが消えるのです。
 交差する部分をひとつずつ順に注視していけば、注視した交点は白く見えることが確認できるのですが、このことを利用すれば、確実に決まった場所に視線を向けていく練習に使うこともできます。
 また交点をひとつだけ注視するのではなく、隣り合った二つの交点を同時に注意を向けて見ると、二つの交点は白く見えるようになります。
 さらに三つの並んだ交点を同時に注視できれば、三つとも交点が白く見えますから、注意の幅を広げる練習にもなります。

 白い格子の交差部分をじっと注視すれば、灰色の円が消えて白く見えるということはよく知られているのですが、交差部分ではなく黒い正方形の部分を注視することによっても交差部分は白く見えるようになります。
 たとえば左上の4つの正方形を同時に見ると、真ん中に挟まれている交差部分は白く見え、さらにその下の二つの正方形を含めた6つの正方形を見れば、間の二つの交差部分は白く見えるといった具合です。
 ただしこの場合、目の力を抜いてみることが大事で、目の力を抜いたほうが広い範囲に注意を向けることができ、目も疲れません。
 目に力を入れてしまうと、文字などを注視した場合よりも目が疲れてしまうので、注意が必要です。

 ハーマングリッドはふつう白と黒で構成されていますが、この正方形の黒の部分が赤なれば、交差部分の灰色はどうなるかというと、薄い赤になります。
 つまり白い部分が単に白く見えなくなるということではなく、正方形の部分の色に影響されるということです。
 しかしそれでは明暗という要素は関係がないかというと、そういうことでもありません。
 B図は青地にオレンジの正方形が配置されていますが、青の格子の交差する部分に薄いオレンジの色があるようにはなかなか見えません。
 青とオレンジは対照的な色なのですが、明暗の差がないので交差する部分に薄いおれんぎいろが薄いオレンジ色があるようには見えません。
 それでも青い格子の交差する部分に、薄いオレンジが見えているかどうか確かめようとすると、注視すれば、見えていたとしても見えなくなるのですから、確かめにくくなっています。