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視覚と体のクセ

2008-11-22 23:35:06 | 眼と脳の働き

 利き腕があるように、利き目というものがあるといわれていますが、利き目と言うものがどういうものかはハッキリわかりません。
 どちらの目が利き目かを簡単に知る方法として、親指と人差し指で輪を作り、手を顔から離し、この輪を通して遠方のものを見た場合、両眼でみたときと片目でみたときを比べ、位置のずれが少ないほうが利き目だとするというのがあります。
 たとえば右手の指で輪を作り、これを通して遠方のものをみたとき、右目でみたときより左目でみたときのほうが、両眼でみたときより位置がずれていなければ、左目が利き目だというわけです。
 こうしてみると、たしかに片方の目で見た場合は、もう片方の目で見た場合よりも位置のずれが小さいので、なるほどこれが利き目かと思ってしまいます。

 ところが右手で輪を作るのではなく、左手で輪を作ってみるとどうでしょうか。
 右手で輪を作ったときと同じ側の目で見たほうがずれが少ないかというと、そうではなく今度は反対の目で見たほうがずれが小さく見えたりします。
 これは指で作った輪が、顔の正面にきているかどうか、顔が見るものに正対しているかどうかで、見え方が違ってしまうためです。
 人によってはクセがあって、ものを見るとき体を正対させず斜めに構えてしまう人もあり、また右手よりも左手のほうが指で作った輪を正面に持ってきやすいといった人もいます。
 つまり、この方法ではものを見るときの姿勢とか、体のクセを知ることができるということで、利き目がどちらかが分かるわけではないのです。

 たとえば、図の左側の12個の円形を見るとき、上のほうが明るい円は前に膨らんで見え、上が暗い円は凹んで見えます。
 これは光が上から来るという体験があるために、脳が上のほうが明るい円を凸型と解釈するため、凸型に見えるといわれています。
 しかしこれは図を見るとき、視線が上からやや下に向かっているためで、目の位置を下げて上目づかいにみると、下が明るい円も凸型に見えるようになります。
 図を見るとき、視線を下から上に上げてみてゆく、つまり明るいほうから暗いほうに向かって見ていけば、凹方に見えていた図形が凸型に見えるようになるのです。

 右側の12個の円は左側が明るいものと、右側が明るいものとあります。
 これらは上から光が当たっているわけではないので、凸型に見える理由はないのですが、あるものは凸型に見えたり、あるものは凹型に見えたりします。
 もしものを見るとき、左から右に見ていくクセがあれば、左側が明るい円が凸型に見え、右から左に見ていくクセがあれば右側が明るい円が凸型に見えるでしょう。
 日常生活ではとくに左から光が来るとか、右から来るとかいったことはありませんから、左が明るいほうが凸に見えるという人は、左から右へ視線を動かすクセがあるといえます。
 しかしこのことが、左目が利き目だということを示しているかどうかはわかりません。
 ただ、見るときのクセが自覚できたわけで、逆方向の見方をして、見え方が逆転するようにすれば、視線のコントロール力が強化されます。