60歳からの視覚能力

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注視する能力

2008-11-18 23:19:07 | 注意と視野

 A図は正方形なのですが、全体に右上のほうに引っ張られた感じで、ゆがんで見えます。
 正方形だといわれても、見た目では納得できませんから、定規などをあてがってみると境界線がすべて水平あるいは垂直ですから、正方形であることがわかります。
 この図形はチェッカー盤のような市松模様のなかに、黒い正方形のなかには小さな白い正方形が、白い正方形のなかには小さな黒い正方形が二つずつ配置されています。
 チェッカー盤のような市松模様は、A図のようにゆがんでは見えず、正方形に見えるのですから、A図がゆがんで見えるのは、中に配置された小さな正方形が原因だと考えられます。

 ところが、A図の黒い部分を黄色に塗り替えると、B図になるのですが、こちらのほうはゆがみが少なくなり、ほぼ正方形に見えます。
 そうすると、中に小さな正方形が配置されればゆがんで見えるということではないとも考えられます。
 小さな正方形が配置されなければ、ゆがんで見えないけれども、色が黄色のように薄い色ならば、小さな正方形が配置されていてもゆがんで見えないのです。
 ようするに、ゆがんで見えるのは一つの原因によるのではなく、複合的な原因によるのです。
 
 ところで、A図は右上にゆがめられて見えるというだけでなく、視線を向けると動いて見えます。
 何気なく見ていると、図形が動くのでそれにつられて視線も動いてしまいます。
 実際は、図形が動くわけではないので、視線が動いてしまうために図形が動いているように見えるのかもしれません。
 ということであれば、視線を動かさなければ図形は動いて見えるということはないということになります。
 そこでA図を直接見るのではなく、B図のほうを眺めてみます。
 A図のほうに視線を向けなければ、A図は動いて見えるということはありません。
 
 B図を見ているときは、A図は周辺視野にあるのですが、周辺視野にあるものは細かくは見えないのですが、動きは見えます。
 もしA図が実際に動くのであれば、図柄はハッキリ見えなくても、動きは感知されるはずです。
 ところが、周辺視野にあるA図が動いては見えないのですから、A図に視線を向けたときに動いて見えるのは、見ているときに視線が動いてしまうということです。

 そこでA図の一番上の行の三つの黒い正方形をひとつずつ順番に注視していき、最後に三つの黒い正方形を同時に注視するようにします。
 そうすると図形はとまって見えるだけでなく、三つの正方形は水平に見えるようになります。
 同じように二行目についても、ゆっくり順番に注視していき、最後に三つの黒い正方形を同時に注視すると、三つの正方形は水平に見え、図形は静止して見えます・
 視線をコントロールできないと、図形が動いてしまい、三つの正方形は右上がりに見えてしまいます。
 これは横方向だけでなく、縦方向にもでき視線コントロール力が向上すれば、正方形のたての並びが垂直に見えるようになります。