60歳からの視覚能力

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視線のコントロール能力

2008-11-08 23:24:25 | 視角能力

 図Aでは、左側の図形の中に、右側の六角形と同じ形が埋め込まれているのですが、どのように埋め込まれているかを発見する問題です。
 埋め込まれている場所は狭いので、簡単に発見できそうなのですが、輪郭線がハッキリ独立しているわけではないので、すぐにはわかりません。
 輪郭線が他の線の中にまぎれて埋没しているので、どの部分が輪郭線になっているのか、自然に見ただけではわからないのです。
 
 左側の図形では、平行四辺形に対して、斜めに切る線が7本ありますが、真ん中の一番長い線から左へ2番目の線と、右へ二番目の線で平行四辺形を切ると、右の六角形と同じ形になります。
 このように答えがわかっても、実際にA図を見るとほかの線が妨害刺激となって、六角形を図の中から分別して見ることはかなり困難です。
 真ん中の斜めの線と、そこから左右2番目2本の斜めの線、この3本の線と平行四辺形との6つの交点が六角形をつくっています。
 したがってこの6個の交点を意識して見れば6角形が見えてくるのですが、紛らわしい点がそばにあるので見にくくなっています。
 6つの交点をひとつづつ、順にゆっくり見ていけばよいのですが、視線をコントロールする力が弱いと、ついほかのところに視線が逸れて形がわからなくなってしまいます。
 また視線を順に移動したとき、前の点は周辺視野の中に入っていて、見えはするのですが忘れてしまう場合があります。
 ゆっくり、繰り返して交点を順に見ていけば、視線がコントロールできるようになり、、記憶も固定されて、六角形が見えるようになります。

 B図では、真ん中の横線は水平線なのですが、右下がりに傾いて見えます。
 この場合、横線の上にある黒い四角形は、すべて同じ大きさの四角形なので、四角形の下辺に接している横線は水平です。
 そのようにアタマでは理解していても、実際に図を見るとやはり横線は右肩下がりに見えます。
 そこで上下の接している二つの黒い四角形を左から順に一秒ずつ見ていきます。
 同じ大きさの図形を見ていくので、上下の真ん中の線は水平に見えるようになります。
 一組ずつきちんと視線を向けて見ていけば、横線が水平に見えるのですが、視線をふらつかせてしまうと、横線が斜めに見えてしまったりします。
 つまり、きちんと視線をコントロールして見ていっていけたかどうかは、真ん中の横線が水平に見えたかどうかで判定できるのです。

 この場合は図の真ん中、つまり上の黒い四角の三番目と四番目の間の白い部分に視線を向け、意識を集中してみていると、真ん中の横線は水平に見えるようになります。
 集中力が弱く、つい別の部分に視線が動いたりすると、横線は傾いて見えてしまいますから、視線を真ん中に集中できたかどうかは、横線が水平に見えるかどうかで判定できます。
 また一番左の四角形の組と、一番右側の四角形の組とを同時に注意を向けて見ると横線は水平線に見えます。
 このように錯視図形は視線のコントロール能力を上げる練習に使えると同時に、コントロール能力を判定する物差しにもなります。