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脳の活性化と効率

2006-09-16 22:43:35 | 視角と判断

 図はNewsWeek9/20の「漢字の国の民族はなぜ計算が特異化」というレポートからのものです。
 今年の6月に大連理工大学で中国人学生と英米豪などの学生について、計算問題を解くときに活性化する脳の部分を測定したものだそうです。
 計算をするときに使われる脳の部分の違いは図のとおりですが、英語話者の方が広い範囲にわたって活性化していて、脳に対する負荷が大きいことが分かります。
 つまり同じことをするのに英語話者のほうがたくさん脳のエネルギーを使っているということになります。
 
 視覚的に計算を処理する中国人より、言語に置き換える英米人のほうが計算のスピードが遅く効率の悪い処理をしているようだといえます。
 人種によって脳の機能が違うということはないというのが定説なので、こうした違いの起きる原因は言葉の違いや、教育訓練の方法や量の違いによるものと考えられているようです。
 これまで知能検査などが行われた場合、英米人に比べ東洋人のほうが知能指数が高いというデータが多かったのですが、脳の使い方が違っているというのは初めてです。
 
 もし、言語が違うからというのが原因であれば、英語話者は将来もずっと計算能力が劣るということになります。
 教育方法が違うとか、訓練時間が違うというのであれば、英語圏でも教育方法を変え、訓練時間を増やせば良いということになります。
 
 この研究の結果からあらためて分かるのは、何かをやるときに脳が使われる部分というのは、誰でも同じとは限らないということです。
 そして、効率の悪い脳の使い方をしているときは脳が広範囲にわたって活性化するということで、能率よく使えば省エネになるということです。
 脳が活性化するというときの活性化という言葉は、なんとなくプラスのイメージがありますが、意味があいまいで実際どんな価値があるか分かりません。
 活性化しているかどうかは、脳の血流量が多いか少ないかで判断しているのですから、脳の働きに無駄が多いために活性化しているように見えると言う場合もあるのです。

 肉体作業でもなれない作業をするときはよけいな筋肉を使ったりするので、とても疲れて大汗をかいても能率はさっぱりということがあります。
 なれてコツがつかめればエネルギーをあまり使わず効果を挙げるようになります。
 脳であっても闇雲に活性化させればよいというものではなく、効率の良い使い方をしなければ疲労が多く脳の健康を損なうようになるはずです。
 「**をすると脳が活性化する」といわれるとどうしても気が動きますが、あまり意味のない作業を無理をしてやることは避けたほうが無難だと思います。