設計事務所の裏窓

夫は建築士。設計事務所をやってます。
裏から眺めた感想、日々の独り言。
不定期便で頑張ります~!

達成感の味わい

2005年02月22日 14時42分30秒 | 独り言
今現在 家を造ろうという方々にとって
「どこで頼むか?」こう考える時の選択肢は多分
三通りあるのではないだろうか?
工務店 ハウスメーカー うちのような設計事務所。
どこでどう頼んでも多分 頼んだ人の考えで長所 短所が
生まれると思う。これは もうどうしようもないと
個人的には思う。
だが これは勝手な解釈だが こういうタイプのお施主さん達は
うちのような設計事務所に頼もうとすると お施主さん達も
設計事務所もちょっと苦しい関係になってしまう。
それは「ともかく簡単に家を造りたい!三ヶ月位で
    さっさとやりたい。面倒な事は大嫌い」
こう宣言する お施主さんであろうか・・・・・
設計事務所といっても施工から不動産まで扱う設計事務所も
あるから何も言えないが 多分普通の設計事務所は
こんな事を言われたら 簡単に仕事として引き受けないだろう。

家造りに「簡単」という言葉はないように思える。
本当に「大変だ」という事がつきものだ。
大体 お施主さん達は当たり前だが皆仕事を持っている。
長き期間の打ち合わせは 自分の休日 或いは仕事が
終わっての夜遅くからなんて事も・・・・・
我が家でも お施主さんの休みに合わせて打ち合わせを
しているが お施主さんの仕事帰りにどこか中間地点で
落ち合ったりという事もしょっちゅうである。

勿論 家造りが一生に一回の大イベントだからといって
それだけに全生活はかけられない。どの家族も
日々の生活や仕事を持っている。そんな忙しい身で
多分家造りをしている期間というのは もう一つの
重要な仕事を抱えている状態であろう。

我が家だけとの打ち合わせだけでなく きっとお施主さん達は
家に帰っても家族と ああだのこうだのと家について
話し合う時間も多くなる。
たったちょっとの間取りを巡って何時間も話し合ったという
お施主さん家族もいらしたような・・・・・

世の中には 時間をかけなくても合理的に出来る事があふれている。
でも家造りにおいては 勝手な素人解釈だがかけすぎて駄目な事は
あまりないように思われる。
家は「妥協の産物のハコ」ではない。
勿論「ハコでも何でも住めればいい」こういう解釈も有りだろうが
「簡単に造りたい 面倒は嫌だ」こう宣言している方々の方が
後で「こうしたかった これが失敗だった」こういう言葉を
耳にする。

一生懸命に取り組んだ事は その人にしか味わえない宝にもなる。
「あの時は大変だったけど 今考えれば楽しかった」
そんな事を漏らした お施主さんを見ると つくづくそう思う。
関係ないながらも ちょっぴり羨ましい。
何しろ自分は面倒な事が大嫌い人間だから 達成感の味わいを
ちょっぴり嗅がせてもらうだけで 羨ましくなるのだ・・・・