お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

ヨロイウオ幼魚

2010年06月29日 | 定置網

 今日は定置網を起こしている時、網を手で掴もうとすると何やら尖ったものが網目に刺さっている。最初はたまに痛い目にあうエビの幼生かと思い、刺されないように棘の部分を摘み、取り上げる。すると驚く事に小さなヨロイウオである。でもこの個体、見ると黒色縦帯がある。となるとヘコアユである。ヘコアユならまだ獲れた事はなく初入網となる。棘が折れないように丁寧に扱い、氷水に入れ確保する。しかし、持ち帰り写真撮影しようとすると、その黒色縦帯は消えている。そこで検索図鑑を開くと体後端の棘は非可動性である。となるとやはり今までに何度か獲れたヨロイウオとなる。今回の個体は口先から体後端棘までで65ミリ程でまだ幼魚と思われる。でも、この体後端の棘はこんなに長かったかなと今まで獲れたヨロイウオの写真で見比べるとやはり今回の個体はかなり長い。これを見る限り小さい時からこの棘の長さは変わらず、体だけが成長していくものかとも思う。今まで獲れたヨロイウオではわかり難かったが、今回の個体を見るとこの体後端の棘が第一背鰭棘である事がよくわかる。でもこれが背鰭棘となるとこの魚、体長はやはり真ん中の尾鰭手前で測るのだろうか?
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ツマリトビウオ

2010年06月29日 | 定置網

 今日は定置網で網を絞って行くと水面をツマリトビウオが泳いでいるのを見つけ掬い上げ、魚ボラの標本用に確保する。実はその昔、まだ検索図鑑が無かった頃、毎年よく獲れるバショウトビウオを自分でツマリトビウオだと誤同定していて、そのまま長い事間違ったまま思い込んでいた。そして魚ボラに標本を持ち込み、初めて間違いに気付いた次第である。トビウオ類は鱗が剥げ易く、鰭も傷みやすいので綺麗な写真を撮るには他の魚に揉まれる前に泳いでいるところを掬って丁寧に扱わなければならない。バショウトビウオはたくさん獲れるので写真を撮ろうと思えばいつでもできるのだが、ツマリトビウオはあまり獲れないので泳いでいるところを見つけ出さないでいた。今回ようやく綺麗な状態で確保でき、写真撮影する事が出来た。もちろん魚ボラの標本用にタグを付け、冷凍保存する。トビウオ類もこの2種はまだ泳いでいる時に種の同定ができるのでまだ良いが、ハマトビウオ属などになればそうもいかない。泳いでいるところを見ても種の区別が付かず、標本を手に取り胸鰭や背鰭前方鱗数などを調べなければならない。これらの種は時間を掛けて獲れる時期を調べ、計画的に行なわなければならない。やはりトビウオ類はややこしく苦手であり、現在でもここで何種獲れているのか把握できていない。

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アイゴ属幼魚

2010年06月21日 | 定置網
 今日は定置網で選別作業中にアイゴ属の幼魚を見つける。いつも見るアイゴの幼魚とすれば何だか体形が細長い感じがし、別種の可能性があると思い確保する。普段アイゴの幼魚が獲れる時はたくさんいるのだが、今回は1個体のみ。しかも幼魚がたくさん獲れる時期はもう過ぎている。持ち帰り検索図鑑で調べようとすると、日本産のアイゴ科魚類はブダイ科魚類と同じように計数形質が全て同じだそうだ。こうなるとさらに幼魚という事でいつもなら迷宮入りとなる。だが、うちには宝の持ち腐れ状態だった日本産稚魚図鑑があり、しかも最近は大活躍している。ここぞとばかり稚魚図鑑を開くが結局わからずいつものように迷宮入りとなる。あとは魚ボラでどう判断するだろうか。 
*後日、魚ボラでハナアイゴの幼魚と同定されました。
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また同じカワハギ科

2010年06月17日 | 定置網

 今日は定置網の水揚げ終了後、沖へ行き、網替え作業を行なう。汚れた網を揚げる為、網と網をドッキングしている箇所を持ち上げる。するとそこに小さな魚がうまく掛かって来た。最初に尾鰭が見え、直ぐにあの魚だとわかる。落とさない様に慎重に取り上げる。見るとやはり今週の初めに捕れたカワハギ科魚類である。この場所に魚が掛かって来る事は非常に珍しいのだが、さらにその掛かって来た魚があと数個体は欲しいなと思ったばかりの魚だったのでその偶然さに驚く。直ぐに標本用に確保したかったのだが、網替え作業の為、氷を準備していない。という事で作業が終わり、帰港するまでは生かしておこうと思い、本船の活け間に入れておく。作業も終え、帰港して魚を氷で絞めようとするが、考えたらこの魚はまだ同定結果が定かではない。もう少し成長すると答えが出るかもしれないと思い、飼育して成長過程を観察する為、そのまま生きた状態で家に持ち帰る。今、家の水槽にはカエルアンコウがいる。このカエルアンコウは以前に自分よりもはるかに体が大きな、水槽のぬし(クツワハゼ)を食べてしまった。そのような水槽にこの個体を入れるのは大変に危険である。という事で水槽内に生け簀を浮かべ、そこで飼育する事にする。これで食べられてしまう心配はなくなったが、この水槽は夏場に水温が30℃を超え、死んでしまう恐れがある。やはり家の水槽で成長過程を見るのは危険だろうか。
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探していたカワハギ科魚類

2010年06月14日 | 定置網

 今日は定置網で選別作業をしていると、「これ珍しい魚では」と魚を渡される。見ると探していたあの魚によく似ている。あの魚とは以前に夜間採集で見つけた(ブログ 2007 3.17)カワハギの仲間である。魚ボラでも同定できなくカワハギ科spとなっている。ところがお隣の宮崎で同じく定置網をしている方から同じ魚ではと報告頂いた事がある。その個体の写真を見ると私が夜間採集した個体の成長過程と思われ、体側に模様というか色彩が現れている。今回獲れた個体がまさに宮崎産の個体とまったく見た目が同じであり、同種と思われる。宮崎産の個体は宮崎大学でニシキカワハギと同定されたそうである。だが、その個体を採集された方は本当にニシキカワハギであるか疑っているとの事。私が夜間に採集した個体は現在フグ目専門の科博のM先生が調べている最中であり、同定結果がまだ出ていない。今回の個体は体長が45ミリ程である。幼魚ではあるがニシキカワハギであれば既に鰓孔周辺の暗色斑が現れていてもおかしくないと思い、私も別種のように思う。ひょっとして初記録種、もしくは未記載種・・・。今回の個体も科博に送って調べてもらいたい。でも結果が出るのに時間が掛かりそうである。
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メカジキ

2010年06月09日 | 市場

 今日は帰港すると他の定置網の人に変わった魚が獲れたと教えてもらい、見に行く。その魚は既に水揚げされておりブルーシートが掛けられているが、特徴的な長くて平たい剣状の吻が顔を覗かせている。メカジキである。メカジキはここでは珍しく、これまでに市場に揚がっているのを1度だけ見たことがある。その時に写真に収めてはいるが、その個体は水揚げ時は既にこの特徴の吻が切り落とされていた。今回の個体はまだ吻も残っている。この個体はお隣の定置網で漁獲された。メカジキは大変に暴れる魚なので、普通は電気ショックなどを使い捕らえるが、ここらの定置網にそのような装備はない。暴れるメカジキとの戦いの跡がこの個体の頭部に確認できる。滅多に獲れない魚なのでもちろん魚ボラの標本用にも欲しいが、このサイズではどうにもならない。
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リュウグウノヒメ

2010年06月09日 | 市場

 今日は水揚げをしていると漁協定置の人にあげられないけど珍しい魚が獲れたと教えてもらう。生かしていて水族館に既に連絡済のようである。見に行くとリュウグウノヒメである。リュウグウノヒメはうちの定置網でも何度か獲れた事はあるが珍しい魚である。今まで獲れた個体からすると結構小さく、標本にはもってこいのサイズである。見た感じ生きてはいるものの、既に横になってしまい水族館での飼育展示にはちょっと難しそう。水族館に渡すのを諦めて譲ってくれないものかと思う。その後、仕事をしていると漁協から電話があり、水族館が受け取りに来たが既に死んでいたようで、水族館の職員が私に渡してくれと漁協職員が頼まれたそうである。私も仕事中で手が離せなかったので漁協の冷蔵庫に入れて置いてもらう。仕事終了後、個体を受け取りに行く。見るとまだそれ程傷んではいない。魚ボラの標本用に確保する。リュウグウノヒメは背鰭・臀鰭が非常に大きい。個体は小さいものの、展鰭状態で撮影用の水槽に入るか心配である。だが、水槽を斜めにして標本は何とか入り、写真を撮ることができた.。
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イトヒキハゼ

2010年06月08日 | 定置網

 今日は定置網の漁獲物を選別中、イトヒキハゼを見つける。イトヒキハゼとは久しぶりのご対面である。元々イトヒキハゼはテッポウエビと共生するハゼなので巣穴から動かないような感じで、定置網では獲れない気もするのだが、昔は年に1~2個体は獲れていた。最後に撮ったと思われる写真を見ると6年も前である。標本写真を撮っていないので撮りたいと思っていた魚である。このほかニシキハゼ、サビハゼなども昔は定置網で獲れていたハゼなのに、最近は全く見掛けなくなくなってしまった。ハゼ科魚類は1冊の図鑑になるくらい魚種は多い。ここの海域でもダイビング写真を見るとハゼ類の魚種は多い。魚ボラの標本用に集めたいのであるが、ここでは底引き網漁業をしていないので、定置網や刺し網、釣りなどの漁業では採集されにくい。素潜りでは見掛ける種も限られており、どうしてもダイビングでの採集しかない感じである。この手の魚種の標本確保が今後の課題である。
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息子と夜間採集

2010年06月05日 | 定置網

 今日は土曜日という事で恒例の夜間採集の日。ところが今日は昼間から子供達に魚を捕りに行きたいと催促されていた。という事で夜間採集に連れて行く。普段は日付が替わるくらいの時間帯に行なっているのだが、子供達が一緒という事でかなり早い時間帯に行なう。現場に着き海中を覗くがプランクトンもあまり見られない。タモ網・懐中電灯が一つずつしかないので採集は子供達に任せ、自分はバケツを持って待つ。時間帯が早いので期待していなかったのだが、子供達は次から次へと魚を掬ってくる。その中でチョウチョウウオ類の幼魚も採集して来る。自分はここでチョウチョウウオ類の幼魚を捕ったことはない。今日は魚以外にもマダコの幼体も数個体捕まえた。岩に化けているタコを見つけるとはうちの子も将来期待できるかな。チョウチョウウオ類の幼魚は見た目には普通のチョウチョウウオのような感じもするが、近似種との比較がわからない。とりあえず魚ボラの標本用に確保する。持ち帰り撮影してタグを付け冷凍する。採集者は息子の名前で登録する予定。
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ちいさな小さなタツノオトシゴ

2010年06月02日 | 定置網


 今日は風もなく穏やかである。そんな中、定置網を起こしていると水面下にいろいろな種の稚魚が確認でき、何か変ったものがいないかと探す。すると浮いているゴミの中の小さな枝が動いて行くので、さらに目を凝らしてみるとタツノオトシゴの仲間であった。見失わないように急いでタモ網で掬う。掬った網の中を覗くと最初は見当たらず、個体が小さいのでタモ網の網目から抜けてしまったのかと思ったが、あまりにも小さ過ぎたので見つけ出さなかっただけで、よくよく見るとしっかりと入っていた。見失わないようにというか無くさないように確保し持ち帰る。この個体、高さが2センチ程で本当に小さく顕微鏡を使わないと同定できない。とりあえず撮った写真を拡大してみると躯幹輪数は10で、背鰭基底下の突起の数は1となり、そうなるとタツノオトシゴとなる。だが、躯幹輪数が11であれば吻も短いのでサンゴタツとなりそうである。どちらにしろ初入網であるが、やはり両者とも同定に自信が無い。幼魚でもあるのでここはしっかりと魚ボラで調べてから答えを出した方が良さそうである。今回はあの大きな定置網の中からこれだけ小さな魚を見つけ確保できたことがラッキーであった。裏を返せば最近不漁続きで漁獲物が少ないから成し遂げた業績である。
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ツチホゼリ

2010年06月01日 | 市場


 今日は水揚げ作業をしていると漁協職員から呼ばれる。このような時は珍しい魚が揚がっていて名前がわからないという場合が多い。何が揚がったのかとワクワクしながら向かうとやはりここでは見たことのない魚が活魚で水揚げされている。体形からハタ科の魚であることが分かるが見たことはない。だが体全体に小黒点が密在している点で心当たりの魚がいる。ツチホゼリである。ツチホゼリは水族館で実習をしていた時に扱った事があり知っている。でも、この個体は全身が灰色のまだら模様で、白い部分は青み掛かっていて綺麗であり、このような体色のツチホゼリは見たことがない。でも全長で30センチ程のまだ若魚と思われ、恐らく小さい時期はこのような体色なのだろうと思う。小さかったので安いだろうと思い購入し、もちろん魚ボラの標本用にと確保する。心配は撮影用の水槽に入るかであったがギリギリセーフで無事に撮影できた。ネットで調べるとよく似た体色のツチホゼリの方が多く確認でき、これが普通の体色なのだろうかと思うも、検索図鑑には変異が出ていて、こちらが変異個体のように載っている。真相はまた魚ボラで!
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