お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

ハダカエソ科クロナメハダカ属?

2020年12月29日 | 採集
 今日の深海エビ漁で得られた初採集の魚。状態が悪いので普段なら確保しないのだが初めて見た魚であり、更に深海魚なので何があるかわからないので標本用に確保する。現場では魚種はわからなかったが、以前に大学でハダカエソの標本を見たことがあり、それによく似ている印象であった。家に帰りハダカエソ科を調べてみる。だが、調べようと標本を確認するとかなり傷んでおり、背面が削られた感じとなっていて背鰭が確認できない。更に腹鰭もどの位置にあるのかわからない状態。ハダカエソ科を同定するうえで背鰭、腹鰭の位置関係が非常に重要であり、最初の時点でそれが絶たれてしまう。検索図鑑で鰭以外に何処か一致する箇所がないか探すと鼻孔と上顎の位置関係が載っており、鼻孔が上顎後端より前方に位置していることからクロナメハダカ属となる。この個体はハダカエソ科としては吻が短い感じであり、図を見るとシロナメハダカの図がハダカエソ科の中でも特に吻が短く描かれている。シロナメハダカが一番近いと思われるが決定打が無く、やはり種まで絞るとなるとどうしても背鰭、腹鰭が重要でここであり、終了。結局クロナメハダカ属までは来たが、これも途中を端折っての事なので信頼度ゼロである。あとはいつもの様に魚ボラ任せとする。でも、標本用に確保するも今でこの状態である。冷凍に耐えられるだろうか?


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今年最後に深海エビ漁乗船

2020年12月29日 | 採集
 もう今年は乗船出来ないと諦めていた深海エビ漁。3日前にこの船の方から連絡を貰い、標本用にフエカワムキを頂いた(ブログ2020 12.26)。その時に今年の操業は29日が最終日だと伺う。出荷する市場の関係上、うちの定置網と操業は同じ日までだろうと思っていた。私は28日が操業最終日なので、29日なら仕事が休みに入るので乗船が可能である。と言う事で最終日の乗船を頼み、諦めていた深海エビ漁にもう一度の乗船が叶う。今年はこれで3度目の乗船となる。普段は4回網を曳くのだが、今日は最終日と言う事で3回しか曳かないとの事。と言う事で朝もいつもより1時間遅く出港する。前日は時化で今日もうねりが残り、常に揺られながらの操業。3回操業するものの、エビ、魚共に不漁に終わる。普段沢山獲れるスミクイウオやハダカイワシ類も非常に少ない。今回は1個体だけが初採集。魚種は調べないとわからないが非常に状態が悪く、標本としてもどうかと思う程。今回も最終日の忙しい中、快く乗船させてもらい、本当に有難かった。来年もまた乗船したいが、何度乗れるだろうか。








今回初採集の魚



モヨウヒゲ



フウセンキンメ



アカムツ



カゴマトウダイ



ソコマトウダイ



ボウズカジカ



マルカワカジカ



ギンメダイ



ホウネンエソの仲間



ヒレタカフジクジラ



ゾウカスベ





アカムツ
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フエカワムキ

2020年12月26日 | 日記
 今日の夕方、いつも深海エビ漁に乗船させてもらっている船の方から電話が来る。初めて見る魚が獲れたとの事。以前に頂いたソコカワムキ(ブログ2020 8.21)に似ており、口が長いらしい。ベニカワムキの仲間にそのような魚がいたなと思いながら港へと急ぐ。港に着き、有難く標本を2個体頂く。見た感じ口が長いソコカワムキの様で実に面白い形をした魚である。頂いたこの2個体、同じ種のように思われるが、並べて比べると小さい個体は大きな個体に比べて背鰭軟条が赤く、尾鰭先端も黒い。別種も疑ったが、家に帰り調べると2個体共にフエカワムキであった。フエカワムキを調べてみると鱗食魚であると文献に記載されており、更に人間の右利き・左利きのようにこの魚にも左右性が存在するらしい。この左右性は他魚種の鱗食魚でも確認されており、捕食行動に利きがある事が報告されている。普段はこの口は上を向いているが触ってみると横にも動く。ただ、文献に記載されているように利き手があるらしく、片側にしか動かない。運よくこの2個体は利き手が左右違い、大きな個体は右側にしか動かず、小さな個体は左側にしか動かない。大きな個体は右利き、小さな個体は左利きのようである。深海の事でその行動は確認されていないと思われるが、このフエカワムキは魚の背後からそっと近づき、口先を横に向けて鱗を剥ぎ取って食べるのであろう。この長い口も獲物に背後から気付かれないよう近づく為の武器となるのだろう。その鱗食行動を水族館などで見てみたいものである。このフエカワムキが私にとって本当のクリスマスプレゼントとなる。






大きな個体は右側にしか動かず右利き



小さな個体は左側にしか動かず左利き



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クリスマスプレゼント?フサカサゴ科稚魚

2020年12月24日 | 採集
 今日はクリスマスイブ。朝の定置網ではまだ時間的に早いのかクリスマスプレゼントとなる魚は現われず。そして明日の海上は時化予報。「今夜行け」と言わんばかりに明日の仕事が休みとなる。と言う事で土曜日ではないがクリスマスプレゼントを求め、港へ夜間採集に行く。港に着くと既に風が吹いている。だが、海は透明度が良く、プランクトンが沢山集まっており、良い感じ。稚魚に的を絞り、いつものタモ網ではなくキンギョタモを構え、外灯の下に陣取り流れてくる稚魚を待つ。すると大きな胸鰭を動かす小さな稚魚を発見。掬い採るが小さ過ぎて何だかわからない。その後も何種か採集。そのほかツノダシも採集。みんな生かして持ち帰り、水槽に泳がし撮影。写真をパソコンで拡大して確認する。すると大きな胸鰭の稚魚はカサゴ系の体型。胸鰭の先端が黒いが鰭自体が透明な為、これが表側なのか裏側なのかわからない。この特徴や体型からこの辺りによくいるサツマカサゴの稚魚かなと思うがよくわからない。もう1種はカサゴによく似ており毎年現れるカサゴの稚魚かな。両種とももう少し特徴が出るまで飼育してみる事にする。更にもう1種も以前に採集したことのあるイソギンポの稚魚と思われる。クリスマスプレゼントとしてはちょっと物足りない気がするが、そんなに世の中甘くはない。



サツマカサゴ?稚魚



カサゴ稚魚?

*後日FBでこの「カサゴ稚魚?」もフサカサゴ科の稚魚であると教えて頂きました。ありがとうございました。


死んでしまったので標本撮影



イソギンポ稚魚?



ツノダシ
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オキイワシ再び

2020年12月22日 | 定置網
 今年の定置網漁も残り1週間を切る。この1週間で今年のブログを締め括れるような魚が獲れないかと期待する。定置網漁を終え帰港すると隣の定置網の方が珍しい魚が獲れたと持って来てくれる。見るとまたオキイワシである。オキイワシは2週間ちょっと前に反対側のお隣の定置網に入網し、標本用に提供頂き、ブログ(ブログ2020 12.5)でも紹介したばかりである。共に1個体ずつではあるが、うちの定置網を挟んで両隣で獲れた事になり、うちでは獲れずちょっとショックでもある。最近SNSなどでもこのオキイワシを見る事があり、そのような潮が来ているのだろうと察する。このオキイワシ、体型が平べったく細長いといった印象でイワシのようなサンマのような感じである。だが、調べてみるとプランクトン食ではなく、魚を襲って食べるらしい。よく観察すると鰓耙ではなく鋭い犬歯がたくさん並び納得である。今度は動画で魚を捕食する様子を見てみたいものである。


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今日も夜間採集

2020年12月19日 | 採集
 大寒波が到来してようやく12月らしい寒さとなる。今朝の海上は時化となり定置網漁は操業できず。急に寒くなり体がまだその寒さに対応していないので、今日は早めに切り上げる予定。港に着き海を覗くと直ぐにチョウチョウウオ類の幼魚が浮いているのを発見し採集。見るとフウライチョウチョウウオの幼魚である。直ぐにバケツに入れるが泳がない。泳がないどころか動かない。指で突いてみると既に死んでいるみたいである。海水温が低下し死んだのだろうか。元々フウライチョウチョウウオは死滅回遊魚である。この急激な海水温の低下が原因と思われる。冷やされているからか死んでいる魚とは思えない程状態が良い。そのほかサイウオの仲間を1個体採集するが、自分も死滅しないように早めに撤収する。


フウライチョウチョウウオ幼魚
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夜間採集

2020年12月12日 | 採集
 定置網漁は昨日本船をドックしたので操業なし。と言う事で今日はまだ魚に触れていないので、定置網漁の分までこの夜間採集でという思いで挑む。だが、今日は丁度干潮時に近く、引き潮ではあまり期待は出来ない状況。いそいで 魚を探す。すると丸っこい幼魚を発見し採集。スズメダイの仲間であることがわかるが小さくてよくわからない。生かして持ち帰る。その後はまたマツカサウオ幼魚を発見。写真にだけ収め放流。本当に今年はマツカサウオが多い。岸壁は期待できないので港内に降りて散策。すると今回も干上がった砂の上にアナゴの仲間を発見。恐らく昨年同じよう(ブログ2019 11.23)に見つけたオオシロアナゴと思われ、採集せずに水のある所まで運び放流。逃がせばすぐに砂の中に潜るのだが、何故干上がるまで砂に潜らないのか不思議である。結局散策するが目新しいものは発見できずに終了。家に帰り確保したスズメダイ類の幼魚を写真に撮り拡大して見る。オヤビッチャかシマスズメダイの幼魚だろうと思っていたが、何だか体全体が暗色っぽく、違う感じに見える。だが、横帯を見るとやはりオヤビッチャの幼魚と言ったところだろう。


マツカサウオ幼魚



オオシロアナゴ?



ヘダイかクロダイ属稚魚





オヤビッチャ幼魚?
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チゴダラ稚魚?

2020年12月05日 | 定置網
 今日は大学へオキイワシを持って標本登録へ行き、夜帰宅。だが、今日はまだ終わらない。土曜日なので恒例の夜間採集に行く。12月に入ったものの夜間採集時でもまだ寒くはない。海の中を覗くとプランクトンが沢山集まっている。これは期待できると一ヵ所で魚が泳いで来るのを待つ。すると頭の大きなオタマジャクシのような稚魚が体をくねくねさせながら泳いで来る。採集するが小さ過ぎて現場ではわからないが、今まで採集したことのない稚魚である事はわかる。持ち帰り水槽で泳がせて撮影。パソコンで写真を拡大して見ると、姿や体色、泳ぎ方からみてチゴダラの稚魚かなと思う。チゴダラは最近見なくなってしまったが、以前は定置網に入網していた。今日はそのほかタツノオトシゴ属の幼魚、サイウオの仲間、今年夜間採集や定置網でもよく見るマツカサウオの幼魚などを採集する。
*後日FBでヒメダラの稚魚と教えて頂きました。ありがとうございました。







ヒメダラ稚魚




タツノオトシゴ属幼魚



サイウオの仲間



マツカサウオ幼魚
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オキイワシ

2020年12月05日 | 定置網
 今日は定置網漁に出漁しようと準備をしたが、直前で突然風が吹いて来て海上は時化となってしまう。出漁を諦め帰宅。すると風が吹いて来る前に出漁したお隣の定置網の方から珍しい魚が獲れたと連絡を頂く。急いで市場へ行き、魚を受け取る。定置網や市場では今まで見た事がない魚であるが、見覚えはある。だが、その場では種名はわからず。家に持ち帰り調べると直ぐにオキイワシとわかる。オキイワシは珍しく、島の方では揚がっていそうだがひょっとすると県本土初記録ではと思い、更に調べる。すると先日大学へ行った時に頂いて来た図鑑「大隅市場魚類図鑑」にも記載されておりガッカリする。そういえば見覚えがあったのは、この図鑑に記載されていたからである。鹿児島県内でも我が薩摩半島側としては大隅半島側はちょっとライバル視しており、こちらでまだ確認されていない魚に対しては嫉妬感があり覚えていた。でも、これで嫉妬することは無くなった。でも、県本土初記録ネタとしても無くなってしまう。今日は土曜日であるが、一応大学の学生に連絡して大学へ走り、冷凍せずに写真を撮ってもらい標本登録してもらう。





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