お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

今季初!

2007年10月29日 | 定置網

 ここ最近、定置網でヒラアジ類が多く獲れ、種類も増えてきた。自分の所の定置網の水揚げが終わり、他の定置網で何か獲れていないかと水揚げ作業を覗いているとたくさんのリュウキュウヨロイアジの中に感じの違う魚を見つける。Ulua mentalis (Cuvier, 1833)である。マルヒラアジやリュウキュウヨロイアジによく似るが、下顎が太くしっかりとしているので区別がつく。昨年、定置網で見つけ、日本初記録種として先生が論文を作成し、来月発行の雑誌に投稿済みである。ただ、日本初記録種ではあるが既に標準和名は付いていた(ヒシカイワリ?薄ら覚え)。昨年は標本として確保しきらない程たくさん獲れた。この個体は今季初めて確認した。まだ標本として必要であり、さらにまだ未確認の種も現れる可能性が考えられるので、明日からいつも以上に目を光らせておかなければならない。ヒラアジ類が増えてきたので今年も未確認の種が獲れないかと今からワクワクしてしまう。
*後日、日本初記録種として標準和名ヒシカイワリと提唱されました。
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魚ボラ

2007年10月24日 | 魚ボラ

 今日は魚ボラの日。冷凍している素潜り採集で捕ったチョウチョウウオ類を体色が綺麗なうちにと思って持ち込む。そのほか本日定置網で捕れた魚も持ち込み標本登録する。持ち込んだ標本の個体数が多かったため、日付が替わらない内に終わるかなとちょっと後悔するものの、驚くほど早く作業が終了する。活動する部屋が広くなり、人数も増えて作業がしやすくなったからである。この調子だと年内の作業も捗りそうである。

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初入網

2007年10月23日 | 定置網

 今日は定置網でキュウセンフエダイの幼魚が捕れる。今月2種目の初入網である。しかし、キュウセンフエダイの成魚は市場で水揚げされているのを見たことがあり、さらにその個体の写真も撮ってある。水揚げされているところも何度か見たが、数は少ない。うちの定置網でもいずれ捕れるだろうと思っていたのだが長いこと掛かってしまった。ただ幼魚だったが・・・。しかし、市場で撮った写真は展鰭していないので、今回展鰭した写真を撮ることができ良かった。成長するにつれ、頭部は赤味を増し、体側は黄色味を一段と帯びて綺麗な体色になる。成魚の綺麗な写真を撮ることができるのは何時だろうか?
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テングチョウチョウウオ

2007年10月22日 | 定置網

 今日は揚場で漁獲物の選別作業中、テングチョウチョウウオを見つける。だが体はスレてボロボロであった。今日は魚が大漁であった為、それと一緒に船に積み込まれ、体がスレてしまったものと思われる。体色が本来ならもっと鮮やかであるのだが、なんだか薄い感じになってしまっている。今日は定置網にアオウミガメが混獲されていて、こいつも大暴れし網を破かれてしまった。魚を船に積み込む時、私はこの網の修復作業をしていた為テングチョウチョウウオを見つけることが出来なかった。恐らく本来なら鮮やかな体色であの大きさなら沖で見つけることができ、綺麗な状態で確保できたはずである。テングチョウチョウウオはうちの定置網ではこの個体が2個体目で1個体目を捕ったのは4年前であり、うちでは稀な種であるので大事な標本がスレてしまい残念である。ウミガメさえいなければ・・・。うちの定置網だけでなく、図鑑を見ると稀種となっている。しかし、この辺りのダイバーに話を聞くとたまに見かけるそうである。今度出会うのは何時であろうか?

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ボンボリカエルアンコウ

2007年10月19日 | 定置網

 今日は定置網でカエルアンコウが捕れる。この個体は全長で10センチ程ある。定置網で捕れるカエルアンコウはいつも幼魚ばかりで、このサイズは珍しい。標本用にとすぐに氷水に浸ける。するとエスカの先端が丸く見える。ボンボリカエルアンコウである。ボンボリカエルアンコウは探していた魚である。昔、まだイザリウオと呼んでいた頃、ボンボリイザリウオを知らなかった。昔の写真を見るとエスカも写るように撮ってはいたのだが、先端の形までは写真からは判別できない。ボンボリイザリウオを知ってから昔撮った写真を見るとエスカの先端が丸く見える個体もある。しかし、標本が無いので定かではない。今は水中に標本を入れて写真を撮るのでエスカの先端も写真からよく分かる。撮影後、標本用に冷凍保存する。
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魚ボラ

2007年10月17日 | 魚ボラ

 魚類学会年会、博物館特別展などがあり、今日は久し振りの魚ボラ。大学へ向かう前に魚ボラ活動中のメンバーに電話するともう少しで作業が終わるとの事。そこで、家の冷蔵庫内の標本を持って行く。到着するとすでに作業は終わっている。水産学部の学生2名が新たに魚ボラのメンバーに加わっている。活動する場所も広い教室に引越したので人数も増えればこれからの作業も捗りそうである。この前の素潜り採集時のチョウチョウウオ類やボロカサゴなどを標本登録。新人の二人が先ずは初心者向けの魚から同定する。

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水族館へ

2007年10月16日 | 定置網

 今日は定置網にマダラトビエイが3個体入網。今、京都の宮津水族館から飼育展示用のマダラトビエイの注文を受けている。3個体いるが、うち1個体は運ぶには大きすぎるのでそれ以外の2個体を確保。生け捕りにして水族館用の生簀に入れる。うちの漁協では全国の水族館に展示用の魚を搬出している。特にマグロ・カツオ類、サメ・エイ類の注文が多い。マダラトビエイは定置網で比較的によく捕れるエイで水族館での人気もあり、よく注文を受ける。体盤背面に青白色斑点が散在し、尾はむち状でとても長く、水槽内で泳ぐ姿はとても優雅である。マダラトビエイは尾の基部に棘を備えている。アカエイ科のように尾の途中に棘を備えていれば、尾をむちのように振り回せばその効果もありそうだが、マダラトビエイではどうだろう?多い個体は3本も備えているのだが、このようなところでは意味があるのだろうかとその昔思っていた。昔、水族館から注文を受け、小さな個体が捕れた時に網を使わず素手で取り上げた事がある。体は硬そうなので自分の体側に腹面を向け、棘のある背面を外に向けて行なえば刺される事はないだろうと思った。ところがそのように実行すると、あの硬そうな体盤は弓のように曲がり、棘は私の足にブスリ!沖から病院直行で2週間の入院となった。尾の基部に備えている方が体の筋肉を使い力強く棘を相手に刺す事ができる。アカエイ科の棘よりも殺傷効果は抜群であると思われる。それを体を張って体験し、納得する。
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定置網から

2007年10月13日 | 定置網
 今日は定置網でスジスズメダイが獲れる。毎年獲れるのだが数が少なく、1日で1~2個体程しか獲れたことがない。それが今日は10個体近く獲れる。この魚をよく観察すると特徴として体側に何本もの青いラインが入り、胸鰭の基底に1小黒斑が確認できる。だが、スジスズメダイのこの黒斑は検索図鑑には描かれていない。この胸鰭基底の黒斑が曲者で、これを頼りに見た目で判断するとオキスズメダイとなってしまう。正しく同定するには縦列鱗数を確認しなければならない。検索図鑑にはオキスズメダイは12~35、スジスズメダイは44~45となっている。正確な鱗数を調べるには顕微鏡を必要とするが、この個体を写真より数えてみると35よりは確実に多い。よってスジスズメダイとなる。最近は分布域もあてにならないのでダイビングでこの2種を判断するのは難しいのではないだろうか?
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素潜り採集から

2007年10月13日 | 採集

 10月は行事が多く、日曜日は全て埋まっている。季節も段々と秋らしくなってきているので、魚種が減らないうちにと仕事が終わってから素潜り採集に行く。今回の目的は前回時間切れで採集できなかったクロユリハゼ。海に入り目的の魚を探そうとするが華麗なチョウチョウウオ類に目が行ってしまう。まだ採集していないチョウチョウウオ類を見つけてしまったので、とりあえずこちらを採集。新たに2種採集でき、一応この場所で見たことのあるチョウチョウウオ類は全種採集できた。その後、また暗くならないうちにとクロユリハゼを探す。小さい個体だが見つけて採集する。そのほか、これまた前回採集できなかったテンクロスジギンポも全く同じ場所にいたので採集できた。今回の素潜り採集は目的の種を採集する事ができたので満足であった。
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ボロカサゴ

2007年10月11日 | 定置網

 今日は定置網でボロカサゴが獲れる。昨年、初入網という事でこのブログでも紹介した。その時は地べたに置いて撮影した為、その特徴を上手く表現できていない写真であった。最近は魚ボラで行なっているように水の中に標本を入れて撮影をしている。この撮影方法だと特に皮弁を持つ魚などではその様子が写し出され、その特徴がよく分かる。この皮弁を多く持つボロカサゴはまさに水中での写真撮影冥利に尽きる種である。だがこの魚、その反面撮影までにとても手間が掛かる。カサゴ類は脱皮をすることでも知られている。このボロカサゴも皮が剥け、それが水中だと余計に目立つ。だから水に入れる前にこの皮を取り除かなければならない。厄介なのはこの皮弁一本一本も皮が剥ける為、一段と手間が掛かる。しかし、苦労するもののこの皮弁一本一本まで写し出され、その特徴がよく分かる写真となる。
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ブリモドキ

2007年10月10日 | 定置網

 今日は定置網に大きなヒメイトマキエイが3個体入網。そのヒメイトマキエイと一緒に泳ぐ魚を見つけ掬う。大型魚を先導するように泳ぐパイロットフィッシュとして有名なブリモドキである。いつもなら水族館用に活かすのだが今回は標本用に確保。水族館でも大型魚を先導して泳いでいるのだが、脇役となってしまっている。よく見れば白黒のストライプで青み掛かりとても綺麗な魚である。じっくりと観察したい魚である。この魚、小さい魚ではあるが大型魚の泳ぎに負けないように尾柄部の隆起線がよく発達している。小さい体ではあるが体力がなければパイロットフィッシュとして務まらない。

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カモハラギンポ

2007年10月07日 | 採集

 昨晩は夜間採集に行ったものの、既に12時を過ぎていたにも関わらず港に大勢集まりワイワイとバーベキューをしていた為、採集を行なえなかった。そして今日は朝から集落の行事があり、家族で参加。夕方になり、ようやく時間が空いたので素潜り採集に行く。現場に着くと既に日が傾き、暗くなりかけている。今回は目が小さい網が手に入ったので、今まで諦めていた体の小さい種を主に狙う。まずは釣り採集でナガサキスズメダイに邪魔され採集できなかったホンソメワケべラをゲットする。じっくりと観察すると綺麗な魚である。そのあとカモハラギンポを見つけ、採集する。カモハラギンポは素潜り採集の時は必ず見つけていた普通種であるが、体形はニジギンポに似ているもののすばしっこくて採集できないでいた。今回ようやくゲットする。この魚、白い模様が海の中では光って見えて綺麗である。今日はそのほか、まだ採集していないテンクロスジギンポとクロユリハゼを見つけ、網で掬ったものの逃げられてしまう。そして日没になり、魚の姿が確認できなくなり終了。採集時間はわずか1時間半であった。短い時間ではあったが諦めていたカモハラギンポを採集できてホッとする反面、逃がした魚は悔いが残る。
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メガネツバクロ

2007年10月05日 | 定置網

 今日は定置網で眼の後方に乳白色斑のあるツバクロエイが捕れる。以前捕れた時に魚ボラの先生に調べてもらったところ、この個体はツバクロエイとは別種でメガネツバクロGymnura bimaculata(Norman, 1925)とわかった。台湾や中国でたくさん報告されている。ツバクロエイとは乳白色斑のほか、形態的な違いがあるそうだ。うちの定置網では昔から毎年数個体は捕れていて、生きたまま水族館に搬出した事もある。また、国内でもあちこちで確認されていて図鑑にもこのような斑紋のある個体もいると記載されている。しかし、未だに論文での報告が無い為、ツバクロエイとは別種として図鑑などに記載されていない。しかし論文報告は無いのだが標準和名は既に付いている。この個体は大きいが、今月から漁協の冷凍庫に魚ボラ専用スペースを借りる事ができたので冷凍保存し、いつか魚ボラで標本登録する予定。
*メガネツバクロはツバクロエイの新参異名であることが判明
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初入網!

2007年10月02日 | 定置網

 今日は定置網で見慣れない体色のニザダイ科の幼魚を見つける。その場で種名が分からない。しかし、特徴として背鰭と臀鰭の基底後端に1黒色斑があるので図鑑で調べれば分かるだろうと思っていた。検索図鑑を開くとすぐにこの黒色斑の事が載っていてコクテンサザナミハギと同定。分布は沖縄となっている。だが、ネットで検索すると伊豆などでダイバーにより確認されている。ところがである。検索図鑑を再度見るとその前で顎歯の事が載っていて、場合によってはナガニザとなる。これで分からなくなってしまった。しかしどちらにしても初入網である。体色や模様などからコクテンサザナミハギと思われるのだが、今度魚ボラで顕微鏡を使い顎歯を調べハッキリさせたい。
*後日、魚ボラでコクテンサザナミハギと同定されました。

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シマガツオ

2007年10月01日 | 日記

 今日は漁師さんから標本用にシマガツオ属の魚を頂く。先週も頂いたのだが、それは釣って死んでしまった個体。そのまま魚ボラに持ち込み標本登録済みである。そこでの同定結果はマルバラシマガツオであった。ただ、ちょっと自信なさそうであった。今回はこの時に釣って船に生かしておいた個体を頂いた。生きていたので水族館用に良かったのだが、船の活け間を使う事になり仕方なく〆られたのでこちらに回って来た(ラッキー!)。前回はそのまま魚ボラに持ち込んだので写真を撮れなかった為、今回じっくりと撮影。シマガツオというと自分の中では深海魚のイメージがあった。だがこの個体は夜間に表層で曳き縄によって釣られたとの事。シマガツオ類は夜間には表層に浮上するらしい。図鑑にも分布深度は表層からとなっていた。確かに定置網でも稀ではあるが捕れる事がある。表層で捕れるのであれば水族館でも飼育可能のような気がする。となれば水槽で泳ぐ姿も見てみたい。
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