お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

初めて聞く名 シロチョウマン

2023年12月27日 | 魚ボラ
 明日が今年の定置網漁最終日。今年最後の漁で何か見つかるかもしれないので明日の漁を見届けてから先日確保したホシエイの標本登録に大学へ行こうと考えていた。ところが今日の仕事終わりに今までに見た事のない深海魚を見つけ、魚体が弱く痛みそうで明日まで冷蔵で置くのも危ないし種名も気になるという事でこれから急遽大学へ走る事となる。ところが明日の定置網漁は中央市場の関係で深夜に出漁となる。今から大学へ走ると帰って来てから寝る時間があるのだろうかと気になるのだが、今年最後なので気張るしかない。大学へは何とかこの前の様な帰宅ラッシュに巻き込まれることなく到着。これで少しは時間を稼いだ感じである。ホシエイを標本登録してもらう。更に見た事のない魚を調べてもらうと自分では見た感じ尾部へ向かい細長くなっているのでソコダラ科かと思っていたのだが、ソコダラ科ではなくアシロ科であった。背鰭が1基しかなく更に腹鰭が糸状であることを確認していたにも関わらず間違えていた。このゴツゴツとした感じの頭部は鳥冠状の突起があり、そこからシロチョウマン属となる。シロチョウマンと聞いてこれが魚種名だなんて全く思えない程自分としては初めて目にする耳にする属名魚種名である。シロチョウマン属は検索図鑑には国内種は4種が記載されており、どの種もここの海域での記録はないみたいである。地味な魚ではあるが珍しそうである。綺麗な状態で標本登録出来、無理してでも大学まで来た甲斐があった。魚ボラの先生とも長く会っていなかったので先生の部屋へも行き話をして急いで帰宅。急いでいたのでシロチョウマン属の魚が結局どの種に同定されたのか聞かずに帰り急いで就寝。焦らずにまた来年大学へ来た時に同定結果を聞けばそれでよい。
*魚ボラでシロチョウマンに同定されました


ホシエイ


シロチョウマン属
魚ボラでシロチョウマンに同定されました




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モノノケトンガリサカタザメをお届け

2023年12月13日 | 魚ボラ
 今日の定置網漁で確保したモノノケトンガリサカタザメ。いつもの魚ボラの標本ではなく以前に頼まれていた水産学部の先生に届ける予定である。水産学部からは標本としてではなく魚食として頼まれている。水産学部の先生は今までに多くの魚種を食べて来ており、この個体も追加種となる。だがこの個体、前回魚ボラに標本登録した個体よりも更に体表に小斑点が散在しており珍しく、更に今日はアザハタを持ち込む予定でもあるので魚ボラ用に標本登録した方が良いのか悩む。だが、サイズが大きい過ぎるかもしれないが以前から頼まれていたうえ、これを逃すと次回は何年も先になる可能性もある。更にもう1種オニヒラアジの幼魚も頼まれており、それも丁度確保することが出来ており水産学部に運ぶことにして、先生に連絡する。漁協へ行き確保したモノノケトンガリサカタザメを車に何とか積み込み大学水産学部へ走る。鹿児島市内に入ると帰宅ラッシュに巻き込まれ、到着予定時間を大幅に上回ってしまう。先生に届けるも遅くなってしまい学生が少なく手伝う事に。色々な角度から撮影してから食べる用に身を取る為に捌く。捌くというよりも大きいので解体である。この個体は雌個体だったので前回の様に胎仔を抱えていないか気になっていたが、この個体からは卵の様なものが出て来ただけであった。この後、水産学部キャンパスを出ていつもの魚ボラのキャンパスへ走る。魚ボラの日であったが到着が遅くなってしまい既に終了していたものの、アザハタを標本登録してもらう。遠く福岡から来て頂いている魚ボラのメンバーを駅まで送り帰路につく。今回のモノノケトンガリサカタザメは普通の個体とは特徴が違ううえ大き過ぎたので水産学部の先生にはやっぱり普通の個体の方が良かったのではとちょっと後悔。今後手頃なサイズが獲れればまた確保しようと思う。
モノノケトンガリサカタザメ

車に詰め込めたがギリギリ

鹿大水産学部





あちこちから撮影




いつもの魚ボラが行われている鹿大郡元キャンパスへ

アザハタ

アザハタを標本登録

鹿児島中央駅
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アキイロイケカツオを標本登録

2023年11月27日 | 魚ボラ
 今日は大学へアキイロイケカツオを持ち込む予定である。2日前の定置網漁でアキイロイケカツオが3個体も獲れたので休み挟んで今朝の漁でも獲れるだろうと思っていたのだが、イケカツオはいたもののアキイロイケカツオの姿はなく、やはりまだ稀少種という事で考えが甘かったかも。仕事が終わり標本を持って鹿児島へ向かったのだが所用に時間が掛かってしまい、大学に到着したのが18時前となってしまう。大学内には入れたもののまだ魚ボラの先生達は海外出張中。19時には大学の門が閉まってしまい出られなくなるので1時間程しか滞在出来ない状況である。残っている学生達に持ち込んだアキイロイケカツオを標本登録してもらう。結局時間はあっという間に過ぎ、展鰭してもらったところで滞在時間は終了。明日は時化で仕事は休みになったので時間はあるものの、標本写真の撮影までは立ち会うことが出来ずに帰路に就く。



同じ日に獲れたヒシカイワリ



アキイロイケカツオ


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有難い標本寄贈 シロブチハタ

2023年11月24日 | 魚ボラ
 昨夜、県の水産の方から画像が送られて来た。甑島の漁師の方から見たことのないハタが獲れ、何だかわからず交雑種ではとの事。画像を見るとハタではあるが体側に散在している小斑が黒だったり黄色やオレンジ色だったりしていて私も何だかわからない。今、魚ボラで甑島の魚類図鑑を作成中なので学生が知っているかもと思い画像を送り聞いてみる。すると学生もわからず今度はハタ科を研究していた魚ボラOBの元へ。するとシロブチハタと返って来る。更にまだこの個体があるという事で学生に確認すると魚ボラの先生から確保依頼が来たという事で標本確保の交渉をする。するとその漁師さんが今日鹿児島に出て来るそうで水産学部の先生の所まで届けに来る事になる。今、甑島の魚類図鑑作成中だが標本を入手し辛い状況である。これはチャンスと思い、丁度時化で仕事が休みなので私がその標本を受け取りに行き、甑島の漁師さんとも会い、今後の標本収集の話でも出来ればと考え提案。そして今日、私が水産学部へ行く事になる。先ずは水産学部へ行き、渡しに来るという先生と会い直ぐに漁師さんも来るが急いでいるみたいで少しだけ話して魚を頂く。結局詳しくは話すことが出来なかったが、また珍しい魚が獲れた時には連絡を頂けるようなる。その標本を持ち水産学部を出て、今度はいつもの研究室へ行く。頂いた魚を見るとシロブチハタそのものである。送られて来た画像は獲ったばかりの生鮮時のもので興奮状態だった時の体色みたいでありわからなかった感じである。この個体を標本登録してもらい帰路に就く。
久し振りの水産学部

頂いた標本シロブチハタ

鹿大郡元キャンパス


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イバラタツを標本登録へ

2023年07月15日 | 魚ボラ
 今日、イバラタツを頂いた事で大学へ持ち込もうかどうか迷うが昨日のヤッコエイも冷凍せずにそのまま冷蔵中なので大学へ行こうと考える。今日大学へ行くのであればイバラタツは氷水には浸けずに生きた状態で持ち込めば良かったとちょっと後悔。今日は土曜日なので入口には守衛さんがおらず大学内に入ることが出来ないので魚ボラの先生に連絡してから大学へ向かう。学生に門まで来てもらい大学内に入る。するといつも教室へ行く入口が工事中で入ることが出来ない。学生に裏口を案内されそこから中に入る。連絡せずに来ていればどこから入ってよいのかわからず土曜日で助かった。イバラタツとヤッコエイを標本登録してもらう。

いつもの入口が工事中で入れず


イバラタツ

ヤッコエイ


以前に持ち込んだボウズモンガラが固定後のホルマリン抜き中
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キビレキントキを標本登録

2023年06月07日 | 魚ボラ
 昨日市場で見つけたキントキダイ科の魚。自分で調べ、消去法でキビレキントキとなったが自信がない。SNSに投稿するとキントキダイ科の研究をしている魚ボラの学生から連絡があり、キビレキントキとの事。という事で薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)にまだ未掲載な魚種なので綺麗な写真を撮ってもらいたいので大学へ走ることに。今日は水曜日なので丁度魚ボラの日である。だが、現在家にストックしている冷凍標本はなく、このキビレキントキ1個体だけを持ち込み標本登録してもらう。図鑑が刊行されてから1年ちょっと経つが、未だに少しずつではあるが新たな魚種が増えている。
鹿児島大学へ

鹿児島大学

キビレキントキ



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研究交流会

2023年05月24日 | 魚ボラ
 先日魚ボラの先生から講演会開催のメールを頂く。この前アオブダイを頼まれたアメリカからの研究者の方々が急遽講演をしてくれる事となり、今日は大学へと向かう。時間的に間に合うかどうかであったが、幸い仕事は早めに終わったので間に合った。今回はお二人の方が講話をしてくれるそうで、「進化的モザイク、および進化的革新と統合の間の相互作用」、「魚が教えてくれること~海洋生態系の基礎研究が社会にもたらす価値とは」とちょっと自分ではどのような内容かもわからないような演題であり、更にアメリカの方なので当然英語での講話となるのだが、今回は同時通訳の方を頼んでいるとの事でそこがちょっと楽しみであった。研究者の方と通訳の方が並んで講話が始まる。研究者の方が少し話すと直ぐに通訳の方の通訳が入り、英語がわからないうえ難しい演題だったにもかかわらず私でも非常にわかり易い講演となった。講演後、魚ボラの先生に聞いた話では専門用語の多い生物学の講演であるが通訳の方は普通の方らしく、この通訳の話を頂いてから物凄く勉強したそうである。この通訳の方の努力のおかげで大変素晴らしい講演となり、本当に感謝である。






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頼まれ物をお届けに アオブダイ

2023年05月20日 | 魚ボラ
 現在、研究に使うブダイ類の調査・採集にアメリカ人の研究者6名が鹿大に来ている。早速採集に行ったものの採集出来なかったらしい。という事で魚ボラの先生からアオブダイの採集依頼が来ていた。うちの定置網にはアオブダイは滅多に入らず、市場では内臓にパリトキシンという毒性が蓄積されている恐れのある関係で水揚げは出来ないので標本を確保するのは難しい。だが、町内の外海の小型定置網にはよくアオブダイが入り毎回逃がしているみたいである。そこでその方に標本用にアオブダイを確保依頼していた。そして今日アオブダイを確保して来て頂いた。早速魚ボラの先生に連絡して大学へと走る。しかし、今日はアメリカの研究者の方達は学生を連れて屋久島へ採集に行っており不在との事。更に他の学生も大学の調査船で採集に行っており不在。就活で一人だけ学生が残っているだけであった。でも、幸いこの個体は研究者にそのまま渡すので標本登録作業はせずに冷凍庫へ入れ終了。先生曰くアメリカの研究者はこのアオブダイの骨を調べるみたいである。その内容も気になるが英語はわからないのでアメリカの研究者が不在でも関係なかった。

アオブダイ


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遂に標本確保 マダラエイ

2023年04月27日 | 魚ボラ
 今日は定置網漁で大きめのマダラエイが入網。大きめと言っても船のクレーンを使う程ではなさそう。標本用に確保するかどうか悩む。標本用に確保する為の条件として尾部も棘も切り落とされていない完全体である事と容器に入れて一人で車に積むことが出来、更に当日大学へ持ち込む事が出来る事である。3ヶ月前にも同じくらいのサイズが獲れたのだが、その時は用事がありスルーしている(ブログ2023 2.15)。今日も夜に会議があり大学へは持ち込めそうにない。だが、どこかで妥協しないと標本確保は出来そうにない。明日なら大学へ走れそうなので、取り敢えず船の中に生かしておき明日大学へ持ち込もうと考え、今日は船の活け間で泳がせておく。ところが今朝は定置網漁の操業時間がいつもよりも早い時間に行った為、仕事の終わる時間も早かった。更に明日は夕方から奉仕作業がある事を思い出す。どちらかというと明日よりも今日の方が時間に余裕があり、今からなら大学へ走っても夜の会議に十分間に合いそうなので急いで船に標本を取りに行き、大学へと走る。幸い大学に到着後もまだ2時間程は時間に余裕がありホッとする。あとは学生達に洗浄や撮影、標本登録をしてもらい、遂にいつもサイズがデカ過ぎてスルーして来たマダラエイを標本登録することが出来た。そして色々とバタバタはしたが夜の会議にも間に合い、今日は事なきを得る。
マダラエイ



鹿児島大学






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悩ましいナルトビエイを標本登録へ

2023年01月17日 | 魚ボラ
 今朝の定置網で獲れた体表一面にマダラ模様のあるナルトビエイ。今日は仕事が終わるのが遅くなる為、それから大学へ走ると帰りが遅くなってしまうので持ち込むかどうか悩んだのだが、明日は本船の工事が終わっておらず出漁出来ないので出勤時間が遅くなる。それなら帰りが遅くなっても大丈夫なので大学へ持ち込むことにする。仕事が終わり標本を車に積んで急いで家に帰り、大学へ向かうが、それでも家を出る時は既に19時を過ぎている。午前様を覚悟して大学へと走る。大学に到着後、早速学生達が集まり撮影に入る。撮影は意外と困難で体表の光の反射を取り除くのが難しく、何人もの学生が黒い板を使って光が当たるのを抑えながらの撮影となる。私も現地で昼間に撮影した時も体表が光ってしまい、このマダラ模様が一面に広がっている様子がうまく写らなかった。白バック黒バック、背面裏面と撮影を終え終了。期待していた国内未記録種の可能性も魚ボラの先生が調べてくれて、そのような種は存在しない事がわかり、現時点ではナルトビエイと同定される。撮影後に帰路に就くが、思った通り午前様となる。今後、DNA解析などにより別種とならないか期待したいところである。









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悩ましいクロホシマンジュウダイを標本登録

2022年12月17日 | 魚ボラ
 昨日標本用に頂いた体側の斑紋が違う悩ましいクロホシマンジュウダイ。昨日は仕事が遅くなり大学へ行けなかったので、今日標本を持ち込む予定。今日の定置網漁はいつもの出漁時間では風が吹いて来て、海上は時化の予報。その為、夜中に出漁し操業。水揚げを終えるといつもの出漁時間である。そこで仕事も終了となる。今から大学へ走ってもまだ誰もいないと思うので、もう一度寝たりゆっくりして午後から大学へと向かう。研究室に入ると魚ボラの元学生が来ており、久し振りのご対面。近況や色々と情報を伺う。標本の方は1日経ってしまったがまだ眼の色は綺麗でホッとする。この個体について学生に聞くとやはり中国やベトナム方面に生息しているタイプらしい。今後の研究によりこの個体と日本に生息しているタイプとが別種となった場合、この個体が学名通りで普通のクロホシマンジュウダイとなり、日本に生息する体側に小斑点が散在する普通のタイプの方が学名は無くなり未記載種となるのではとの事。そうなるといつも見るクロホシマンジュウダイの標準和名はどうなるのだろうか。色々と気になるが、とにかく先ずはDNA解析の結果次第となりそうである。

クロホシマンジュウダイ




魚ボラOBが来鹿。錦江湾で自分用の採集

エリアカコショウダイ

エリアカコショウダイ
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イトヒキヒイラギを標本登録

2022年11月25日 | 魚ボラ
 昨日お隣の定置網で得られたイトヒキヒイラギ。今回の個体は本土初記録になりそうなので大学へ早く持ち込み綺麗な標本写真を撮ってもらいたいところであったが、昨日は仕事が遅くなり大学へ行くことが出来なかった。その為、今日持ち込むことを考えていたが、今日も仕事がハードだったうえ遅くなってしまう。だが、標本の眼の色が悪くなる前に写真を撮ってもらいたいので大学へと走る。もう既に暗くなってしまい、ヘッドライトを点けて出発。丁度帰宅ラッシュと重なり、鹿児島市内に入ると所々で渋滞に巻き込まれてしまう。大学正門に着いた時は既に守衛さんもおらず、学生に連絡して大学構内に入れてもらう。今日大学へ行く予定だったので、イトヒキヒイラギの他に確保した魚も持ち込む。ヒイラギ科魚類は背鰭・臀鰭軟条の鰭膜が弱い為、鰭を立てるのは大変であり、自分ではもう老眼で良く見えず出来ないのだが、綺麗に展鰭してもらう。自分の任務も終え、疲れた体にムチを打ち帰路に就く。
所々で渋滞に巻き込まれてしまう

鹿児島大学

イトヒキヒイラギ


アカネキントキ

ヒブダイ

ロウニンアジを上回る新たな魚拓が

研究室内に新たなシンクと洗濯機が



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頂き物を標本登録へ

2022年10月13日 | 魚ボラ
 昨日、お隣の定置網の捨てられる魚の籠の中から小さなマルコバンを発見。見た感じ背鰭、臀鰭が短くひょっとしたらと思う。だが、背鰭は少し黒色を帯び、普通のマルコバンかなと思う。マルコバンなら急いで大学へ持ち込む必要も無く、サイズが小さいので冷凍でもいいのだが、今日はたまたま鹿児島に所用で行く予定である。今日その他に持ち込む魚が見つからなければ冷凍して大学へは寄らないつもりであった。水揚げも終わり市場でもこれといった魚は見つからない。ところが知り合いの漁師さんから釣れたとヤミハタを3個体頂く。更に別の知り合いの漁師さんからも電話が入り、標本を確保しているとの事で受け取りに行く。見るとアカオビハナダイである。2人の漁師さんからご丁寧に新鮮な標本を頂いたので大学へ行く事にする。鹿児島へ行き、所用を済ませるともう辺りは暗くなって来ている。鹿児島大学へ行き、標本登録をしてもらう。マルコバンはやはり普通のマルコバンと同定。今日はお二人の漁師さんから標本を確保して頂き、御協力が本当に有難く、つくづく感謝である。
マルコバン

ヤミハタ

アカオビハナダイ雄個体

鹿児島大学

マルコバン

ヤミハタ
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残念!モノノケトンガリサカタザメ

2022年08月29日 | 魚ボラ
 今日の定置網漁で3個体のモノノケトンガリサカタザメが入網(ブログ2022 8.29)。そのうち2個体がいつもとは違う感じで胸鰭中央にある黒斑が無く、胸鰭を中心に体全体に小斑点が散在している。3個体中1個体がその様なら変異かと思うが2個体がいつもとは違う感じなので別種を疑う。そのうち1個体を標本用に確保する。確保したものの今までで一番大きなサイズであり、車に積めるだろうかと不安になる。車に積める一番大きなプラケースに入れても全長の3分の1以上が入らず、腹鰭から後は飛び出た状態。車に積もうと後ろの座席を倒して積んでも飛び出た部分が入らず、結局助手席も倒し、そこに尾鰭を入れ込み、尾鰭を横目に大学まで運転する事となる。鹿児島市内に入ると信号によく引っ掛かり、隣に並んだ車や市電から車の中を覗かれないかと余計な心配をしながら大学へ向かう。大学に着くと幸い学生が多くおり、みんなに標本処理室まで運んでもらい、標本登録してもらう。標本撮影も終わり、ホルマリン固定する為に容器に入れるのだが大きいので標本を真っ二つに切る。すると大きな硬い内臓が2つ出て来る。胃袋にしては変で少し切れ込みを入れると小さな眼が見える。胎仔である。切り開くと沢山出て来て全部で11個体も入っていた。その胎仔を見るとしっかりと胸鰭中央に黒斑がありモノノケトンガリサカタザメである。これで別種の疑いも否定された感じでガッカリ。この胎仔11個体も標本登録となる。
車に積める最大のプラケースに入らず

尾鰭は助手席へ

鹿児島大学





胸鰭中央に黒斑はなく、体には小斑点が散在


11個体の胎仔が出て来る

モノノケトンガリサカタザメの胎仔


胎仔も標本登録
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今月2種目の日本初記録種チャイロウツボ(新称)

2022年06月24日 | 魚ボラ
 今日、魚ボラの学生からメールで論文出版の報告が来る。日本魚類学雑誌早期公開版で日本未記録種Gymnothorax pseudoprolatus Smith, Hibino and Ho, 2018の論文が出版され、標準和名チャイロウツボ(新称)と提唱されました。今年の3月に以前にうちの定置網で採集したウツボの仲間の論文のチェック依頼が学生から来て、やり取りしていた。その標本の採集日が2009年となっており、13年も前の標本である。その論文を読むと国内未記録種であり、更に驚くことに台湾産ホロタイプ標本1個体に基づき新種記載されており、原記載以降追加標本は報告されておらず、この個体が2個体目となるとの事である。この個体を採集した当時の魚ボラではオナガウツボと同定され標本登録されていたみたいである。その採集日当時に自分で撮影した写真をチェックするがウツボ類の写真は見つからず、恥ずかしい事に自分でもこのチャイロウツボを確保したことすら覚えていない。当時、ウツボ類は難し過ぎて自分では全く同定しようとはせず、獲れたら同定は魚ボラ任せという事で標本の確保だけをしていた気がする。このチャイロウツボもこの和名のようにただ茶色く模様など何の特徴もないウツボの仲間である。その為か当時は記録用に写真にすら収めておらず、ブログにも載せていなかったのだろう。この標本を見つけてくれた学生のお陰で自分でも意識していなかった思いもよらぬ所から日本初記録種が見つかり、嬉しい限りである。しかも先日の日本初記録種ナンヨウオキアナゴ(ブログ2022 6.3)に続き、今年というか今月2個体目の日本初記録種である。どちらも著者に入れて頂き学生達には本当に感謝したい。現在鹿児島大学総合研究博物館には17万にも及ぶ魚類標本が登録されている。その中に未記載種や国内未記録種がまだまだ埋もれているのだろう。

チャイロウツボ(新称)
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