お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

初入網 ホシダルマガレイ

2023年08月17日 | 定置網・魚ボラ
 今日は定置網漁を終え市場で水揚げ。私が市場内で水揚げ作業をしていると船で選別作業をしていた人が私の所に来てこんなのいたよと魚を渡される。見るとダルマガレイ科の魚である。更に無眼側には無数の暗色帯がある。このような無眼側に暗色帯がある種は今までに獲れたことはない。種名はわからないがこの時点で定置網で初入網である。だが、この暗色帯は見覚えがある。以前にカチドキダルマガレイ(当時国内未記録種)(ブログ2012 5.30)が見つかった時にダルマガレイ科の論文を調べていた時に記載されていたのを覚えている。もちろん魚ボラの標本用に確保する。家に帰り当時見た論文を見ようと探すが見つからない。なので検索図鑑で調べるとホシダルマガレイが該当する。だが、検索図鑑の図では無眼側の暗色帯は胸鰭の直ぐ後ろから始まっている。この個体の暗色帯は中央から後方に向けて現れているのでこの図とは違いホシダルマガレイとは別種なのか悩む。ネット上でホシダルマガレイの画像検索をするが暗色帯のある個体の画像は見つからない。これはもう魚ボラに任せるしかない。今日は偶然鹿児島に所用で行く予定なので鹿大へ持ち込む事にする。所用に時間が掛かってしまい大学へ入れるかどうか微妙な時間となってしまうが、ギリギリ入ることが出来た。先生は不在で学生に見てもらうとホシダルマガレイと同定。やっぱり検索図鑑の図は当てにならない。遅くなってしまったが標本登録してもらい帰路に就く。
ホシダルマガレイ

ホシダルマガレイ無眼側


19時前ギリギリに鹿大に滑り込む





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やっと出会えた ボウズモンガラ

2023年06月17日 | 定置網・魚ボラ
 今日は定置網漁を終え市場で水揚げ作業をしていると、お隣の定置網の方が珍しい魚と言って持って来る。見るとボウズモンガラである。ボウズモンガラは探していた魚であり見て直ぐにやっと出会えたという感じであった。ボウズモンガラは紅海・アラビア海のみに分布している魚であったが、3年前に魚ボラの元学生が日本にも分布している事を研究により確認し、標準和名が提唱された魚である。国内では石川から山口の日本海側と高知・鹿児島とちょっと飛び地の分布であるが恐らくその中間にも分布しているのではないだろうか。鹿児島でもお隣の大隅半島では既に確認されており、同じ年に発行された大隅市場魚類図鑑にも掲載されている。見た目はアミモンガラそのものなのだが全身に白色斑がないだけのように見え、最初はアミモンガラが成長に伴い白色斑が消えただけではと疑った位である。こちらの薩摩半島では初確認であり初確保となる。なので薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)にもまた1種追加となる。という事で土曜日ではあるが綺麗な写真を撮ってもらいに鹿大へと走り標本登録してもらう。
ボウズモンガラ

鹿児島大学




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初入網 タイワンタマガシラ

2023年05月09日 | 定置網・魚ボラ
 ゴールデンウィークの連休も終わり昨日からまた定置網漁の操業であったが、昨日は時化で出漁出来ず。今日はいつもよりも早い時間に出漁し、まだ夜明け前の暗い中での操業となる。漁獲した魚を本船に積み込む時に選別台を通すのだが、船の明かりだけではまだ暗くよく見えない。そのような状況ではあったがオーラが出ているかのような魚が目に付く。取り上げると今までに見た事のない魚である。勿論種名はわからないが顔付きがアカタマガシラに似ている。取り敢えず確保する。操業が終わり携帯でアカタマガシラを調べてみる。するとタマガシラ属の中にこのような魚は見つからない。ひょっとして日本未記録種ではないかと疑い興奮する。次にタマガシラ属の上のイトヨリダイ科を調べる。すると直ぐにこの個体と同じような写真が見つかり種名も判明。帰港するまでの少しの時間で種名が分かってしまい、更に和歌山・高知・愛媛・沖縄と各地で見つかっている様で日本初記録種ではない事がわかり残念。でも定置網初入網であり初確保となる。薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)にもまだ掲載していない種なのでまた種数が増え嬉しい。魚ボラの先生に連絡すると先生は不在であったが丁度ヨコシマタマガシラ属を研究している学生がいるというので大学へ走り標本登録してもらう。また、先日の夜間採集遠征(ブログ2023 5.5)で採集したハゼ類も生きた状態で持ち込むことが出来た。今日は夜に地元で会議があったのだが、朝が早かった分仕事も早く終わり、大学へ行っても余裕で帰宅して、会議にも間に合う。

タイワンタマガシラ







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31年振りのご対面 ケショウフグ

2023年02月02日 | 定置網・魚ボラ
 今日は定置網漁で長年探していたケショウフグが入網。ケショウフグは私がこの仕事を始めて間もない頃定置網漁で獲れ、写真にだけは収めていた。だが、それからは全く出会う事はなかった。その時の写真を見ると1992年2月なので実に31年振りである。ケショウフグの写真はその1枚しかないので薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)にもそれを載せている。31年前の写真の個体を見ると体側には黒い斑点が散在しているのだが、今回の個体は白い斑点で全体が覆われており、フグなのでまさかの交雑種を疑ってしまう。だが、ネットで調べると体の模様は様々で一応はひと安心。だが、鰓周りなどに円状の模様があり、ちょっと心配である。一応珍しいフグであり、綺麗な写真を撮ってもらいたいし、サイズが大きかったので大学へと走り標本登録してもらう。今日はまた、今年初のフリソデウオも入網し標本用に確保したので一緒に持ち込む。
ケショウフグ


31年前に獲れたケショウフグ

今年初のフリソデウオ










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遂に念願の標本確保 ホホジロザメ

2022年12月12日 | 定置網・魚ボラ
 今日は定置網漁で網を絞って行くと体の太いサメが泳いでいる。尾柄を見ると平べったく、背が黒っぽいのでホホジロザメだと確信。ホホジロザメにしてはサイズが小さく標本用に確保したいのだが、他のサメ類とは全くパワーが強く狂暴で、網を噛めば破いてしまう。だからいつもは暴れる前になるべく早くデッキ上に揚げ、頭部に包丁を入れ動きを止めなければならない。ところが今回はウルメイワシが大漁。ウルメイワシは弱く、網を絞ると直ぐに転んで沈んでしまう。その沢山のウルメイワシが沈んだ中にホホジロザメも入り込み、出てこない。ウルメイワシを船に積み込んでいるとその中に混ざってホホジロザメも上がって来る。既に瀕死状態でそのままにしておいても暴れずジッとしている。結局ウルメイワシのお陰で体に傷を入れることなく綺麗な状態でホホジロザメを確保することが出来た。ホホジロザメは今までに何度かうちの網に入網したり市場に揚がっているが(ブログ2012 2.1)(ブログ2019 1.23)、今回の個体は今まで見た中では一番小さく、標本用に確保するならこれを逃せば次はないだろうという位である。魚ボラの先生に連絡し仕事終了後、車に積み込み大学へ持ち込む。写真を撮り、体をブツ切りすることなく大きな容器でホルマリン固定し標本登録終了。ホホジロザメの全身標本を登録でき、魚ボラの先生にも喜んでもらえた。少し早めのクリスマスプレゼントとなる。
ホホジロザメ入網


車に積み込み大学へ

鹿児島大学



ホホジロザメ


尾柄部のキール

尾鰭




腹部からの撮影(バランスが微妙)


TL160㎝ちょっと

ホホジロザメ
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