お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

アカシュモクザメ

2009年04月29日 | 定置網

 最近は定置網での漁獲量が減っているのだが、そんな中サメ類は売るのに困る程たくさん獲れている。今、水族館から飼育展示用のシュモクザメ類の注文を受けているので、今日は定置網で小さなアカシュモクザメが獲れたので活かす。シュモクザメ類は頭部が特徴的であるが、その両側に張り出した眼をいかに傷つけないかが水族館用として扱うのに重要である。その為、見つけたらなるべく他の魚と混ざる前に取り上げるのが理想である。さらにタモ網で掬えば眼に網が当たるのでタモ網を使わずに、泳いでいるところを素手で背鰭を掴み海水を張った活け間に入れる。あとは船を蓄養する生簀まで走らせる。活け間はサメが泳げる位のスペースがなければならないし、当然そこでも眼が壁に当たらないように注意しなければならない。何かと面倒であるがこれがシュモクザメ類の飼育が難しい要因である。水族館でのシュモクザメ類の展示は綺麗な状態で生簀に蓄養できるかが重要なので、まず第一歩は自分達漁師次第である。
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レプトセファルス幼生

2009年04月27日 | 定置網

 今日は水揚げ中に漁協定置網の人がちょっと興奮気味に珍しい魚が獲れたと教えてくれる。こちらもワクワクしながら待っていると冷蔵庫から持ってきてくれる。見ると何かのレプトセファルス幼生であった。私もレプト幼生は現物を見るのは初めてである。漁協定置の人もレプト幼生を知らなければ驚いた事であろう。しかもこの個体は全長が15センチ以上もある。こんなに大きくなるという事は知らなかったので私はこの大きさに驚いた。持ち帰り駄目もとで同定を試みる。もう20年程前であるが、稚魚図鑑が出版されると聞いて幼魚図鑑と勘違いし中身も見ないで購入してしまった。送られてきた図鑑を見て掲載されている稚魚のサイズが小さすぎてあまり役に立たず後悔した。結局トビウオ類の稚魚を調べるのに使っただけでボロボロになった魚類検索図鑑とは違い、今でも新品状態である。今回こそはと思い図鑑を開くが尾鰭が丸いのでウナギ目という事は分かった。だがその後の検索表から稚魚ならではの専門用語が並び、ここで終了。結局我が家の稚魚図鑑は宝の持ち腐れ状態である。あとはいつものように魚ボラに任せる。レプト幼生は冷凍に耐えられるか不安であるが、忙しくてなかなか大学へ行く時間が無い。生の状態で持ち込みたかったが、今回は仕方なく冷凍保存する。
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2日続けての初入網 ベニカエルアンコウ

2009年04月25日 | 定置網

 今日は定置網で漁獲中にカエルアンコウの幼魚を見つける。が見失ってしまう。これからの時期カエルアンコウの幼魚はよく獲れるので、それほど気にはしていなかった。帰港後、一応選別作業中に探し、見つけ出す。手に取ると普通のカエルアンコウとは感じが違うので魚ボラの標本用に確保する。持ち帰り検索図鑑で調べるとベニカエルアンコウであった。ベニカエルアンコウは昨年自ら素潜り採集で標本を確保している(ブログ2008 6.15)。ところが定置網では今までに獲れた事がなく、体長4センチ程の幼魚ではあるが今回が初入網となる。ただのカエルアンコウの幼魚だろうと見捨てなくて良かった。カエルアンコウの仲間は種が多いが標本用に確保している種はまだ少ない。これから獲れ出すカエルアンコウの幼魚を全て調べれば案外と違う種も見つかるのではないかと今から期待してしまう。
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スジコバン

2009年04月25日 | 定置網


 今日は定置網でウミスズメを見つけたので掬うとスジコバンの幼魚が吸着していた。実は今月の半ば、たまたまウミスズメを掬ったらスジコバンの幼魚が吸着していた。スジコバンはうちの定置網では捕れた事がなく初入網であった。という事で魚ボラ用の標本も未だ確保していない。ところが丁度かごしま水族館から小さなコバンザメ類の注文を受けていた。最近かごしま水族館には個人的に大変にお世話になっていたので、また捕れるだろうという事でこの個体は水族館行とした。そして今日またウミスズメを発見し、見るとスジコバンの幼魚が着いていたので掬い上げ確保する。今回の個体は前回の個体よりかなり小さい。たまたま水族館の職員がこの期間内に県内でスジコバンを採集したが死んでしまったので、魚ボラの標本用に確保してくれたそうなので、今回も水族館に連絡する。すると個体が小さ過ぎるので今回は遠慮するとの事。という事で今回の個体は魚ボラ行となる。
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初入網 ヒカリイシモチ属

2009年04月24日 | 定置網

 今日は定置網の水揚げ作業中、雑魚の選別をしていると真っ黒い小さな魚を見つける。パッと見て直ぐにヒカリイシモチ属の一種と分かる。昨年のやはり今の時期に漁協の定置網で獲れて魚ボラの標本用に頂いている(ブログ 2008 5.1)。うちの定置網では一応、初入網となる。漁協の定置網に先を越され、先月初入網だったヨロイウオと同じパターンである。前回の個体は魚ボラに持ち込むも結局ヒカリイシモチ属spとなった。このヒカリイシモチの仲間は各地で様々なタイプが確認されているようで、魚ボラの先生曰くそれぞれが別種の可能性があるとの事であった。今回の個体は前回の個体と体色は同じであるが、写真を見比べると全体的に見た目が違うように感じる。前回の個体は背鰭がやや後方に位置しているのか面長に見えるが、今回の個体はいかにもテンジクダイ科と言うように全体が整っている感じがする。今回の個体も魚ボラではspとなるかも知れないが、標本をたくさん集め、いつの日か種を確立させたい。でも1年に1個体となれば何年後となる事やら。
*後日、ヒカリイシモチと同定されました。
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ハナビラウオ

2009年04月21日 | 定置網

 今日も漁獲は少なく、他所の定置網船が帰港する前に水揚げが終わってしまう。水揚げ後、網の修復作業をしていると他所の定置網の人が水揚げを終え、同じく網の修理に来る。漁獲量を聞くと珍しい魚が獲れたから冷蔵庫に入れてあるとの事。仕事が終わり取りに行くとハナビラウオと思われる魚であった。これからクラゲが定置網に入網する時期になるが、そのクラゲと一緒に獲れるのがハナビラウオをはじめとするエボシダイ科魚類である。昨年もやはり今の時期にハナビラウオをブログで紹介している(ブログ、2008 4.24)。ところが例年は小さな幼魚から獲れ出すのだが、この個体は既に体長で20センチ程あり、いつも最後に獲れるサイズである。定置網には毎年クラゲが入網するのだが、潮の影響か水温の影響か毎年網に入る量が大きく異なる。クラゲがたくさん入ればエボシダイ科の魚もたくさん獲れる。クラゲが少なければ当然魚も少ない。エボシダイ科魚類の標本収集をするにはクラゲがたくさんいた方がいいのだが、このクラゲ、定置網にとってはとても厄介者である。定置網漁業を仕事としている者としてはやはりクラゲには遠慮してもらいたいところである。
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厄介な魚

2009年04月20日 | 定置網

 最近は定置網での漁獲量がめっきりと減り、毎日面白い魚に出会えない。そう思っているとこの魚が獲れたらどうしようと以前から考えていた魚が今日獲れてしまう。チゴダラかエゾイソアイナメである。この魚は毎年獲れていたのだが、幸いブログを始めてからは獲れなくなった。幸いというのは以前からこの魚が獲れたらブログでどちらの名で紹介しようかと悩んでいた。チゴダラとエゾイソアイナメを2種と考えるか、シノニムと捉えるか結局のところどうなっているのかよく分からない。検索図鑑で形質を調べれば臀鰭が63軟条以上あるのでチゴダラとなる。だがチゴダラの生息水深は深く、それだけをみれば浅いところに生息しているとされるエゾイソアイナメとなりそうである。だが、今月は深海魚のフリソデウオ類も定置網で獲れているので水深は関係ないようにも思う。あと、眼の大きさでは吻長と同じくらいあるのでチゴダラとなる。また、体色は写真では淡褐色となったが、獲れた時点では濃褐色であった。とてもややこしいので一番簡単なのはどちらかがシノニムとなってくれる事なのだが。
*2019年にエゾイソアイナメはチゴダラの新参異名となると報告されました。
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時期到来 フリソデウオ

2009年04月06日 | 定置網

 今日は水揚げ終了後、沖での作業を行なう。作業を終え帰港すると漁協の定置網の人から電話が来る。今日の漁でフリソデウオの幼魚が獲れたらしい。標本用に取ってあるので納屋に置いてあるから持って行ってくれとの事。納屋に置いてある・・・?。不安が脳裏を過ぎる。冷蔵庫ならともかく納屋となるとそのまま放置されている恐れがある。急いで取りに行くとしっかりと氷水の中に入れてあり、ひと安心。有難く魚ボラの標本用に頂く。フリソデウオは先月にも獲れ、この個体で今期2個体目。昨年も4月から獲れ出し(ブログ 2008 4.12)、特に昨年は例年に無くフリソデ科魚類が多かった(ブログ 2008 5.1)。今年も幸先良い。この先何個体獲れるだろうか。できれば今年はフリソデウオ科魚類の中でも標本としてまだ登録していない種を確保したいと願う。
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オシャレコショウダイ

2009年04月03日 | 定置網

コロダイは幼魚から成魚へと成長に伴い体側の模様が変化することはよく知られている。そんなコロダイはうちの定置網でもよく獲れる。魚類図鑑を見るとコロダイによく似たオシャレコショウダイという魚がいる。形質を調べれば同定はできるのだが、見た目が非常によく似ている。しかもコロダイは成長段階で体側の模様が変化するのでややこしい。実際に定置網で獲れたり市場で見て、直ぐに分かるものなのかと思っていた。ひょっとしたら既にオシャレコショウダイを見ていて気付いていないのかも知れないとも思っていた。そして今日、食用の魚を送るように頼まれていて水揚げする魚を物色していると、オシャレコショウダイを見つける。コロダイと区別が付くかと思っていたのに一目瞭然であった。今日はコロダイはまったく水揚げされておらず見比べた訳でもない。パッと見こんなに違うものかと思った。とりあえず頼まれていたので確保する。家に帰り詳しく調べるがオシャレコショウダイが珍しいのかどうかがよく分からない。頼まれていた人に送るか魚ボラの標本用にするか悩み、とりあえず魚ボラの学生に電話してみる。するとまだ標本として登録していないとの事。という事で今回は魚ボラ用に確保する。撮影するとコロダイによく似た写真になってしまう。この魚、見た目と写真とでは違うように感じる。標本用に確保はしたもののまた大き過ぎて冷蔵庫に入らない。標本用となると体全体を海水に浸けた状態で冷凍しなければならなく、このサイズとなると結構大変である。このオシャレコショウダイはコロダイと比べるとかなり肉厚で美味しそうである。標本用に確保したものの食べてみたい気にもなってしまう。
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