お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

今月2種目の日本初記録種チャイロウツボ(新称)

2022年06月24日 | 魚ボラ
 今日、魚ボラの学生からメールで論文出版の報告が来る。日本魚類学雑誌早期公開版で日本未記録種Gymnothorax pseudoprolatus Smith, Hibino and Ho, 2018の論文が出版され、標準和名チャイロウツボ(新称)と提唱されました。今年の3月に以前にうちの定置網で採集したウツボの仲間の論文のチェック依頼が学生から来て、やり取りしていた。その標本の採集日が2009年となっており、13年も前の標本である。その論文を読むと国内未記録種であり、更に驚くことに台湾産ホロタイプ標本1個体に基づき新種記載されており、原記載以降追加標本は報告されておらず、この個体が2個体目となるとの事である。この個体を採集した当時の魚ボラではオナガウツボと同定され標本登録されていたみたいである。その採集日当時に自分で撮影した写真をチェックするがウツボ類の写真は見つからず、恥ずかしい事に自分でもこのチャイロウツボを確保したことすら覚えていない。当時、ウツボ類は難し過ぎて自分では全く同定しようとはせず、獲れたら同定は魚ボラ任せという事で標本の確保だけをしていた気がする。このチャイロウツボもこの和名のようにただ茶色く模様など何の特徴もないウツボの仲間である。その為か当時は記録用に写真にすら収めておらず、ブログにも載せていなかったのだろう。この標本を見つけてくれた学生のお陰で自分でも意識していなかった思いもよらぬ所から日本初記録種が見つかり、嬉しい限りである。しかも先日の日本初記録種ナンヨウオキアナゴ(ブログ2022 6.3)に続き、今年というか今月2個体目の日本初記録種である。どちらも著者に入れて頂き学生達には本当に感謝したい。現在鹿児島大学総合研究博物館には17万にも及ぶ魚類標本が登録されている。その中に未記載種や国内未記録種がまだまだ埋もれているのだろう。

チャイロウツボ(新称)
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申し訳ないクラゲウオ幼魚

2022年06月18日 | 定置網
 現在うちの定置網は大掛かりな網や側の入れ替え作業中。更に2泊3日の強行出張から昨日帰ったばかりである。今日は天候が悪く沖での作業は難しそうなので体を休めるうえでも仕事が休みとなる。家でゆっくりしていると出漁したお隣の定置網の方から標本用の魚を確保したと連絡を頂く。標本を受け取りに急いで港へ行く。確保してもらった魚を頂くと、指先に乗る位のとても小さな魚である。よく見るとクラゲウオの幼魚である。クラゲウオは今までに幼魚をいくつか確保しているが、今回の個体が今までで一番小さい。よくこの小さな魚を見つけたものだと感心してしまう。このサイズの標本はないのでとても有難いのだが、このサイズを冷凍保存すると解凍時に腹部が確実に割れてしまうと思われる。だが、今日は休養という事で大学へは走りたくない。折角確保してもらって申し訳ないのだが、今回は腹部が割れるかもしれないが冷凍保存する事にする。

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オオモンカエルアンコウ

2022年06月08日 | 定置網
 今日は定置網の網を揚げる作業。網をデッキ上に揚げて行くとオレンジ色の大きな塊が網に絡んで揚がって来る。見て直ぐにオオモンカエルアンコウだとわかる。思い掛けない獲物に驚く。これは魚ボラの標本用に確保したいので網から外し確保する。今日は網揚げ作業で疲れたので大学へは走りたくはない。だが、サイズ的に大きいので家の冷凍庫で冷凍保存出来るかどうか心配である。持ち帰り冷凍庫に入れてみると何とか入れることは出来た。これで大学へ走らずに済み、ひと安心。でも、冷凍庫のスペースをかなり使ってしまうので今後の標本確保が心配である。




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大きなシロシュモクザメ

2022年06月07日 | 定置網
 今日は定置網漁で巨大なシロシュモクザメが入網。船のクレーンを使わないと揚げられない大きさである。クレーンを使い吊るのだが暴れてなかなか揚げることが出来ず大変。やっとデッキ上に揚げるもまだ暴れて危なく、頭部と尾をロープで縛りようやく落ち着く。この状態を見たことがあるが、4年前にも同じように大きなシロシュモクザメを獲っている(ブログ2018 4.28)。当時のブログを見ると暴れなかったみたいだが、今回は暴れてとても苦労する。大きなサメなので内臓と取り除くのだが、これも前回と同じように仔魚が出て来る。最終的に24個体出て来る。1個体のみ魚ボラの標本用に確保し、あとは海に放す。今回は頭部も落とし水揚げ。頭部無しで77キロあり、恐らく100キロ超えのシロシュモクザメであったと思われる。












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トビウオ類幼魚を標本登録

2022年06月04日 | 魚ボラ
 昨日、研究者の方から気になる情報を頂いた。しかも、現在その事で鹿大に標本調査に来ているとの事。という事で今日は大学へ行く予定。以前から冷凍が厳しいトビウオ類の幼魚を生きた状態で持ち込みたいと考えていた。運良く今朝の定置網漁でトビウオ類の幼魚を数種生きた状態で確保する事が出来た。更に市場でアカネキントキも確保したので仕事終了後、大学へと向かう。ただ、仕事が遅くなってしまい、大学に到着するとその方は帰る準備をしており、車で駅まで送りながら話をする。その後、大学へ戻るも今日は土曜日なうえ、まだ時間が早いので来ている学生が少ない。申し訳ないがその少ない人数でトビウオ類の幼魚などの標本処理・登録をしてもらう。トビウオ類の幼魚は最初、真上からの撮影用に展鰭し、撮影後、今度は真横からの撮影用にまた展鰭しなければならず、更に小さな個体の為いつも以上に時間も掛かり大変である。自分でも数年前までは自宅でやっていたが、今では目が見えず小さな個体はもう出来ないでいる。夕方になれば学生がもう何人か来るかと思っていたが、結局人数は増えず、最後まで少ない人数で処理してもらい本当に申し訳なく思う。

トビウオ類の幼魚



鹿児島中央駅



















アオチビキ幼魚


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アカネキントキ初確保

2022年06月04日 | 定置網
 大学にお客さんが来ているという事で今日は大学へ行く予定である。大学へ行くので何か持ち込もうと思い、今朝の定置網漁では頼まれているトビウオ類の幼魚を生きた状態で確保する。帰港し水揚げ作業中、お隣のツボ網の方がキントキダイ科の魚を水揚げしようとしていた。見ると尾鰭は湾入しておらず、よく見るホウセキキントキではなさそうである。更に今まで詳しくは認識していなかったミナミキントキも今では認識出来(ブログ2022 5.2)、それでもない。となると消去法でこの体型や鰭などの色彩からアカネキントキとなる。アカネキントキは自分では今までミナミキントキと混同していて、いまいちよくわからず同定するのを諦めていた。今回、この個体を見てピンと来てアカネキントキだろうと思い、魚ボラの標本用に確保する。今回アカネキントキは初確保なので本来なら家に帰って展鰭して簡単にでも写真に収めたかったのだが、お客さんが午後には帰ってしまうという事で鰭立てした状態での写真は諦める。とにかく急いで大学へと走る。

アカネキントキ


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レプト幼生で日本初記録 ナンヨウオキアナゴ(新称)

2022年06月03日 | 魚ボラ
 昨年の9月に深海エビ漁の方からアナゴ科のレプトセファルス幼生を頂いた(ブログ2021 9.6)。レプト幼生といってもそれは体だけで頭部は成長している非常に面白く、謎な個体であった。そのレプト幼生を魚ボラの学生が研究し、形態的・遺伝的と両面の特徴から日本ではまだ未記録のオキアナゴ属魚類Congriscus maldivensisのレプトセファルス幼生であると同定し、本日、魚類学雑誌早期公開版で出版され、新標準和名ナンヨウオキアナゴ(新称)と提唱されました。当時は全く知見や論文等が見つからず、種までの同定は難しそうで迷宮入りかと思われたが、研究してくれた学生のお陰で解明され、国内未記録種という事でとても嬉しい結果となる。更に有難いことにお魚友達の有名な方からはオキアナゴ属の別種でこの個体の変態過程が進んだ状態の写真など情報を頂き、オキアナゴ属のレプト幼生が頭部と尾部から変態していく事が解り、頭部だけが成長している疑問も解明することが出来た。そして何よりこの個体を深海エビ漁操業中の忙しい時に確保し、とても丁寧に扱い綺麗な状態で持ち帰って来てくれた事で真相が明らかになったのでとても感謝している。今回は種同定が出来た事で標準和名を提唱することが出来たのだが、少しは変態が進みサイズも大きいのだがレプト幼生という事はまだ仔魚である。仔魚で標準和名を提唱するとは珍しいパターンではないだろうか。これも遺伝子解析が以前よりも手軽に行えるようになったからではないだろうか。

ナンヨウオキアナゴ(新称)








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間に合わなかったテンジクガレイ

2022年06月02日 | 市場
 今日は市場にテンジクガレイが1個体揚っていたので、魚ボラの標本用に確保する。テンジクガレイは定置網で獲れ、ここでは普通種である。だが、自分では気付いていなかったのだが、今までに魚ボラ用の標本を確保していなかったのである。昨年、大学へ行った時に魚ボラの学生がテンジクガレイを研究対象にしているとの事で確保依頼を受けた。その頃、市場には連日テンジクガレイが揚がっていて、その日にも揚がっているのを見ていたので、明日、遅くても数日中には確保出来ると思っていた。ところが翌日からテンジクガレイは市場から姿を消し、今日まで揚がることが無く確保することが出来なかった。その学生も3月には大学を卒業してしまい、標本を渡すことが出来ず申し訳なく残念でならない。実はこのように注文を受けると何故か急に手に入らなくなる現象がよくある。標本に限らず特に水族館からの注文では頻繁である。秋から春に毎日数個体獲れるコモンフグだが、水族館から注文を受けた途端獲れなくなったのには本当に驚いた。今後、このような事が無いように標本用に確保していない魚を今一度洗い出し、覚えておかなければならない。

テンジクガレイ


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