お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

最終日にシッポウフグ

2019年12月28日 | 定置網
明日から漁協は正月休みに入るという事で、今日は今年最後の定置網漁の操業である。網を起こすとシッポウフグを見つけ、慌ててタモ網で掬い確保する。シッポウフグは定置網に入る数が年々減少している。更に全国的に漁獲されないのか、生息数が少ないのか珍しいらしく、私のブログへの問い合わせが今までに数件あったフグである。今までは毎年4月・11月前後に定置網に入網していたのだが、ここ近年ではこの時期以外に獲れることが多くなっている。シッポウフグもミステリーサークルを作る同じシッポウフグ属のアマミホシゾラフグのような産卵床を作るのではという仮説も浮上し、しものせき水族館や千葉県博の研究者も興味を示し、協力できればと思っている。今日確保した個体は船の中に活かし、あと数個体確保したいのだが、今日は今年の最終日で明日から1週間の休みに入る。船の中に活かしても船が動かなければ中の海水が入れ替わらず死んでしまう恐れがある。だが、そうするしか方法はなく、冬なので海水温が低いのが唯一頼みの綱である。あとは生き延びてくれと祈るばかりである。
 
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サンタさんからのプレゼント マテアジ

2019年12月25日 | 定置網
 今日は定置網漁で網を起こすとマテアジを発見。1個体のみ入網。久し振りの嬉しいご対面となる。マテアジは国内では稀種である。1962年に三重県津市の魚市場から得られた1個体の標本に基づき日本から初めて報告されたが、日本の沿岸域で漁獲されたかは不確かで、更にその後一度も日本産の標本に基づく記録は無く、日本の沿岸に分布する可能性は低いとされていた。その後、2003年に日本からの確実な記録として,沖縄県八重山諸島から1個体が報告され、更にその後、2005年にうちの定置網でも1個体獲れ、当初はまだ今の魚ボラの先生は鹿児島大学にはおらず、北海道大学の研究者の方に標本を送り、日本におけるマテアジの3番目の記録として報告してもらった魚である。そして更に翌年には魚ボラの先生も鹿児島大学に赴任され、私もそこで魚類ボランティアを始め、丁度その年の秋にマテアジが各定置網で漁獲され、先生に促されてマテアジが多獲した事をまとめ、報告書を南紀生物に初投稿したので、私にとってマテアジはとても思い入れのある魚である。その後、2013年を最後に姿を見なくなってしまい、今回は6年振りのご対面となる。今日はクリスマスという事で私にとっては嬉しいクリスマスプレゼントとなった。
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標本登録

2019年12月16日 | 魚ボラ
昨日の深海エビ漁で得られた標本を登録しに、今日は鹿児島大学へ行く。初採集のトンボイヌゴチやムラサキヌタウナギなどの標本登録をしてもらう。今回は標本調査で琉球大学から学生が来ており、ボラの研究をしている学生から面白い話を伺うことができた。今まではボラにあまり興味が無かったので、自分にとっては収穫であった。魚ボラの学生も主力メンバーが何人も抜けてしまい心配していたが、標本処理・撮影・登録と今回も今まで通り流れるように作業が進み、新しい学生達に受け継がれ安心した次第である。今後も頼もしい魚ボラの学生達にお世話になって行くことであろう。
アンコウ
*後日、Lophiodes mutilus メダマアンコウに再同定されました。

マルカワカジカ


トンボイヌゴチ


ムラサキヌタウナギ


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今年3度目の深海エビ漁

2019年12月15日 | 採集
日曜日の今日は予定が入らなかったので、昨日深海エビ漁の乗船を頼んでいた。今年はこれで3度目の乗船となる。深海エビ漁は12月末日までで今後の日曜日は予定があり、今年最後の乗船となりそう。今回も前回と同じ海域での操業。今回は学生はいないので自分で標本を収集する。明日大学へ持ち込む予定なのだが年末なので控えめに収集する。今回も4回操業し数種の魚種が初採集。その中にはムラサキヌタウナギがいたが、ムラサキヌタウナギは底曳網では定番な魚と思っていたが、この船の人達は初めて見たそうである。今回は控えめにしたものの、結局はクーラー一杯もの標本を頂いてしまう。船の方々には今年は3回も載せて頂き、誠にありがとうございました。来年はまた7月からである。来年は何度乗船できるだろうか。
ノコギリザメ


ニホンヤモリザメ


マルカワカジカ


トンボイヌゴチ


ボウズカジカ


ミドリフサアンコウ


アンコウ
*後日、Lophiodes mutilus メダマアンコウに再同定されました

ソコマトウダイ


カガミダイ


マルヒウチダイ


カタホウネンエソ


フウリュウウオ属

ムラサキヌタウナギ


沢山の標本を頂きました


コメント (4)
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増え続けるサクヤヒメジ

2019年12月13日 | 市場
 今日は市場で定置網漁の水揚げ後、他の定置網の水揚げ状況を見に行くと、お隣の定置網船がまだ水揚げ作業中。魚が選別され、残された雑魚の中を見るとサクヤヒメジの姿を発見。更にその雑魚の中を探すと10個体ものサクヤヒメジが見つかる。まだ水揚げ作業も中盤であり、この後も待っていればまだ多くのサクヤヒメジが出て来ると思われる。だが、自分も仕事に戻るのでこれ以上見ていられないのが残念であるが、最終的にどのくらいの個体数が混獲されていたのか気になる。数年前にここの海域の一番北側の道の駅にサクヤヒメジが沢山パックに入って売られていて驚いた。15年前に初めて見つかり8年前に新種となったサクヤヒメジ。新種の魚とは未だに稀少種であるのが当たり前であるので、サクヤヒメジは例外で珍しいパターンである。自分としては一般的に普及してもらいたいと願っており、徐々に近づいている感じになって来た。だが、個体数が増えて来ても未だに雑魚扱いである。ここを打破しないとサクヤヒメジを一般の人にも浸透させるのは難しいだろう。

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残念なマオナガ

2019年12月13日 | 定置網
 今日は定置網漁の操業中、ロープに絡まってオナガザメの仲間が揚がってくる。サイズが小さかったのでいつものニタリだろうと思っていたらマオナガである。オナガザメの仲間は広い場所でないと泳げないのか、よく定置網に入るニタリも網を絞っていくと途中で転んでしまう。今回のマオナガも何らかの状況で網の中で転んでしまい、ロープに絡まったと思われる。ニタリは毎年数個体は入網するが、マオナガは何年かに1個体入るかどうかでここでは非常に珍しい。しかも入ったとしても船のクレーンを使わないと揚げられない程の大きな個体ばかりで今回の個体はいつものニタリ程のサイズで小さく非常に珍しい。ニタリは魚ボラの標本用に確保しているが、マオナガの標本は腹から取り出した胎児を確保しているのみ(ブログ2009 3.5)で親魚は大き過ぎてまだ確保できていない。今回の個体は珍しく小さいので標本用に確保したいところではある。だが、見た目は綺麗なものの、かなり腐敗が進んでいるらしく、臭った匂いが広く漂っている。この個体を港に持ち帰ったら周りに迷惑で、更にこれを車に積んで大学まで走ることを想像したら車や運転に支障をきたすのは必然である。という事で勿体ないが今回も標本用に確保するのは見送る事に。せめて胎児がいないかと思い確認すると雄個体であり、本当に残念でならない。

コメント (2)
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