お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

フライング?

2007年12月28日 | 日記

今朝、地元新聞を見るとイトウオニヒラアジCaranx heberi (Bennett,1830)の記事が載っている。これは昨年、うちの定置網で捕れたアジ科魚類の日本初記録種のうちの1種である。そして今月31日に日本動物分類学会の国際学術誌「Species Diversity」に論文が掲載され、そこで標準和名イトウオニヒラアジが提唱されている。このイトウオニヒラアジのイトウとは魚ボラの先生(論文著者)が私にちなんで付けて下さったものである。そういった経緯があり先日既に新聞社の取材を受けていた。そして、新聞に掲載されるのは学会誌が発行されてから(来年)と思っていた。ところが発行前の今日、新聞に掲載され驚いた次第である。論文はレフェリー審査を通過しているので問題ないと思われるのだが、もしも何らかの理由で発行が中止されれば標準和名はまだ確定しない。新聞の記事は新鮮さが命ではあるがこれはフライングではないだろうか?漁師はみんな朝が早いのでまだ新聞を見ていないだろうと思っていたが、今日の水揚げ時に会う人会う人から新聞を見たと声を掛けられた。みんな喜んでくれたので良かったのかな。



今年は最後の最後、年末にこのようなかたちで終えることができ思い出に残る、一生忘れない年となりました。M先生、命名ありがとうございました。今年は狙っていたアジ科魚類の日本初記録種を捕ることはできませんでしたが、来年はアジ科に限らず標本を捕りまくろうと企んでおります。特に標本未登録種を主に狙っていきたいと考えております。来年は何魚種採集できるかな。
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初入網

2007年12月25日 | 定置網

 今日は我が定置網で今まで捕れたことの無い模様のウツボの仲間が捕れた。年末にきて初入網である。これで今年の初入網は何種になったのであろうか(忙しくて調べる時間なし)。このウツボ、見た目にはニセゴイシウツボかなと思うのだが如何だろうか?標本用に確保はしているのだが、まだ船の中で泳いでいる。標本を冷凍する時は海水に浸けてしているのだが、この個体は大きいので大変と思い、つい生かしてしまった。後で考えると魚ボラ時に生かしたまま持ち込むのも大変。となると、魚ボラに行く直前に〆て、クーラーには入らないのでゴミ袋にでも入れて持ち込むしかない。あと問題は大学まで車で1時間は掛かる。冬ではあるが車内を冷房するか、窓を全開にして標本を冷やしながら走らなければならない。ウツボ類は大きいうえ粘膜が凄いので標本登録は大変。そこまでして持ち込んだとしてもみんなから嫌がられそうである。
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魚ボラ

2007年12月19日 | 魚ボラ

 今日は久し振りに魚ボラに参加する。いつものように夕方からの参加であった。活動している大学の教室に着くと、机の上には以前に沖縄から送られてきたフサカサゴ科の魚が並べてあり、みんなで頭を抱えていた。検索図鑑や魚類学雑誌などを使って同定作業をしているがどの個体も難しい。フサカサゴ科魚類の分類学研究者でもある先生は出張中で不在であった。先生の論文を見ながら同定するも聞いた事の無い「何とか棘」とか「この窪みってどこ」など普段は使わない名称ばかりで同定以前の問題となってしまう。結局ウルマカサゴ、イヌカサゴのみ同定ができ、そのほかの標本は再同定という事でとりあえず標本登録のみを行なう。先生不在時にフサカサゴ科魚類の同定をするなんて無謀であったような・・・。でも、確か沖縄から送られてきたフサカサゴ科魚類に新種がいると先生が言っていたような記憶がある。
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オオニベ

2007年12月18日 | 定置網

 今日は水揚げをしていると隣の定置網の漁獲物の中に全長50センチに満たない1キロ程のニベ科の魚を見つける。オオニベによく似ているので確保する。見た目ではオオニベをそのまま小さくしたような感じ。ニベ科魚類は種類が多いので持ち帰り同定する。尾鰭に違和感があるもののオオニベとなった。オオニベはここの市場には毎年水揚げされており、全てが10キロ以上、大きな個体では30キロくらいある。だが今までに幼魚・若魚といった個体が水揚げされているのを見かけた事がなく、定置網で獲れた事もない。今回見つけた個体は自分が探していたサイズでちょっと興奮し、値段の事など考えずに即購入してしまった。どれくらいの値が付いたかまだ分からないが小さいので大丈夫であろう。今までに小さなサイズは獲れなかったのだが、ここ鹿児島の隣、宮崎では全国で初めて種苗生産に成功し、種苗放流が盛んに行われたり、養殖も行なわれており、東国原知事が宣伝をしてはいないが宮崎県の冬の旬の魚に選定されている。そのため宮崎では魚影が濃いのか小さな個体も確認されている。今までに大きな個体しか獲れなく標本として確保できないでいたオオニベであったが、今回魚ボラ用に標本として確保できホッとした感じである。次はジンベエザメにマンボウ・・・。
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市場便り

2007年12月12日 | 定置網

 今日は久し振りに市場を見ることができた。だがあまり面白い魚が水揚げされていない。活魚を見に行くとブダイ科の魚が目に付く。非常に大きく全長が50センチをゆうに越えている。青や緑・紫と派手な体色で鱗が一枚一枚ハッキリしていて錦鯉のようである。見た目にはよく獲れるヒブダイの雄かなと思うのだが、こんなに大きな個体は見たことが無く分からない。調べてみたいが標本用としても大きすぎる。この市場に水揚げされるブダイの仲間は種類が少ないので自分も調べた事があまりなく、種類をよく知らない。おまけにブダイ科魚類の形質はほとんど同じで胸鰭軟条数に背鰭前方鱗数が少し違うくらいである。さらに雌雄や幼魚成魚間での体色も違う為、市場に揚がっている個体を見てその場で同定は難しく、家に持ち帰って詳しく調べなければならない。そのような事から種類数がここでは少ないのはある意味救いでもある。だが逆に多くの種を見てみたい思いも多いにある。だが、色々なブダイの仲間が市場に揚がっていても見落としてしまい、後で写真を見て後悔する事になるのは目に見えている。
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ヨロイウオ

2007年12月10日 | 定置網

今日は定置網の漁獲物を水揚げに帰港すると直ぐに漁協の定置網の人に呼び止められる。案内され冷蔵庫へ行くと中に変わった体形の魚が入っていた。最初はへコアユ?と思ったのだがへコアユには黒色縦帯があったよなぁと思う。この個体には黄色いラインがある。自分がへコアユの事を良く知らず、近縁種がいるのかも分からなかった。家に持ち帰り検索図鑑で調べ、ネットで写真を確認して判明。ヨロイウオである。この魚の存在をはじめて知る。分布域は和歌山県串本以南となっているのだが、ネットで見た写真は海外でのダイバーの写真や水族館での飼育展示個体の写真ばかりである。その姿からダイバーにとっては格好の被写体となりそうであるが国内でのダイバーの写真が見つからない。ひょっとして国内では珍しい種であるのかもしれない。この個体を見つけてくれた漁協定置の人に感謝!!

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ミナミハコフグ

2007年12月08日 | 定置網

今日は定置網でミナミハコフグが捕れる。ミナミハコフグはうちの定置網では10年以上前に1個体捕った事があるだけで今回捕れたこの個体は2個体目となる。また、他の定置網や市場ではまだ見つけたこともない。ミナミハコフグの分布域は和歌山以南である。ここ南国鹿児島で捕れても不思議ではない。捕れそうでなかなか捕れなかった魚である。だからやっと2個体目が捕れたにも関わらずうれしさはそれ程でもない。また、この個体は頭部や尾鰭にある小黒点が極端に少なく、ミナミハコフグの特徴がよく表れていない。さらに体の幅が広すぎて家での撮影方法では綺麗な写真が撮れない。良い事といったらまだ標本として確保できていなかった事と今週ブログネタが無かった事くらいである。このミナミハコフグに対して悪口ばかり書いてしまったが、決して歓迎していない訳ではない。
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気になっていた魚が判明

2007年12月02日 | 採集

 以前から気になっているヒメジの仲間がいた。素潜り採集時に見つけたのだが採集できないでいた。体色は薄紫色で模様は無く、尾柄部にオレンジ色の斑紋がある。そのオレンジ色の斑紋がよく目立つ。図鑑やインターネットを見てもそのようなヒメジの仲間は見つからなく、新種か初記録種ではと思っていた。顔つきからウミヒゴイ属のように見えるが、体つきは幅が薄く体高も低くどちらかというとヒメジ属のようにも思える。ハッキリさせるためには採集して標本を調べるしかない。今日は予定が無かったので採集に行く。そのヒメジを目撃した場所を探すが見つからない。広い範囲探すとようやく2尾で泳ぐヒメジを見つける。だがちょっと深い。そこまで潜れても採集までは難しいと思い、浅いところまで出てくるのを待ちながら追尾する。オレンジの斑紋が目立つので追尾しやすいのだが一定の範囲から動かない。時間ばかりが過ぎるのでこの個体を諦め、他の場所を探す。結局それからは見つからず、夕方5時のサイレンが聞こえてきて海中が暗くなる。今日は無理と諦め帰ることにする。帰り際に浅場で暗い中、オレンジ色の斑紋が目に付く。そのヒメジの幼魚を見つける。意地で何とか採集する。海中で思わず「ヨッシャー」と叫んでしまった。ワクワクしながら家に持ち帰り、調べるとマルクチヒメジと同定できてしまう。マルクチヒメジは図鑑では体色が赤や黄色の個体ばかりであったが、ネットで調べたら同じような体色の個体も見つける。この個体も写真を撮るときは体色が赤っぽくなった。魚を上から見ていたので分からなかったが、尾柄部の斑紋は背面に鞍状の斑紋であった。種を同定できてしまったが、マルクチヒメジは分布域が琉球列島となっている。定置網でも捕れた事がないので良かったかな。何はともあれ疑問だった魚が判明したので、これで年を越せそうである。
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