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サバイバル五か条

2011年10月11日 20時24分51秒 | Weblog
どういう状況であろうと絶望してはいけない。

今、世の中では自分の身の置きどころを見失い、心の病に罹っている人がたくさんいます。様々な人間関係や、夫婦や親子などの家族関係においても、どういうふうに関係を築いていったらいいのか皆目わからなくなり、いつしかうつ病になっている……、そういう人が確実に増えてきています。派遣切りや期間労働者の中途解約によって、突然働く場を失われ、住む場所からも放り出されて、屋根で雨露をしのぐこともかなわず、日々の食事にも満足にありつけない人がたくさんいます。正規雇用者でも、企業業績の悪化を口実に首切りの対象と目されている人もたくさんいます。家族を抱えて、もう路頭に迷うしかないと身が細る思いかもしれません。先行きがまったく見えない。どうしたらいいかわからない。どうすればいいんだ……と、見通しが立たないところに追い込まれてストレスいっぱいの心境になっている人が巷にあふれているのではないでしょうか。年間三万人以上の自殺者が出るという状況が十年以上も続いています。人々の命が風前の灯にさらされている、といっても過言ではない状況でしょう。しかしながら私達は、見通しが立たずにストレスいっぱいの中から脱け出す方法が間違いなくある、と考えて下さい。
【どういう状況に追い込まれていようと、私達は必ず救われる。あきらめないで、自分自身を変えてみよう。】
自分を変えようなんて大それたこと、できるはずないじゃないか、人間そんなに簡単に変わろうなんて、どだい無理な話だ、と思うかもしれません。ところが、できるのです。ちょっと心のスイッチを切り換えることで、自分自身を変える事ができます。ほんのちょっと心の持ちようを変えるだけで、それができるのです。見通しが立たない切羽詰った状況だからこそ、できる時もあるのです。

少し違った状況ですが、「見通しが立たない状況」に追い込まれた人たちの一つの例です。一九九〇年に起きた湾岸戦争の際に、イラク軍によって、「人間の盾」とされてしまった多くの人質たちや、一九九六年暮れから翌九七年にかけて、南米ペルーの首都リマにある日本大使公邸に侵入したゲリラによって、長期にわたって拘束されてしまった人質たちのことです。その人たちに、NHKの国際短波放送を通して、まさに見通しが立たない状況にあっても生き残る「サバイバル五か条」とも言うべきものを語りかけた記録がありました。概略はこんな感じです。
《第一条》
決して希望を捨てない。
希望を持つというのは、すなわち「生き残りたい」、と思うことであり、または「生き残れるかもしれない」と思うことでしょう。そう思うことで、脳内にドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。ドーパミンは、いうなれば「快感物質」であり、希望を持てば、すなわちドーパミンが分泌されれば、かりに見通しが立たないような状況下でも、なんとか日々を生き抜き、そしてこの先行き生きていこうという気力につながります。希望を持てないと、もちろんドーパミンは分泌されません。希望を持てずに絶望感ばかり募ると、うつやノイローゼだけでなく、人間の身体を病気から守る免疫機能が低下し、ふつうの状態なら感染しても抑制できるはずのウイルスや病原菌に負けてしまいます。まず風邪気味になり、アレルギー症状が噴き出したり、下痢や口内炎、皮膚病、胃腸炎に罹ったり、それがまたストレス要因となって、さらに病状を悪化させる。これではどんどんと悪い方向にいってしまいます。だから決して希望を捨ててはいけません。
《第二条》
語り合う。
同じ境遇にある人たちと語り合うこと。ここで大事なのは、実際に声を出し、言葉を交わすことです。口角泡を飛ばすくらいが、ちょうどいいのです。噛むのと同様、しゃべるのも咀嚼行動の一種です。この咀嚼によって、脳内で緊張物質としてはたらくノルアドレナリンが分泌するのを抑える効果があります。ノルアドレナリンは不安や恐怖と密接な関係がある神経伝達物質で、被害妄想やパニックを引き起こしかねません。また、ノルアドレナリンがメチル化すると、蛇の毒素にも似たアドレナクロムに変化し(恐ろしいですね)、飲酒で発生しやすいアセトアルデヒドと同様、体中に蓄積し、疲労困憊します。しかし、咀嚼行動によってそのノルアドレナリンが低下し、心が穏やかになるのです。また、話し合うことで心理的なプラス効果も大きくなります。話し合うことで、暗く惨めな気持ちにならないですむ効果があります。
《第三条》
楽しみを作る。
一日に何か一つ楽しみをつくる。何か一つ、楽しみにできる日課を見つけたいですね。これは実際にイラクの人質たちが見つけた楽しみなのですが、実はそれが勉強会だったのです。堅苦しく考えるような話ではないのですが、国籍もさまざまな人たちが人質になっていました。そこで、誰が言い出したか、お互いの母国語を他国の人たちに教えよう、と始めることになったのです。ことさら難しい内容でなく、日常感覚の会話ができるようになればいい、と、和気あいあい勉強会を楽しんだそうです。それはもう、趣味のように「今日は何語?」と楽しみにして、前向きに生きる効果を生んだそうです。さらに、加えて、ちょっとくらい運動を日課にしたいところです。なにがしか生体リズムが生まれれば、自信物質であるところのセロトニン分泌も促され、生きる力につながります。
《第四条》
穏やかに現実的に対処する。
追い込まれれば、周りが見えなくなります。置かれている状況も、まったく読めません。そうなると、ふくらむのは思い込みと妄想です。そして疑心暗鬼になります。行き着くところ、パニックが起きるという具合です。思い込みと妄想は、避けたいですね。そのためには、「とりあえず、しばらくのあいだは様子見を決め込む」ことも一つの手です。しかし様子見をしていただけでは、いうなれば嫌な感情が持続したままとなります。そこで、しゃべって、吐き出す。そうすれば、毒素としてはたらくノルアドレナリン量を下げることができます。呼吸法もいいでしょう。瞑想するのもいいですね。リズミカルなことをするのもいいでしょう。いずれも、うつや神経症などの症状を癒す効果のあるセロトニンを体内に分泌させてくれます。そうして精神的に落ち着くことで、パニックに陥らず、現実に対処する態度が生まれてきます。そこで、いま現実に何をしたらいいのか、どうすべきかを考えるのです。
《第五条》
いま、なぜ、ここにいるのかの意味を考える。
不安や恐怖にさいなまれると、つい悲観してマイナス思考になるのは、あたりまえですね。しかし、どうにもならないのも、また現実でもあります。ならば開き直る、と言う手もあります。まったく見通しが立たない状況の中で開き直るというのは、おうおうにしてプラス効果を生む場合があります。開き直る事で絶望的な先行きを、心のスイッチを切り換えることによって、希望あるイメージに変えることができます。イメージを変えることは、あえてプラス思考にすることによって可能となります。見通しが立たない困窮状況を体験するとき、人は、自分の生きる意味にはじめて気づくことがあります。自分の生きる意味、それを使命とでも言い換えましょうか。その時、その使命について考えるようになります。人間、実は「使命」がないと、空しくなるものです。生きる意味を失ってしまいます。使命を意識してはじめて、本当の意味で生き残っていけるのです。

状況は違うまれなケースですが、とても参考になる考え方だと思います。日々の生活に応用して常に前向きにいきたいものです。
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